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【改憲始動(5)】国民投票へ最短シナリオ 成否を分ける自民の本気度

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【改憲始動(5)】
国民投票へ最短シナリオ 成否を分ける自民の本気度

 参院選が公示された直後の6月23日、英国では欧州連合(EU)からの離脱の賛否を問う国民投票が行われ、離脱が決まった。急増する移民問題への不安や怒りという「感情」が、経済リスクを考慮する「理性」を超えた格好だ。

 ただ、投票後、自身の判断を悔やむ有権者が目立ち、投票のやり直しを求める運動も広がった。望まない結果が出かねない危険を冒してまで、政権は国民投票に踏み切る必要はなかった、との指摘もある。

 しかし、英政府は今月、国民投票のやり直しはしないと発表した。有権者から直接示された「民意」を尊重して政策に反映させることが、民主主義の妥当な判断との認識があるからだ。

 国民投票について、ロンドン大学キングス・カレッジ英国憲法歴史研究所のキャロライン・モリス上級研究員は「有権者に国政への大きな機会を与えるベストな民主主義の形式である」と指摘する。エディンバラ大学法学部のステファン・ティニー教授(憲法理論)も「民主政府が直接、有権者に政策の同意を得ることは『純粋な民主主義』と考えることができる」と語る。

 日本の憲法改正の手続きを定めた改正国民投票法は、政治的中立性が求められる裁判官、検察官、警察官などを除き、改憲の賛否を働き掛ける公務員による「勧誘運動」を認めている。公務員労組や護憲政党による改憲反対運動が、より多くの国民の感情に響けば、いくら改憲勢力が衆参両院で「3分の2」を保っていても、憲法改正の道は遠のいてしまう。

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