1ヵ月以上意識不明に
米オハイオ州にあるシンシナティ小児病院麻酔学科のアンドレア・ループク医師とそのグループが昨年、全身麻酔についての驚くべき研究結果を発表した。
研究によれば、4歳未満の時期に全身麻酔を使った手術を経験した5~18歳の子供たち53人と、手術を経験していない同数の子供たちに知能テストと言語発達検査を行ったところ、手術経験のあるグループは、経験のないグループに比べて、明らかにテストの成績が悪かった。
これは、全身麻酔によって小脳や後頭葉の「灰白質」と呼ばれる部位の密度が低下してしまったことが原因と報告されている。
人間の意識をシャットダウンし、血圧を低下させたうえ、自発呼吸をも止め、「死」に近い状態をつくりだす。投与すれば、患者はどんな刺激にも反応しなくなる――全身麻酔はそれだけの劇薬だ。副作用があることは何ら不思議ではない。
患者やその家族は、手術の部位や手法に気を取られ、「脇役」である全身麻酔にはそれほど注意を払わない。しかし、この研究結果からも分かるとおり、全身麻酔は大きな副作用を引き起こしうる。
これだけのリスクを伴うのだから、もちろん投与にも高い技術が必要とされる。
「鎮痛、鎮静、筋弛緩の3つの薬をうまく組み合わせて上手に麻酔をかけ、手術中、患者さんが痛みを感じず、体を動かさないような状態をつくりだす。しかも同時に、手術後の適切なタイミングで麻酔が覚め、患者さんに吐き気や頭痛といった副作用が出ないよう、量を調整しなくてはならない。その作業は複雑で、難易度も高い」(麻酔科医)
また、麻酔科医にも、得意、不得意がある。心臓手術の麻酔、肺の手術の麻酔、産婦人科の手術の麻酔……それぞれが専門を持っているのだ。
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