6月26日の中日戦後に悪態をついたオンドルセク。グラウンドでも怒りの形相だった【拡大】
球団とは年俸2億1600万円で1年契約。途中退団のため、今後、両者でどれだけ減額するかを話し合う。オンドルセクは帰国前、真中監督の元を訪れて謝罪をしたというが、小川淳司シニアディレクター(58)は「あの行為はかなり衝撃的だった。どこの組織でもそうだが、ヤクルトは特に和を重んじてきた」と振り返る。
退団に伴って支配下選手の登録枠が1つ空く。それでも、7月末に期限を迎える補強については「日数的に難しい。現時点では無理だろう」と語った。
オンドルセクは昨季、中継ぎでリーグ優勝に貢献した。今季は30試合で3勝1敗11セーブ。戦力だったが、失点のたびに激高したり、ベンチ裏で不機嫌になったりするなど周囲が手を焼いていたのも事実。そして、退団を決定づけた6月の事件は決して許される問題ではなかった。
チームはすでに3年目のサイドスロー右腕、秋吉を新守護神に据えている。高年俸の助っ人を欠いても、現有戦力で5位からの浮上を狙う。
オンドルセクの退団経緯
★6月26日 中日戦(神宮)の九回に登板。野手の失策も絡んで3失点して同点とされ、降板。真中監督らに反抗的な態度を取った
★同27日 出場選手登録を抹消され、自宅謹慎
★同29日 球団幹部と面談し、謝罪。小川シニアディレクター(SD)は「席上ではこちらの目を見てしっかりと話をしていた。誠意が伝わってきた」と明かした
★同30日 2軍練習に参加し、練習前に選手全員の前であいさつ。「自分は過ちを犯した。本当に申し訳ない気持ち」と神妙だった
★7月1日 小川SDが真中監督と会談。小川SDは「謹慎処分はまだ解けていない」と強調。真中監督も「2軍での練習態度などで決めたい」と慎重だった
★同15日 球団はオンドルセクが家族の帰省に同行するため、16日から約1週間、有給休暇を取得して帰国すると発表した
ウエーバー公示
ウエーバーとは保有権を放棄するという意味で、所属する球団が選手と契約を解除した場合にその旨を所属する連盟に伝え、連盟がその選手を公示すること。公示期間(1週間)内に獲得を希望する球団がない場合は自由契約となるが、そのシーズンは他の球団と契約することはできない。トレードなどの譲渡可能期間(7月31日まで)終了後も、ウエーバー公示による譲渡は認められている。
お騒がせ助っ人の退団アラカルト
★ペピトーン(1973年、ヤクルト) メジャー通算219本塁打を放ち、6月に来日。しかし、夫人との離婚協議のため、7月に帰国。8月に再来日もアキレス腱(けん)を痛め、わずか14試合の出場で無断帰国し、シーズンを終えた。2年契約だったが、翌74年も来日せず退団
★グリーンウェル(97年、阪神) 当時、球団史上最高年俸の3億3000万円で入団。5月に1軍合流したが、自打球で右足を骨折すると、「野球をやめろという神のお告げ」と話し、7試合の出場で引退
★ミセリ(2005年、巨人) 守護神候補として年俸1億8000万円で入団も開幕戦で2被弾し、敗戦投手に。2試合目の登板でもサヨナラ打を浴び、開幕直後の4月19日、わずか4試合の登板で解雇された。帰国前には浅草を観光。家族で人力車に乗るなど満喫した
ローガン・オンドルセク(Logan Ondrusek)
1985年2月13日生まれ、31歳。米テキサス州出身。2005年ドラフト13巡目でレッズ入団。10年にメジャーデビューした。昨年ヤクルトに入団し、セットアッパーとしてリーグトップタイの33ホールドを記録。リーグ優勝に貢献した。日本通算成績は102試合で8勝3敗11S、防御率2.17。メジャー通算成績は281試合で21勝11敗2S、防御率3.89。2メートル3、104キロ。右投げ右打ち。既婚。今季年俸2億1600万円。