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特別抗告該当せず 中止申し立て棄却

転落死亡事故があった御柱付近を検証する捜査員=長野県諏訪市の諏訪大社上社本宮で2016年5月6日、宮坂一則撮影

 長野県・諏訪大社の「御柱(おんばしら)祭」での転落死事故を受け、祭りの事実上の中止を命ずる仮処分の申し立てに対し、最高裁は「特別抗告の事由に該当しない」として棄却した。決定は7月15日付で、申し立てた箱山由実子弁護士=東京都北区=は「国民が国家に対して生命尊重を求める権利があるのかないのかを、最高裁として判断を出してもらいたかっただけに、棄却理由に明記がないのは残念だ」と話している。

 6年ごとに開催される祭りではほぼ毎回事故死者が出ており、今年も5月5日に大木を垂直に立てる「建て御柱」で、高さ15メートルの木の上部から氏子の男性(当時41歳)が転落死した。箱山弁護士は、祭りの度にけが人や死者が出るのは人命軽視に当たるとして、安全対策が講じられるまで境内の使用を禁じる仮処分を長野地裁諏訪支部に申し立てた。

 諏訪支部は「申立人(箱山弁護士)には仮処分で守られるべき権利はない」などとして却下、即時抗告を受けた東京高裁も棄却した。このため、「生命や自由、幸福追求に対する国民の権利を尊重するとする憲法13条から導かれる『国家に対して生命尊重を求める権利』が国民にあり、犠牲者が相次ぐ祭りの中止を求める」−−などとして、5月16日に最高裁に特別抗告していた。

 最高裁決定は、棄却理由について「違憲を言うが、実質は単なる法令違反を主張するもので特別抗告の事由に該当しない」とした。転落死事故を巡っては、箱山弁護士らが諏訪大社宮司を業務上過失致死容疑で告発、県警諏訪署が捜査している。

 御柱祭は、氏子らを乗せた大木が急な坂を下る「木落(きおと)し」や、人が乗ったまま木を垂直に立てる「建て御柱」が人気で、今年は4月2日から5月16日までの間の12日間で約186万人が見物している。ただ、この半世紀近くでも1968、74、80、86、92、2010年に死亡事故が起きている。【照山哲史/デジタル報道センター】

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