電動車いす事故相次ぐ 簡単操作も原因か 消費者事故調

電動車いす事故相次ぐ 簡単操作も原因か 消費者事故調
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お年寄りなどが使うハンドルのついた電動車いすの事故が相次いでいることを受けて、消費者庁の安全調査委員会、いわゆる消費者事故調は、簡単な操作で発進できる仕組みが事故原因の1つと考えられるとして、操作方法の見直しなどの再発防止策を盛り込んだ報告書をまとめました。
ハンドルのついた電動車いすは、アクセルレバーを手で軽く押すだけの簡単な操作で発進させることができ、足腰が弱くなったお年寄りの日常的な移動手段として普及しています。
一方で事故も相次ぎ、消費者事故調によりますと、おととしまでの7年間に起きた事故で亡くなった人は36人に上り、15人が大けがをしたということです。このため消費者事故調が、現地調査のほか、利用者へのアンケート調査などを行って分析したところ、踏切の前で停止中に突然、具合が悪くなって前のめりに倒れるなど、何らかの理由で意図せずにアクセルレバーに触れて車いすが発進した可能性が考えられるケースが、複数あることが分かりました。
消費者事故調は、22日、再発防止策を報告書にまとめ、アクセルレバーを一方向に軽く押すだけの簡単な操作で発進できる仕組みが事故原因の1つと考えられるとして、経済産業省に対して意図しない発進を防ぐ対策をとるようメーカーに指導することなどを求めています。また、運転操作の誤りが事故につながった可能性のあるケースもあったことから、関係する省庁に対して、教育や訓練を継続的に行うことなどを求めています。
消費者事故調の畑村洋太郎委員長は「長期的には事故を防止する機能を持った製品の開発が求められるが、まずは現時点で可能な製品の改善が必要だ。電動車いすは社会が高齢化していくなかで強く求められている製品で、だからこそ、どんな危険性があるのか、使う人はもちろん周りの人も共有していく必要がある」と話しています。

業界団体 一層の改善に取り組む

消費者事故調の提言について、電動車いすのメーカーなどで作る電動車いす安全普及協会は、「これまでもお客様が製品を安心・安全にご利用いただけるよう取り組みをしてまいりました。このたびの報告書については、ご指摘いただいた内容を真摯(しんし)に受け止め、電動車いすの安全な普及に向けてより一層の改善に取り組んでまいります」とコメントしています。