韓国メディア合同の取材チームが18日、米領グアムの米軍基地に配備された最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」に用いられるレーダー(Xバンドレーダー)から出る電磁波を測定したところ、世界保健機関(WHO)が定める人体に有害となる基準の0.001%よりもさらに低いことが分かった。電磁波を測定した位置からレーダーまでは1.6キロ離れた距離だったが、これは慶尚北道星州郡に設置が予定されているレーダーから最も近い民家までの距離に相当する。今回の測定結果は自然状態と言ってもよいレベルで、専門家によると、携帯電話や電子レンジから出る電磁波よりもはるかに弱いという。発電機の騒音もレーダーのすぐ横では耳栓が必要なほどうるさかったが、500メートルも離れれば全く聞こえなくなった。
韓国国防部(省に相当)は先日、軍事機密漏えいという批判を受けながらも、中部地方のグリーンパイン・レーダー基地と首都圏のパトリオット・ミサイルの基地を公開し電磁波の強さを測定した。その結果、グリーンパインはTHAADよりも強力な電磁波を出すにもかかわらず、それでも人体に有害とされる基準をはるかに下回っていた。これら一連の試験結果によりTHAADが人体に無害であることが明らかになれば、電磁波や騒音をめぐる数々のうわさは全て科学的根拠がないということになる。
今回、米太平洋司令部がグアムに設置されたTHAADを公開するのは、北朝鮮が中距離弾道ミサイル「ムスダン」の発射実験を始める兆候が見られた2013年にこの基地を建設して以来、初めてのことだという。このことだけでもグアムを直接狙うムスダンに対する米国の警戒心の強さとともに、今なお韓国国内で広まるデマを米国がいかに懸念しているかが分かる。
ただしこれら一連の結果が公表された後も、デマを広める反対グループは活動をやめないだろう。2006年に京畿道平沢市で起こった米軍基地建設妨害事件や、08年の「狂牛病(牛海綿状脳症、BSE)問題」を引き起こした反対グループは、今回もすでにTHAAD配備に反対する団体を立ち上げ、18日には野党関係者に面会を求めた。
しかし今回のTHAADの電磁波や騒音にまつわるデマに関しては、国民の多くは狂牛病問題当時と比べてはるかに落ち着いた反応を示している。そのため問題はTHAADが設置される星州郡の住民がいつ設置を受け入れるかに懸かってきた。ところが政府の動きを見るとどこか準備不足で、いたずらにばたついている感があり、どうも安心できない。政府は今後、一連の客観的データに基づいて星州郡住民の説得に当たるべきだが、それもできないようでは本当に無能な政府と言わざるを得ないだろう。