イスタンブール 観光への影響を懸念

ヨーロッパとアジアを結ぶトルコの最大都市、イスタンブールは、中東でも有数の観光地ですが、ここ半年余りの間にテロ事件が相次いだうえ、今回クーデター未遂が起きたことを受けて観光客がさらに減少することを懸念する声も上がっています。
イスタンブールでは、ことし4月と5月の観光客数がそれぞれ前の年に比べて31%と27%減るなど、貴重な収入源の観光業が大きな打撃を受けています。17日は日曜日でしたが、「ブルーモスク」の通称で知られるモスクやアヤソフィア博物館などがあり、世界的にも有名な観光スポットのスルタンアフメット広場では武装した警察官が警戒に当たり、いつもなら観光客であふれるカフェレストランは客の姿がまばらでした。

店のオーナーは「この時期なら客が座る場所もないぐらいにぎわっていたのに、ご覧のように誰もいません。特にテロ事件が相次いだここ3か月は特にひどいです。こんなことが起きてしまうと何か月も後戻りしてしまうので、とにかく事件が起きないでほしい」と話していました。また、広場の近くにある旅行代理店のスタッフは「確かに観光客は減っているが、そもそも世界的にも観光に対する不安が広がり旅行をする人が減っている。テロが相次いでいたが、今回のクーデターは未遂に終わったし、あまり大きな影響が出ないと信じたい」と話していました。

市民生活は落ち着き取り戻し始める

トルコ最大の都市イスタンブールでは、クーデター未遂のあと市民生活は落ち着きを取り戻しつつあります。

イスタンブールにある日本総領事館は17日、トルコ軍がクーデターの鎮圧を発表したことを受けて、外出を控える呼びかけを終えると発表しました。中心部のタクシム広場には市民や観光客の家族連れなどが散策する様子が見られました。ただ時折、警察の車両が広場内を巡回し、警戒を続けています。

広場から続く、飲食店などが建ち並ぶ通りには国民の団結を呼びかけようとあちこちにトルコの国旗が掲げられ、国旗を売って歩く人たちの姿も目立ちました。市民が抗議のため街に出て、クーデターを失敗に終わらせたことで人々の間には高揚感があり「兵士たちに権力を取らせたくなかった。私たちが求めるのは民主主義だ」とか、「クーデターでは何も解決しない。政治には興味なかったが、私は国の側に立つ」といった意見が聞かれました。また中にはトルコの旗を身にまとったシリアからの難民もいて、「トルコ人とアラブ人は兄弟だ。エルドアン大統領は、私たちを受け入れてくれて感謝している」と口々に話しトルコとの連帯を示していました。