靖国神社内の公衆トイレで爆発音がした事件で、建造物損壊罪などに問われた韓国籍の全昶漢被告(28)の判決公判が19日、東京地裁であった。家令和典裁判官は懲役4年(求刑懲役5年)を言い渡した。
家令裁判官は判決理由で、「靖国神社で騒ぎを起こせば自分にマスコミの関心を引くことができると考えた」と動機を認定。「極めて計画性が高く悪質」と指摘した。犯行後、被告が新たな事件を起こそうと、大量の火薬を持って再来日したことに言及し「重大な事態に発展しかねず、刑事責任は重大」と批判した。
判決によると、全被告は昨年11月、靖国神社に侵入し、トイレ内で金属製パイプに詰めた黒色火薬を燃焼させて天井を損壊。同12月に韓国から火薬約1.4キロを日本に持ち込もうとした。
検察側は論告で、靖国神社にA級戦犯が合祀(ごうし)されていることに不満を持ち、犯行に及んだと指摘。「用意周到で入念に計画された危険なテロ行為」とした。弁護側は「思想的な目的はなく、テロ行為とは性質が異なる」と執行猶予を求めていた。