千葉市保管の放射性物質含む指定廃棄物 全国初の指定解除

千葉市保管の放射性物質含む指定廃棄物 全国初の指定解除
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東京電力・福島第一原子力発電所の事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物のうち、千葉市が保管している廃棄物の濃度が国の基準を下回ったことから、環境省の井上副大臣が22日、千葉市を訪れ、熊谷市長に全国で初めて指定の解除を行うことを正式に伝えました。
原発事故のあと、各地の自治体などで保管が続く放射性物質を含む指定廃棄物について、環境省は原発事故から5年がたつなか、濃度が国の基準の1キロ当たり8000ベクレルを下回ったものについて、指定を解除し、一般のゴミとして処分できるようにしました。千葉市は市内の清掃工場で保管している7トン余りの指定廃棄物について、先月、濃度を測定したところ、基準を下回ったことが確認できたことから、指定の解除を申請していました。
これについて、22日、環境省の井上副大臣が千葉市役所を訪れ、審査の結果、23日付けで指定を解除するとした通知書を熊谷市長に手渡しました。指定が解除されるのは全国で初めてです。
これに対して熊谷市長は「迅速に判断していただき、感謝します。解除後も当面は、清掃工場内で保管を継続し、今後の処理方法を検討していきたい」と述べました。
一方、千葉市が県内に保管されている指定廃棄物の処分場の候補地となっていることについて、熊谷市長は「指定が解除され、指定廃棄物がないという状況を鑑みれば、市民の理解はさらに得られにくくなった」と述べ、改めて処分場の受け入れを拒否する考えを伝えました。
これについて井上副大臣は「県内1か所に集約して保管していくことが適切だという考えに変わりはない。今後とも対話は進めていきたい」と述べ、千葉市側と協議を続けたいとする考えを示しました。
指定廃棄物は、放射性物質を含む汚泥や焼却灰などの廃棄物で、放射性物質の濃度が1キロ当たり8000ベクレルを超えるものです。
千葉県内にはことし3月の時点でおよそ3714トンあり、10の市で保管されていました。このうち保管している量が最も多いのが柏市でおよそ1064トン、最も少ないのが千葉市で7トン余りとなっていました。
千葉市では市内の清掃工場で指定廃棄物を保管していて先月行った測定で、1キロ当たりの放射性物質の濃度が4020ベクレルから6100ベクレルとなり、国の基準を下回ったことが確認されていました。千葉市では指定が解除されたあとも直ちには処分せず当面、保管を続けるとしています。

千葉市長 分散保管が現実的

会談のあと千葉市の熊谷市長は、県内に保管されている指定廃棄物の処分場の受け入れについて、「指定廃棄物が存在しない千葉市に千葉県じゅうの廃棄物を集めることは到底市民の理解は得られない。分散保管が現実的で、政策を見直して現実的な路線を検討していく必要があるのではないか」と述べました。

井上副大臣 1か所に集約し管理が完全

会談のあと環境省の井上副大臣は、指定廃棄物の解除について「指定廃棄物の解除で量そのものが減ることは住民の不安の軽減につながる。大変有意義なことだ」と述べました。また、千葉市が処分場の受け入れを拒否する考えを改めて示したことについて井上副大臣は、「自然災害のおそれもあるので現状の一時保管が継続することについては懸念を持っている。住民のことを考えると1か所に集約して管理するほうが安全であり、これからもしっかり千葉市と協議していきたい」と述べました。

柏市 状況見守りたい

千葉市が指定廃棄物の処分場の受け入れを拒否する考えを示していることについて、千葉県内で最も多いおよそ1064トンの指定廃棄物を保管している柏市の秋山浩保市長は定例の会見で、「国と県内の市町村との協議を経て候補地が決まったという過程があるので、その行政プロセスは尊重されるべきだと思っているが、一方で、千葉市が拒否する意向も心情的にはよく分かる。環境省も丁寧に慎重に話し合うとの考えを示しているようなので、われわれとしては、その状況をしっかり見守っていきたい」と述べました。