ガン治療に新たな手法の兆し?!電気療法が副作用のない治療法を切り開く!
電気刺激でガン細胞の増殖を抑える
マサチューセッツ工科大学の研究チームは、電気刺激をガン細胞に与えることで、ガン細胞の成長が止まり、転移を抑えることを明らかとした。
またこの手法では、周囲の健康な細胞には副作用はなかったと報告している。
研究チームは今回、PDMSと呼ばれるコインサイズのデバイスを用い、電気刺激がガン細胞にどのような影響を与えるのか検討を行った。
そのデバイスはゲル状のポリマーを用い、微細な流路が設計されている。
流路に乳ガン細胞や肺ガン細胞をゲルと一緒に注入し、両側を電極につなぐ。
そして1.1V、150 kHzか200 kHzの交流電流を流し評価を行った。
ガン細胞増殖に有意な差
その結果、電気刺激を与えない場合、ガン細胞は2日のうちに増殖し転移し始めたが、3日間継続的に電気刺激を与えた場合、ガン細胞の増殖は有意に低下した。
また肺ガン細胞の場合は、さらに転移能も低下した。
そして同様の実験を通常の細胞に行った場合、その増殖能に全く影響はなかった。
研究チームはこの結果から、健康な細胞とガン細胞では大きさや電気的な性質が大きく異なり、電気刺激において影響を与える周波数が異なるのではないかと推測している。
その原理とは?
では、なぜ電気刺激が細胞の増殖や転移能に影響を与えるのだろうか?
細胞の中には微小管と呼ばれるタンパク質の網が存在する。
この網には極性が存在し、いわばわずかに電荷をもっている状態にある。
このわずかな電荷が電気刺激により影響を受けるのだ。
微小管は細胞分裂に重要な役割を担っており、微小管が電気刺激を受けると細胞の増殖が阻害されるというわけだ。
研究チームは今後、研究用のガン細胞ではなく、実際のガン患者から得られるガン細胞を用いて、さらに与える周波数や電圧に関して検討を行い、ガンにおけるテーラーメイド医療を目指す。
現在ではガンは手術療法、薬物療法、放射線療法がメインですが、どうしても副作用からは逃れられない状態にあります。そこに新しい治療法として電気療法が加わり、副作用なくガンの治療が行える、そんな未来が来るといいなと思わせる研究ですね!