今までで1番の絶景

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2016年7月11日(月曜日)
【ノルウェー】 サンネス ~ ビンドスビク






この日はヤバかった。

マジでヤバかった。

こんなにテンションが上がったのは久しぶりだった。スバールバルを超えたかもしれない。



ノルウェーは本当に本当に、夢に出てくるあの不思議な景色のオンパレードだ。
























朝、町外れの教会の横で目を覚ました。

小さな木造の教会がポツリと立っており、その周りに可愛らしいお墓が散らばっている。

道路の向こうでは大工さんが民家を建てる工事をしており、トンテンカントンテンカンと小気味いい音が聞こえていた。それを聞いて、あぁ月曜日だなぁって思えた。








朝、ササっとカンちゃんとパンをかじり、すぐにサンネスの町にやってきた。

まだ午前中なのでホコ天のショッピングストリートに人の姿は多くない。







ていうかよく見たら通りに空き店舗が目立っており、あまり活気があるような雰囲気ではなかった。

加えて今日は朝から雨が降っている。今もカンちゃんと傘をさして歩いている。


こいつはあんまり良くないかもな。


















もうサンネスでの路上はやめて早いとこスタバンゲルに移動しようかと思ったんだけど、一応ワイファイに繋いで天気予報だけ確認してみてガックリきた。



この1週間、スタバンゲル周辺はずっと雨と雷マーク。


他の近場の町も調べてみるが同じような感じだ。

唯一、次の目的地である中部の都市トロンヘイムが木曜日から曇りマークになっている。



こいつは、早めに移動したほうが得策かもな…………








本当はスタバンゲルに2日くらいいて、それから2日かけて移動して週末にトロンヘイムにつく感じかなーと予定していたんだけど、わざわざ雨の中スタバンゲルで路上を頑張るよりも、早めに出発してその分トロンヘイムで歌えばいいんじゃないだろうか。


うん、それがいい。そうしよう。



ここからトロンヘイムまでは相当な距離がある。この縦長のノルウェーを3分の1くらい北上することになるので時間もかなりかかるはずだ。


よし、もうそうと決まればチャチャっと動くぞ。






と、その前にグーグルマップにルートだけ出しておこうかな。

カンちゃんがナビしやすいように。




これってすごく大事。

あらかじめ今日走るであろうルートを青い線で出しておけば、あとはネットがなくてもGPSが現在地を示してくれるのでカンちゃんもやりやすい。


グーグルマップといえど、車で走るとなると外国の地図はなかなか道路が分かりにくい。

ここは林道か?とかこっちのほうが早いか?とか、分厚い日本地図の本を見て日本を回っていた俺でも結構難しい。










そうして調べていると、なにやら俺たちが今から北上していくルートのすぐ近くに有名な絶景ポイントがあるという観光情報が出てきた。


フィヨルドの断崖絶壁の何百メートルも上に岩がせり出しており、そこの先っぽに立てるという、ノルウェーでは結構よくあるスリリング系の名所だ。


トロルの舌と呼ばれる場所が有名で、俺も前回行くか迷ったんだけど結構アクセスが難しい場所にあったので諦めたんだよな。



それと同じようなやつが今から北上していくルートの真横にあるという。







んんん……………今から向かうトロンヘイムはかなり遠い……………丸2日かけても着くかどうかわからん。


なのに途中でトレッキングなんかしてる時間はあるのか……………




まぁ、気分に任せるか。



エンジンをかけてアクセルを踏み、ここから3日間の大移動が始まった。



























入り組んだ内海沿いの道を走っていくと、まずは最初のチェックポイントであるホーレに着いた。

田舎道を道を走っていくと、そのまま港の岸壁に到着。


そう、これからフェリーに乗らないといけない。












ノルウェーは言うまでもなくフィヨルドがギザギザに陸地に差し込まれているので、かなり遠回りしないといけない場所が多い。


そんなところで思いっきりショートカット出来るのがカーフェリーで、それが国民の足になっている。








港に入るとスムーズに車の列に並び、やがて小さなフェリーがやってきてそれにゆっくり乗り込んでいく。

かなり狭いスペースに誘導されるので運転が下手だと入っていけない。





あっという間に乗船が完了するとすぐに出発。
車を降りる必要もない。そのまま乗っておけばいいという流れだ。








でももちろん降りる。


だってこれはフィヨルドの渡し舟だ。つまりフィヨルドクルージング!!!





車を降りて甲板から周りを見渡すと、広々としたフィヨルドの水面がキラキラと輝いている。

周囲には入り組んだ崖がそそり立ち、その中を船はゆっくりと進んでいく。




チラホラと見える小さなカラフルな家々。

その向こうに巨大な岩山が霞んでいる。



冷たい風がとても気持ちよくて、たまらなくワクワクしてくる。




「カンちゃん、綺麗だねー。」



「ねー、贅沢だねぇー。」




運航時間はたったの10分。

しかしとても贅沢なフィヨルドクルージングだ。


その値段は6メートル未満の車でドライバー込み73クローナ、860円。同乗者が1人につき30クローナ、350円。
























対岸に着いて船を滑り降り、そのまま坂道を登りながら走っていく。





今日はどこあたりまで走れるかなー、できたら大好きなスターブチャーチがあるウルネスのあたりまで行きたいんだけどなー、とカンちゃんと話しながら、ふとカンちゃん側の窓の外を見た瞬間、マジでぶっ飛んだ。



「うわあああああああ!!!!!!ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!!!!!」



「え!?なになに!?きゃああああああああああ!!!!!なにこれえええええええ!!!!!」




ソッコーで車を脇に寄せて飛び降りると、俺たちの目の前にとんでもない光景が広がった。












今まで見たこともない美しい岩山に彩られたフィヨルドだった。


想像を絶するとはまさにこのこと!!!


あまりのダイナミックな岩山、その下に横たわる静寂の水面、ちょうど雨雲が千切れており、差し込んだ太陽の光と霧がほどよく漂い、目を疑うほどのSFの世界がそこにあった。








「ヤッバすぎる!!!!ドラゴン飛んでてもなんの違和感もない!!!」



「いやあああああ!!!!これはすごすぎるうううううう!!!!」




もう2人して大興奮してその凄まじいフィヨルドの景色を見ていたら、さっきの観光情報を思い出した。


そうだ、さっき見た断崖絶壁の岩ってのは確かこのフィヨルドにあったはず。

リーセフィヨルドのプレーケストーレンという名前だったはず。






こいつは…………行くしかねぇ。






「カンちゃん!行っちゃおうか!!ヤッバすぎる!!!」



「うん!!これは行くしかない!!もう本当ヤバい!!!」



「2時間くらいハイキングするみたいだけど大丈夫!?うわあああ!!楽しみすぎる!!!!」



「え……それはちょっと嫌……………でも頑張る!!!」





というわけでそこから脇道に入り、寂しい一本道をしばらく進んでいく。

クネクネの山道を登ったり降りたりして、かなりの悪路に作った道みたいだ。




そうして15分ほど走っていくと、やがて水辺の開けた場所に到着した。


ここはビジターセンターらしくいくつかの建物が並んでおり、たくさんの車が止まっていた。





どうやらここに車を止めて歩いて向かうようで、アウトドアファッションに身を包んだハイカーたちがわんさか行き交っている。




駐車場の値段は1回150クローナ。1800円。

高っ!と思ったけどここまで来て引き返すわけにもいかない。


よーし、車を止めたらいざフィヨルドハイキングと洒落込みますか神田さん!!!



























歩いてる人全員気合いの入った山ファッションなのに、俺とカンちゃんだけカフェに行くような服装で手をつないで歩いていく。


この前スバールバルでハードな山登りっていうか遭難しかけているので、こんなハイキングルートなんて自宅の階段を登るようなもんですよシコルスキーさん。



足元はさっきまでの雨で小川ができていたりして多少滑るが、別にどうということはない。


家族連れのめっちゃ小さな子供たちも歩いているし、なんなら犬も歩いてる。

とても平和な、そしてとてもポピュラーな観光地らしい。


あー、子供のころに行ったことあるよ、っていう、ノルウェーの人だったら誰でも一度は訪れるような、そんな場所なのかな。



あれ好き。



































道は森の中を歩く森林ハイキングから湿原の中を通る木道になり、やがて岩がゴツゴツした荒れた風景へと変わる。


3.8キロの山道なので時間は平均して2時間らしい。

空気がとても綺麗で、景色も見飽きることがないのでカンちゃんとおしゃべりしていればすぐに距離は縮まっていく。




「カンちゃん、大丈夫?足元滑らないようにね。って、あれ?カンちゃん何食べてるの?」



「あ、見つかってしもうた。」




ポケットから柿ピーを出してポリポリ食べてるカンちゃん。




「あー、今すれ違ったおばちゃんがニコニコしながらこっち見てたー。食いしん坊やと思われてもうたー。」




ほのぼのキャラが止まらないカンちゃん。


さっきもこのプレーケストーレンの地図を見ながら、フミ君!!ここって標高3800メートルもあるらしいよ!!すごいね!!って言ってきて、それはルートの長さだよーって教えてあげたら、ニコニコしていたカンちゃん。


ここフィヨルドだからほぼ海抜だと思うよカンちゃん。




さらに、さすがに愕然としたのは、車から降りてハイキングの準備をしてる時に、あれ?水がない、水どこに置いたんだろ?って言いながらペットボトルを探していたとき。




「フミ君、水どこに置いたか知ってる?今ここにあったのに。」




「……………その手に持ってるのじゃない?」




「あ、持ってた。てへへ。」





波平のおでこメガネ超えてるわ(´Д` )


















そんなカンちゃんを可愛いねぇ可愛いねぇってなでながら歩いていると、最後の岩場を登ったあたりで景色がガラッと変わった。


緩やかな岩場の丘陵がどこまでも続き、草もわずかにしかはえていない。


そしてパッとカーブを曲がったところで目に飛び込んできた光景にため息が出た。















「天国の入り口だ…………」




「ほんとそれ………それだわ…………」





マジで天国の入り口。

その表現がカンちゃんとピタリと揃った。


フィヨルドの断崖と水面が奥に続いていく様子を丸ごと見渡せ、雲がかかり、もうキリストの宗教画の世界。



マジで、マジでこれはダントツ。


今まで見た自然系の絶景の中で、ブッチギリの1位。




「ヤッバすぎる!!!うわああああ!!!来てよかったあああああああ!!!!」



「すごいよー!!すごいすごい!!すごすぎる!!!」



「ちょ!カンちゃん気をつけて!!!」





景色に見とれていたらマジで危ない。

この最後の道は想像を絶する断崖絶壁の上にあった。







手すりもなんもないその向こうは目のくらむ崖が数百メートル下のフィヨルドまで落ち込んでいる。



ハイカーたちもみんな普通に歩いているけど、その足元の30センチ横は文字通り天国の入り口だ。



鋸山をギリ超えてる!!

ウソ!!比べものにならん!!


いや、鋸山も綺麗だけどね。









でもやっぱりビビるのは、こんなところに手すりをつけない、ノルウェーというか海外の自己責任の感覚。


日本だったらソッコー誰かのせいだもんな。
国のせい、町のせい、横にいた誰かのせい。


でも手すりがないおかげでこの絶景は自然の姿を保っている。





もうーーーーーーーーー半端じゃない!!!!!!


俺も一応キワに立ってみたけど、これはダメ。マジで。

一応高いところは平気のはずなんだけど、這いつくばってじゃないと近づけないわ。









「すっごい!!!!ノルウェーすっごい!!!なんなの?自然のダイナミックさが売りなの!?」



「すっごいねー!!私こんなところ初めて!!」





ニュージーランドもノルウェーと同じようにフィヨルドが有名で、その中でも見たら人生が変わると言われているミルフォードサウンド。


俺はヒッチハイクがつかまらなくて行けなかったんだけど、実際にミルフォードサウンドのクルーズをしたことのあるカンちゃんから言わせると、比べものにならないそう。


それほどこのプレーケストーレンの景色はこの世のものとは思えないほどの神々しさがあった。



















もう、満足。

スバールバル諸島も行った。

そしてこんなフィヨルドも見た。


もー満足。もうノルウェー満足。



他の観光せんでいい。





あああああああああああああああああああ!!!!!!!

花山薫の拳でけえええええええええええけ!!!!!!




あ、あれ?なんで花山薫が出てきたんだろう?


とにかく大満足!!!!!















せっかくだからカンちゃんがとってくれた写真も!!




























ナメクジがイカつい。











帰りは1時間くらいで駐車場に戻れたんだけど、途中から雨が降ってきて、車に戻ったころには滝のような雨になった。


うわー、こいつは今ごろ展望台にいる人たち悲惨だろうなぁと思いながら、すぐにエンジンをかけて暖房で温まった。


予定外のハイキングのおかげで時間はすでに19時半になっており、今日中にウルネスまで行くのは厳しそうだ。


でも行けるところまでは走ろうとアクセルをふかした。















もうここからの景色もヤバかった。





とりあえず全部ロードオブザリング状態で、断崖絶景と静寂の湖で、フィヨルド祭り。



あっちを見てもこっちを見ても、そそり立つ壁のような岩の絶壁。



そんな絶壁の上からズゴーーー!っと滝が落ちてきている。


俺たちどこにいるの?ジュラ紀?これ白亜紀?みたいな、ネイチャーにもほどがある道を滑っていく。




そしてビビったのが、そんなジュラ紀の中に果敢に存在する人工物。

アスファルトの道もそうなんだけど、トンネルの数がすごい。



フィヨルドの崖にポッカリと小さな穴が開いており、そこに突っ込んでいくと次のフィヨルド側にスポン!と飛び出す。


5キロレベルのトンネルなんてザラで、長いのは8キロなんてものも。



今度は11キロというやつが出てきて、しかもトンネルの中にラウンドバウトがあって分かれ道になってるから驚く。

トンネルの中に交差点て!!







そうして、やっとのことで長い長いトンネルを抜けたかと思うと、出口がそのまま巨大な巨大な橋になっており、はるか眼下は霧にけむるフィヨルド。


フィヨルドの崖の向こうとこちらに穴を開けて橋で繋いでいるという、これぞまさに大自然に立ち向かうノルウェー人の英知だ。




そしてまたトンネルに突入したかと思うと、今度は25キロ………………



どんな長いトンネルだよ………………








ノルウェーやばすぎる。

前回の世界一周で訪れたとき、ヒッチハイクして北から南までそれなりに色んなものを見ながら降りたつもりだった。

その上でノルウェーの大自然はヤバい!!って出会う人たちに豪語していたけど、



マジでノルウェーの大自然のヤバさの10パーセントも知らんかった。

ただ道を走るだけでジュラ紀だもん。


ていうかやっぱり自分たちの車で回ることでより身近に風景を感じられてるのもあるはず。


今度から訪れた国でレンタカーが出来るところでは積極的にやっていこうかな。
















車はまた道のどん詰まりの港についた。





夕焼けの中に船が口を開けており、それに乗り込む。



本日二度目のフィヨルドクルージング。

ヒルメランドからネスビクへの渡しだ。


料金は午前のものと同じく103クローナ、1200円で同乗者1人。













車を降りて、甲板からフィヨルドを眺めた。

ゆっくりと進んでいく船。


ウミネコが鳴いて、フィヨルドの谷間に沁み通っていく。

心がしめつけられるけど、解放されてるようでもある。



ノルウェー、ハンパないわ。







寒い寒いとカンちゃんと車に戻った。





~~~~~~~~~~~~~~~~~~


エルサレムのホテルをアゴダでとってくださったかたがいました!!


あのオールドシティーの異様だけど神聖な空気はこの地球上で必ず訪れたい場所のひとつだと思います!!


どうもありがとうございます!!





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