Sports Graphic NumberBACK NUMBER
<赤ヘル軍団の黄金期> '84年 広島×阪急 「投手王国、最後の輝き」
text by
阿部珠樹Tamaki Abe
photograph byMasahiro Nagatomo
posted2013/10/10 06:01
「江夏の21球」を知る男たちにあった勝利への意識。
「疲れはありませんでしたよ。もう、最後だしね。それに第1戦に比べたら、7戦というのは気分的に楽なところがある。相手の打者の傾向がだいぶわかってきていますからね。シリーズの調子も把握できている。打たれそうか大丈夫か、雰囲気もわかるんです」
完璧に抑えたわけではない。よく打たれた。10安打。しかし、集中打は許さなかった。6回、1死二、三塁でブーマーを迎えた場面がこのシリーズの白眉だった。遊ゴロに抑え、その後も切り抜けて、完投勝利を飾った。
「日本一というみんなの目標がひとつになっていた。ベンチもスタッフもみんな。勝って当たり前ぐらいに思っていた」
口ではみな優勝というが、現実として考えるチームは実は多くない。山根、大野、北別府は「江夏の21球」を知るメンバーである。投手陣に受け継がれた勝利への意識、それを可能にする技術の練磨、伝統を担う者だという自負がどのチームよりも明確だった。「とるかとられるか、どっちか」とはいっても、とられていいということではない。そのことを、'84年のメンバーたちは誰よりも知っていた。
◇ ◇ ◇
投手王国を築いた広島だったが斜陽の時は来る。その相手は西武だった。
'86年、'91年と二度対戦したものの、いずれも逆転での日本一を許したのだ。
北別府学、大野豊、川口和久をもってしても止められなかった時代の流れ。
それでも最強の獅子に立ち向かった意地の投球を、3人が回想する――。
つづきは、雑誌「Number」838号、もしくはNumberモバイルでお読みください。
エースたちの日本シリーズ。
~秋の頂上決戦秘話~ 【1999 ダイエー×中日】 工藤公康
【2002 巨人×西武】 桑田真澄
【2013 CSプレビュー】 田中将大と楽天
【エースたちの初勝利】 上原浩治/ダルビッシュ有
【サッカー日本代表激白】 本田圭佑/長谷部誠定価:550円(税込) 目次ページへ
おすすめスポーツ動画