5万人…公表の3倍 152市区町村
毎日新聞は、政令指定都市や東京23区など計156市区町村を対象に、認可保育所などの待機児童数に関して調査した。回答のあった152市区町村の4月1日時点の待機児童数は前年より833人(5%)少ない計1万7661人で、減少傾向にある。ただし、保育所などに入れなくても待機児童に数えない「隠れ待機児童」は5万801人に上り、前年より5903人(13%)増加。保育環境が改善したとは言えない。
昨年4月1日時点で待機児童が50人以上いた市区町村と政令市、中核市、東京23区を対象に調査。大阪府吹田、枚方、兵庫県尼崎の3市は回答がなかった。今年の待機児童数が未回答の福島市は集計から外した。
半数近い73市区町で待機児童は減少。熊本市(前年397人)など28市区町は待機児童0だった。認可保育所などの定員の総計は119万9698人で、6万2624人増えた。
待機児童数は昨年4月に5年ぶりに増加していたが、子どもの預け先が増加し、抑制につながった形だ。ただ、東京23区は5598人と前年より596人増えた。
一方、認可保育所などに入れなくても待機児童に含まれない子どもがいる。認可施設に入れなかったにもかかわらず、「待機」にならないことに、保護者の不満は根強く、「隠れ待機児童」と呼ばれている。毎日新聞は、認可保育所などの利用申込数から、入所できた児童数と待機児童を差し引いて計算した。
厚生労働省は「待機児童の定義」の中で除外できる要件を示している。東京都の認証保育所など、自治体が独自に認定しているものの認可保育所より基準が緩い認可外施設などを利用していたり、保護者が特定の保育所などを希望したりするケースだ。
また、求職活動を休止している場合は除外、育児休業中のケースも除外できる。しかし、求職活動休止の確認は自治体に委ねられ、育休中の扱いも自治体の判断次第だ。
隠れ待機児童の増加の背景には、自治体に待機児童数を少なく見せたいとの意識が働いている面がある。申込数が増える中、保護者の希望と空き施設が合いにくくなっている状況もあるとみられる。厚労省は昨年4月1日時点で全国約6万人に上ると公表している。
【堀井恵里子】