高齢者の腎臓病が治りにくいのは、腎臓にリンパ節のような組織ができて炎症が続き、修復力が低下するためだとする研究結果を、京都大の柳田素子教授(腎臓内科学)らがマウス実験で明らかにし、21日付の米医学誌電子版に発表した。
この組織は「3次リンパ組織」で、柳田教授は「腎臓病で血液透析を受けなければならない患者は高齢化社会の進行で増えており、対策が急務。3次リンパ組織を標的とした治療法を開発したい」と話している。
柳田教授らは、複数の若いマウスと高齢マウスにそれぞれ急性腎障害を起こした。すると、若いマウスでは3次リンパ組織がほとんど形成されなかったのに対し、高齢マウスでは腎障害がひどくなるのに伴って3次リンパ組織が腎臓内で広がり炎症が続いた。
3次リンパ組織を取り除くと、腎臓が修復されやすくなった。炎症を抑える働きがあるステロイドを投与すると、3次リンパ組織が形成されないことも分かった。
実際に高齢患者を調べると、腎臓に3次リンパ組織が形成されているケースもあった。
高齢者の腎臓病は若者に比べ治りにくいとされ、詳しい原因は不明だったが、チームは3次リンパ組織の形成が関係しているとみている。〔共同〕