【コラム】大陸国家の中国が海を欲しがる理由は(1)

【コラム】大陸国家の中国が海を欲しがる理由は(1)

2016年07月19日09時14分
[ⓒ 中央SUNDAY/中央日報日本語版]
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  大陸国家の中国が今、南シナ海を欲しがっている。中国は清時代の地図を根拠に南中国の海上に9つの仮想の線でつなげた「9段線(Nine Dash Line)」を決め、この地域すべてが中国の領土だと主張している。1945年に日中戦争が終わった後に日本からこの地域の領有権を回収して58年に中国領と宣言したというものだ。南シナ海の90%に達するこの地域はフィリピン・ベトナム・マレーシア・ブルネイの排他的経済水域(EEZ)と重なる。中国のこうした行動は強大国になるための戦略的選択であり、石油の海上輸送路の確保と米中覇権競争まで念頭に置いている。

  ◆大国の条件は海洋強国

  明は鄭和の大航海を通じてアジアとアフリカにかけ34カ国の朝貢国を率いた最強の海洋大国となった。明の次は清だ。海を見たことがない騎馬民族出身の清の皇帝の目には海軍がアフリカまで遊覧して見回りながら兵糧米も減らすような存在に見えた。海洋の重要性を見逃していた満洲族の清は、世界最強だった明の艦隊を薪のように切ってはかまどに入れてしまった。このように海軍を弱体化させた結果1840年のアヘン戦争で敗れて西欧の海洋国家の植民地へと転落した。

  中国に対する西欧帝国主義国家の侵略は全て海上からきていた。それで中国の建国者である毛沢東は53年の演説で「海洋強軍」を力説した。帝国主義の侵略を防ごうとするには必ず強い海軍を建設しなければならず、米国が掌握した太平洋は中国の立場としては決して太平しないという点を強調した。彼は「中国はすでに強い陸軍と空軍を有しており、帝国主義があえて中国を再び威嚇できないようにするには強大な海軍も持たなければならない」と力説した。

  歴史を見れば世界の覇権国は全て海洋強国だった。古代のアテネ・カルタゴ、中世のヴェネツィア・ポルトガル・スペイン、近代のオランダ・英国・日本・米国は全て海洋強国だった。米国の国内総生産(GDP)の63%に達するほど成長した中国は、今は露骨に覇権を、そして海洋強国を夢見ている。中国は2012年11月の第18次党大会で「海洋強国の建設」を宣言して海洋崛起を始めた。

  中国はベトナムEEZに属する南シナ海の西沙諸島(パラセル諸島)近隣の水域で2014年から石油のボーリングを断行し、フィリピン近海の南沙諸島(スプラトリー諸島)に人工島と滑走路を建設した。これを機に中国は仮想の国境線である「南海9段線」を中心にこの地域は「絶対譲歩できない核心地域」という主張をし始めた。中国はベトナム戦争中だった74年に軍事力を動員して西沙諸島を占領し、これは後になってベトナムと戦争を繰り広げることになった原因の1つとして作用した。79年の中・ベトナム戦争当時に習近平主席は中国の中央軍事委弁公室秘書で実務責任者だった。それで習主席はベトナム問題には一見識がある。

  ◆米国に首預ける「マラッカ・ジレンマ」

  南シナ海周辺の半径200キロに世界人口5億人が暮らしており、南シナ海の海上交通量はスエズ運河の3倍、パナマ運河の2倍にもなる。中国の全体貿易量の90%が南シナ海を通過する。世界には3つの輸送路の急所がある。パナマ運河、スエズ運河、そしてマラッカ海峡だ。中国においてマラッカ海峡は石油をはじめとする重要物資の輸送路として重要だ。(中央SUNDAY第488号)

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