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【政治】

辺野古埋め立て 政府あす沖縄県を再提訴 

 政府と沖縄県は二十一日午前、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設に伴う名護市辺野古(へのこ)の新基地建設計画を巡る協議を首相官邸で行った。県は新たな提訴の見送りをあらためて表明。菅義偉(すがよしひで)官房長官は、翁長雄志(おながたけし)知事による海上埋め立ての承認取り消しに関し、撤回を求めた国の是正指示に翁長氏が応じない違法性を確認する訴訟を二十二日、福岡高裁那覇支部に起こす考えを伝えた。

 会合後、翁長氏が記者団に明らかにした。翁長氏は政府の対応について「(政府と県との)協議が先だと思っていた。直ちに提訴するという判断は非常に残念だ」と述べた。国と県は再び法廷闘争に入る。

 政府と県は三月、埋め立て承認取り消しに関し、三件あった訴訟を取り下げることで合意。この際の和解条項には、政府があらためて行う是正指示に関し、総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」の審査をへて、県が再び提訴する手順が盛り込まれていた。

 だが想定に反して、国地方係争処理委は是正指示が適法か違法かを判断せず、両者は「真摯(しんし)に協議」すべきだという見解を出すにとどまった。このため県は政府との協議を優先し、定められた期限内に提訴をしなかった。政府は現在、辺野古沖を埋め立てる法的根拠を失っていることから、司法判断を仰いだ上で工事を再開したい考えだ。

 ただし、両者とも対立の深刻化は避けたい考え。訴訟での決着を図りつつ、並行して問題解決に向けた協議も行う従来の枠組みは維持する見通し。

 この日は菅氏や翁長氏らが出席した「普天間飛行場負担軽減推進会議」と、訴訟の和解条項に基づく協議会を官邸で開いた。

 <普天間移設問題> 沖縄県宜野湾市の中心部に位置する米軍普天間飛行場の移設を巡る問題。1995年の米兵による少女暴行事件をきっかけに、日米両政府が96年に返還で合意した。日本政府は99年に名護市辺野古への移設を閣議決定。仲井真弘多(なかいま・ひろかず)前知事が2013年12月に移設先の埋め立てを承認したが、14年11月の知事選に勝利した翁長氏が15年10月に取り消した。政府と沖縄県が互いを訴え合う法廷闘争に発展。今年3月に和解が成立し、移設工事は中断している。

(東京新聞)

政府との協議を前に握手を交わす沖縄県の翁長知事(左)と菅官房長官=21日午前11時29分、首相官邸で(小平哲章撮影)

政府との協議を前に握手を交わす沖縄県の翁長知事(左)と菅官房長官=21日午前11時29分、首相官邸で(小平哲章撮影)
 

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