採用者が集まらないのはAIIBの待遇にあるらしい。報道によると、AIIBの関係者は「AIIBの待遇が他の国際機関に比べてよくないため高級人材が志願しない」と説明。AIIBを主導する中国政府は当初、職員の給与を他の国際機関より10%高く設定したが、発足前に各国代表で構成された理事会は「給与が過度に高い」という批判が提起されると、他の国際機関より10%低くしたという。職員に住居費と学費も支援しないことにした。
ちなみに、フィリピンのマニラに本部があるADBは、職員の住居費と国際学校の学費全額を支援している。米ワシントンDCにあるIMFは国際学校の学費を支援する。
子供を学校に通わせている専門家らが、AIIBに手を挙げない理由はここらへんにありそうだ。
AIIBの人事関連のつまずきはまだある。今月、創設メンバー国の韓国が副総裁職を失うことになったのだ。
出資比率で中国、インド、ロシア、ドイツに続く5番目の地位を占める韓国は、副総裁(5人)の一角に洪起沢(ホンギテク)・韓国産業銀行会長を送り込み、洪氏は投資リスク管理担当の副総裁(CRO)を務めてきた。
しかし韓国造船大手の粉飾事件の余波が洪氏にもおよび、同行会長時代の責任を問われた洪氏はこのほど副総裁の休職に追い込まれた。
洪氏は朴槿恵大統領の経済ブレーン。中国側の強い圧力があったとも報じられている。経営モラルが疑われる不祥事によるAIIB開業後わずか半年での洪氏の「退場」は、中韓関係に影響する可能性も指摘されており、AIIBの先行きに影を落とす恐れもある。