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南シナ海問題でロシアが中国を支持しない理由

蜜月演出の裏に透ける、危うい中ロ関係

2016年7月22日(金)

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 中ロ関係は「蜜月」とされる。先の在韓米軍への米ミサイル防衛システム配備決定にそろって非難の声を上げるなど、外交分野でも連携を強めている印象を受ける。ただ実態はどうか。むしろ両国関係の危うさが随所にうかがえる。
6月末のプーチン大統領訪中の際には、共同声明から個々の経済協力の覚書まで含めて、両国が調印した合意文書は合計で37に上ったが…(写真:Kremlin/Sputnik/ロイター/アフロ)

「強烈な不満と断固たる反対を表明する。中国の戦略安全利益を損ねることをしてはならない」(中国外務省声明)

「この決定に深刻な懸念を表明する。米国は同盟国の支持を得て、アジア太平洋地域でも世界的なミサイル防衛(MD)システムの構築を進め、その内外の領域の戦略的なバランスを崩そうとしている」(ロシア外務省声明)

 中国とロシア両政府は今月8日、そろって激しい非難声明を出した。米国と韓国政府が同日、最新鋭の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の在韓米軍への配備を決めたことに、すかさず反応したものだ。

 米韓がTHAADを在韓米軍に配備するのは、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対し、抑止力を高めるのが狙いだ。米領グアムや在日米軍基地なども射程に入る中距離の「ムスダン」や「ノドン」、さらに短距離の「スカッド」といった弾道ミサイルの迎撃を想定している。北朝鮮以外の「いかなる第三国も対象にしない」というのが米韓の説明だ。

 しかし、中ロはいずれも、自国の弾道ミサイルを無力化するのが米国の真の狙いだとみて猛反発しているわけだ。

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「南シナ海問題でロシアが中国を支持しない理由」の著者

池田 元博

池田 元博(いけだ・もとひろ)

日本経済新聞社編集委員

1982年、日本経済新聞社に入社。90~93年にモスクワ特派員、97~2002年にモスクワ支局長。その後、ソウル支局長(05~08年)も歴任。08年から論説委員会に在籍。編集委員も兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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