2016.7.19のニュース
ソチ五輪でロシア国ぐるみドーピング、WADAが発表 プーチン大統領は反発
dly1607190006世界反ドーピング機関(WADA)の調査チームが18日、カナダのトロントで記者会見し、2014年ソチ冬季五輪でロシアが同国スポーツ省の監督の下、ロシア選手の禁止薬物使用が発覚しないように検体をすり替えるなど、検査結果を国ぐるみで操作したとする調査結果を公表した。
調査結果によると、モスクワの検査所では違反隠蔽のため、少なくとも11年から15年にかけて、陽性反応が出た検体のうちスポーツ省から「救済」の指示が出たものについては、WADAに「陰性」と虚偽報告をする手法が横行。「救済」とされた検体はメダリストや有望選手のものが多く「陸上だけでなく幅広い競技のロシア選手が恩恵を受けていた」とした。パラリンピック選手も違反隠しの対象だったとした。
ただ、この手法は外部の人間が検査に関わる国際大会では通用しないためソチ五輪では検体のすり替えを行ったとした。
◇ プーチン大統領が声明
WADAの調査結果を受け、ロシアのプーチン大統領は18日に声明を出し、報告で直接関与したと名指しされた当局者について、ロシア側の調査が終わるまで一時的に職務停止とする方針を示した。一方で、報告の客観性を疑問視し、「スポーツへの政治介入」に当たるとして反発した。
声明では、報告はソチ五輪のドーピング検査所で所長を務めたロドチェンコフ氏だけの証言に基づいているが、同氏には「スキャンダルの評判がある」と主張。WADAには「客観的な」情報を提供するよう求めた。
さらに、1980年モスクワ五輪を、日本や米国が当時のソ連によるアフガニスタン侵攻に抗議してボイコットし、これに対抗してソ連や他の東側諸国が84年ロサンゼルス五輪に参加しなかった問題を挙げ、現在に似ていると指摘。「国家と国民について悪い印象をつくり出し、スポーツを政治的圧力の道具に使う」状況になっていると批判した上で、「五輪運動は再び分裂の瀬戸際に追い込まれうる」と警告した。 (共同)