絶滅危惧種の海鳥 人工の巣で初めて繁殖に成功

絶滅危惧種の海鳥 人工の巣で初めて繁殖に成功
絶滅危惧種に指定されている海鳥の「カンムリウミスズメ」の生息数を増やすために設置された人工の巣で、5羽のひなが巣立ったことを日本野鳥の会が確認しました。人工の巣で繁殖に成功したのは初めてだということで、今後の保護活動の拡大に期待が寄せられています。
「カンムリウミスズメ」は、日本の近海にしか生息していない体長20センチ余りの海鳥で、無人島の崖などで繁殖しますが、現在の生息数は推定1万羽ほどで、環境省が絶滅危惧種に指定しています。
日本野鳥の会は、6年前から伊豆半島沖の無人島に人工の巣を設置し、生息数を増やす取り組みを進めてきました。巣は、コンクリートのブロックを岩で覆い隠したうえで、入り口に天敵のカラスの侵入を防ぐための幅の狭いパイプが取り付けられています。そして、先月までに、センサーで作動するカメラに親鳥の姿が映っていたほか、3つの巣にひながふ化した卵の殻が合わせて5つ残されていたということです。
このため日本野鳥の会は、3組のつがいが繁殖に成功し、合わせて5羽のひなが巣立ったことが確認できたとしています。
人工の巣でカンムリウミスズメの繁殖に成功した例は初めてだということで、日本野鳥の会は「6年間、試行錯誤を繰り返してようやく繁殖に成功した。繁殖しやすい巣の条件を分析し、設置場所を増やすなどの保護活動を広げていきたい」と話しています。