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【政治】

辺野古 沖縄県を再提訴 政府、参院選終え強硬姿勢

 政府は二十二日、米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設に伴う名護市辺野古(へのこ)への新基地建設に関し、翁長雄志(おながたけし)知事が埋め立て承認取り消しの是正指示に従わないのは違法だとして、県を相手取って地方自治法に基づく違法確認を求める訴訟を福岡高裁那覇支部に起こした。米軍専用施設「北部訓練場」の返還の条件になっているヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の工事も始めた。参院選が終わり、地元の反発が強い米軍関連施設建設の動きを再開した形だ。 

 今年三月にいったん和解した辺野古新基地をめぐる政府と県の対立は、法廷闘争へと回帰した。政府は司法判断による決着を経て本格的な移設作業を早期に再開したい考え。一方、知事側は県民の反対意見を踏まえ、徹底抗戦する構えだ。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は二十二日の記者会見で、提訴に関し「和解条項に基づいて手続きが進んでいる証しだ」と強調。「政府としては引き続き和解条項に従い、訴訟と協議の手続きを並行して進めるなど誠実に対応していきたい」と述べた。

 政府と県による三月の和解条項は、第三者機関「国地方係争処理委員会」が是正指示の適否を判断した上で、県が政府を提訴する段取りを想定していた。しかし係争委は適否を示さず、国と県の双方に問題解決に向けた協議を促した。

 県側は、政府との話し合いによる解決を重視するとして、県側からの提訴を見送ることを決め、二十一日の政府との協議会で改めて方針を伝達。これに対し政府は、普天間移設の進展を急ぐため、再び訴訟に踏み切った。

 高裁支部は二十二日、第一回口頭弁論を八月五日に開くと明らかにした。判決は今秋に出る見通しで、いずれかが上告した場合、年末から来年初めにかけて最高裁判決が出るとみられる。菅氏は最高裁の判断について「政府として、早い時期を望んでいる」と述べた。

◆翁長知事「民主主義国家から程遠い」

<解説> 参院選が終わったとたん、沖縄県内の米軍関連施設の工事に関連する手続きに相次いで着手したことについて政府は「準備が整ったためだ」(中谷元・防衛相)などと説明している。しかし、翁長雄志知事は「普天間の県外移設を求める民意が示されているのに、強硬に新基地建設を推し進めるのは、あるべき民主主義国家の姿からは程遠い」と反発を強めている。

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設計画を巡っては、政府と県の和解条項に基づく総務省の第三者機関が両者の対話を促した。だが、政府は早期の工事再開を目指し、司法手続きと県との協議を並行し進める方針。県側は与党の敗北が続く参院選など最近の「民意」を背景に、協議を求めたが政府は受け入れず、訴訟に踏み切った。

 中谷氏は名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ陸上部分の工事を早期再開する考えも示している。新基地はシュワブの陸上部と沿岸部に建設される計画。政府としては、陸上部の工事を進め、新基地建設の既成事実化を図ろうとしているとみられる。

 米軍専用施設「北部訓練場」の部分返還に向けた条件となるヘリパッド建設について、政府は「一日も早い基地負担軽減に資する」(菅義偉官房長官)と理解を求め、辺野古新基地の建設推進に役立てたい考え。しかし、現在あるヘリパッドを返還されない区域に移すのが条件で、地元からは負担軽減に疑問の声が出ている。翁長氏は、政府が参院選翌日の十一日に資材や重機を搬入したことに不快感を示していた。 (新開浩)

(東京新聞)

 

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