和服で洋服を作る直線裁ちは戦後の物資不足に悩む女性たちの間でブームとなりました。
そして「あなたの暮し」創刊号は雑誌を使い捨てにはしないという花山の考えに基づき増刷を始めました
（常子）増刷分です。
ありがとうございました。
常子は社長としてもっと売れる雑誌にするにはどうすればよいのかその事で頭をいっぱいにしておりました
・「普段から」・「メイクしない君が」・「薄化粧した朝」・「始まりと終わりの狭間で」・「忘れぬ約束した」・「花束を君に贈ろう」・「愛しい人愛しい人」・「どんな言葉並べても」・「真実にはならないから」・「今日は贈ろう」・「涙色の花束を君に」・「涙色の花束を君に」ただいま帰りました。
（一同）お帰りなさい。
お〜まだまだ注文来そうですね。
（君子）そうね。
今日は１００通来たわよ。
（鞠子）このところずっと為替の整理と雑誌の発送ばっかり。
（美子）早く次号に取りかかりたいな。
作った雑誌を売るのも立派な仕事よ。
花山さんは？お部屋にいらっしゃるわ。
ありがとうございます。
（ノック）
（花山）どうぞ。
失礼します。
ん？今度講座を開いてみませんか？講座？はい。
希望者を集めて直線裁ちでの洋服の作り方を花山さんが直接指導するんです。
感心はしないな。
直線裁ちの作り方なら雑誌で十分に伝えてある。
なぜ講座が必要だと思うんだ？お金と話題のためです。
ほう…。
新聞広告は効果てきめんでした。
そこで講座を開いてまた新聞の記事にしてもらえれば読者が増えると思ったんです。
それに講座の受講料が入れば次号をより充実させられるかと。
社長は君だ。
任せるよ。
ありがとうございます。
失礼します。
（ドアの開閉音）我が社と共同開催で？はい。
私どもこういう雑誌を出しておりまして。
ああ…。
近頃こういう洋服を来ている女性増えてますよね。
ああ…あなたのお召し物も。
あっそうなんです。
この直線裁ちの講座を開けば反響が期待できると思うんです。
こうして新聞社との共同開催で講座を開く事が決まり新聞に受講者を募集する広告が載る事になりました。
するとその反響はすぐに現れたのです
これ全部？そう受講希望者。
けどどうするの？私もよっちゃんも雑誌の発送で手いっぱいだよ。
それに講座の準備もしなくちゃならないし。
大丈夫。
臨時でお手伝いをお願いしたから。
誰に？うん？そろそろいらっしゃると思うんだけど…。
突然お願いしてすみません。
（水田）いえ。
少しでも力になれるのでしたら。
こちらが受講を希望する方々からの葉書です。
返信を書けばいいんですよね？ええ。
でも定員を超える応募が１度の配達でありましたのでその中から先着１２０名の方に当選のお知らせそれ以外に落選のお知らせを送って頂けますか？はい。
お任せあれ。
お願いします。
（ラジオ）講座では実際に受講者全員に直線裁ちを作って頂くんでしょ？そうね。
だから会場にハサミやミシンも用意しないとね。
うん。
何だか楽しそうね。
はい。
とっても。
あっそうだ。
同じような形の服ばかり見本で作るのもつまらないから少し違う形も作ってみたら？えっどんな？見てみて。
ちょっと描くから。
あっいいわね。
どうかした？えっ？いえ何も…。
本当に？あ〜…あの…。
かかはととにイライラしたりする事はなかったですか？えっ？だから…何だか気になったり心配になったりだとか。
そりゃあお出掛けに行く時だとか心配になる事もあったけどイライラする事はなかったと思うわ。
そうですよね…。
それが何？実は…水田さんの事がよく分からないんです。
分からないって？見ていると失敗するんじゃないかって何だかハラハラして心配で目が離せないんです。
それに何か失敗して情けない顔見ているとすごくイライラしてつい怒ってしまったり…。
まるで子どもを見ているお母さんになったような気分で。
男の人をこんなふうに考えた事がなかったので戸惑ってしまって…。
それは…そういう事だと思うわ。
どういう事ですか？水田さんに恋をしてるって事なんじゃない？ええっ？違いますよ！私とととの事を聞くっていう事はあなたも水田さんをそういうふうに見ているって事だと思うわ。
え〜…。
でも私はハンサムな方が好きですしただ放っておけないというだけで…。
人を思う気持ちはいろいろあるのよ。
違いますよ。
違いますって…。
そして直線裁ち講座当日…
それは君が工夫したのか？はい。
同じような服ばかりだとつまらないと思ったので。
うん確かにな。
面白い試みだ。
あの…水田さん。
はい。
今日もお手伝いありがとうございます。
いえそんな。
これくらい…。
お仕事お忙しいのにすみません。
（水田）いやいやいいんです。
僕が好きでやってますから。
でも…。
いやいやいやいや…。
（花山）おい！椅子も机も並びが曲がっているぞ！並べるならきちんと並べなさいきちんと！
（２人）はい！あ〜どうもどうも。
今日はよろしくお願い致します。
お待ちしておりました。
よろしくお願い致します。
どちら様なの？あっこちら新聞社の堀内さんです。
文化部の堀内です。
ああ…では今日のこれが新聞に載るのね？ありがとうございます。
こうして準備は順調に進み午前の部の講座が始まる時間となったのです…が…
時間を過ぎても受講者は誰一人として現れませんでした
それは午後の部になっても同様で…
どうして…。
水田さん。
まさか住所を間違えて送ったんじゃ…。
いえそんなはずは…。
確かに僕はドジですが間違えずに書いたはずです。
送る前に私も確認したから。
（君子）どういう事かしら…。
誰も来ないなんて…。
（節子）あらあら何これ？誰もいないじゃない。
中止になったのかしら。
どうしてこちらに？あら社長さん。
今日は直線裁ちの特別講座があると新聞広告で拝見したものですから我々日の出洋裁学校の授業の参考にさせて頂ければと参りましたの。
ええ…。
中止ではないんですが…。
誰もいないんじゃやる意味ないですもんねえ。
ねえ？アハハハハ！やだ〜。
もう残念ですが帰ります。
また講座をやる時は呼んで下さい。
私はあなたたちの唯一のファンなんですから。
では。
恐らく彼女の仕業だな。
講座を妨害するために大量の葉書を一度に出して席を押さえたんじゃないか？そんな…。
自分たちの学校を守るためにこんなにひどい事をしたっていうんですか？私お話ししてきます。
無駄だよ。
ですが…。
洋裁学校にとって洋裁の知識を要さない直線裁ちがブームになる事は死活問題だ。
必死だったんだろ。
皆食うに困れば何にでもなる。
非難する事はできん。
恨むならこの時代を恨め。
常子さん。
社長として今後の糧にしなさい。
少し舞い上がっていたんじゃないか？欲をかいては足をすくわれるぞ。
今日は帰ろう。
申し訳ありませんでした。
いろいろご準備頂いたのに。
まあいや…。
みんなも…本当にごめんなさい。
さあ…片づけましょう。
常子。
はい。
常子たちは商売の厳しさを思い知らされたのでした
2016/07/23(土) 08:00〜08:15
ＮＨＫ総合１・神戸
連続テレビ小説 とと姉ちゃん（９６）「“あなたの暮し”誕生す」[解][字][デ]
常子（高畑充希）は『あなたの暮し』をもっと売りたいと、直線裁ちの講座を開くことにする。花山（唐沢寿明）はあまり気乗りしないが、そこで見た光景は意外なもので…。
詳細情報
番組内容
好評を博した『あなたの暮し』創刊号。常子（高畑充希）はもっと雑誌の売り上げをのばすために、直線裁ちの講座を開くことにする。雑誌だけで十分だと考える花山（唐沢寿明）はあまり気乗りしないが、常子は話題作りのためだと計画を推し進める。一方、常子たちの仕事を支えたいと入ってきた水田（伊藤淳史）も全面的に協力し講座当日を迎える。会場内に新聞記者とカメラマンを呼びこむ常子。しかしそこで見た光景は意外なもので…
出演者
【出演】高畑充希，木村多江，相楽樹，杉咲花，ふせえり，伊藤淳史，唐沢寿明，【語り】檀ふみ
原作・脚本
【作】西田征史
音楽
【音楽】遠藤浩二
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード（ステレオ）
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語（解説）
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