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【改憲始動(5)】
国民投票へ最短シナリオ 成否を分ける自民の本気度
7月10日投開票の参院選で改憲勢力が憲法改正の国会発議に必要な「3分の2」議席を獲得し、焦点は改憲スケジュールへと移りつつある。
自民党の憲法改正推進本部の重鎮議員は、秋の臨時国会から衆参両院の憲法審査会で改憲項目の絞り込み作業を始め、来年1月召集の通常国会での発議にこぎ着けたい考えだ。
その最短シナリオで進めば、発議を受けた憲法改正の是非を決める国民投票は「発議した日から起算して60日以後180日以内において国会の議決した期日に行う」(国民投票法2条)ことから、平成29年後半にも実施されることになる。
安倍晋三首相の自民党総裁としての任期は30年9月末まで。安倍首相の「(憲法改正を)私の在任中に成し遂げたい」との思いを実現するにはギリギリの日程だ。しかも、衆院議員は30年12月に任期満了を迎える。衆院選で改憲勢力が3分の2(317議席)を失えば、改憲機運は一気にしぼみかねない。最短シナリオは実は「唯一のシナリオ」とさえいわれる。
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改憲派と護憲派の当面の“戦場”は与野党が憲法改正原案作りなどについて話し合う衆参両院の憲法審査会となる。これまでの改憲議論は、自民党憲法改正推進本部のメンバーら“憲法族”と呼ばれる限られた議員が中心になっていたが、護憲派野党に過分に配慮してきた面は否めない。