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 ダイエット食品の行き過ぎた広告に歯止めをかけようと、消費者庁が実物さながらの法律上問題がある広告の見本をつくった。根拠もなく食べるだけで簡単に痩せられると思わせる表示をしないよう、販売業者に注意喚起するためだ。

 太った男性の画像とともに、「ブヨブヨお腹(なか)が、たったの1粒で…!」「飲むだけでドンドン落ちる!」。消費者庁がつくった問題広告の一部だ。

 この広告の肝は「痩せる」とは、一切書いていない点。特定保健用食品(トクホ)などと異なり、国の制度に基づかない健康食品は「体脂肪を減らす」といった効果を明示できない。そのため、販売業者の間では、「痩せる」とは書かず、効果を期待させるような文言や画像を広告に用いて、購買意欲をかきたてる手法が広まっている。

 今回、消費者庁は、どのような広告が問題になるのか、見本広告を作って具体的に明示。広告全体で痩せる効果を得られるかのような表示をすれば、景品表示法などに違反するおそれがあるとしている。また、広告に「個人の感想であり、効果には個人差があります」と注意書きしても、法律違反を免れることにはならないと念押ししている。

 一方、消費者に対しても「特定の食品をとるだけで、運動や食事制限することなく、短期間で簡単に痩せる効果が得られることはない。適度な運動や食事制限をしながら人が痩せることができるのは6カ月で4~5キロ程度だ」とし、広告をうのみにしないよう呼びかけている。(毛利光輝)