「暗黒物質」見つからず 欧米チーム観測で
宇宙の質量の8割を占めるとされながら、いまだに見つかっていない謎の物質「ダークマター(暗黒物質)」の探索を行ってきた欧米の大学による「大型地下キセノン実験(LUX)」チームは21日、2014〜16年の観測実験で「暗黒物質は検出されなかった」と発表した。
チームの検出器は現時点で世界最高の感度を誇ることから、大発見の期待が高まっていたが、持ち越しとなった。感度を70倍に高め、20年ごろから再挑戦するという。
暗黒物質は、星や銀河の誕生に重要な役割を果たしたと考えられている。電気を帯びていない特徴があり、陽子の100倍以上の質量とみられる。
検出器は350キロの液体キセノンを詰めた容器を大きな水槽の中に設置した構成で、米中西部サウスダコタ州の地下約1500メートルの坑道にある。秒速260キロで飛んでくる暗黒物質粒子が、液体キセノンと衝突した際に出る光を捉える仕組み。衝突はまれにしか起きない現象で、光も微弱だと予想されている。
東京大宇宙線研究所が岐阜県飛騨市の神岡鉱山跡で同様の観測を試みているほか、欧州の巨大加速器LHCでは陽子同士を衝突させ、暗黒物質の発生を目指すなど、激しい探索競争が行われている。(共同)