かつてのフェラーリ技術責任者であり、2013年までメルセデスAMGのチーム代表を務めていたロス・ブラウンが、今のフェラーリに必要なのは「穏やかな取り組み方」だと語った。
■フェラーリは「危機的状況」だと伊メディア
フェラーリは2007年にキミ・ライコネンがドライバーズタイトルを獲得して以来1人もF1チャンピオンを生み出すことができていない。今シーズン開幕前には現会長のセルジオ・マルキオンネがメルセデスAMGからタイトルを奪い取ることを目標に掲げていたものの、現時点ではその達成も事実上困難な位置に置かれている。そして、イタリアのメディアはフェラーリにまたしても「危機」が訪れているとさかんに報じている。
最近では、フェラーリの技術責任者を務めるジェームス・アリソンも近いうちに降格されるか、あるいはチームを離れることになりそうだともうわさされているほか、チーム代表のマウリツィオ・アリバベーネも更迭されるのではないかとも伝えられている。
そして、フェラーリではかつて技術責任者としてミハエル・シューマッハとともに黄金時代を築いたブラウンに対し、再びチームへの復帰を求めているのではないかとうわさされている。
■フェラーリは現体制を維持すべきだとブラウン
だが、すでにF1の世界から身を引いて3年目を迎えているブラウンは、再び休むひまもない激務が待つF1へ戻るつもりはないと主張。ブラウンはさらに、フェラーリはアリソンをトップとする技術部門体制を今後も継続すべきだとイギリスの『Sky(スカイ)』に次のように語った。
「彼ら(フェラーリ)には非常にいい人材が何人もいる。ジェームス・アリソンはすごく優秀だし、彼にリソースや時間を与え、彼を中心とする仕組みを作り、優秀なドライバーたちを与えれば、フェラーリは成功を手にすることができるだろう」
「だが、彼らは過剰に反応してはならないし、メディアが報じていることに神経過敏になってはならないんだ」
そう語ったブラウンは、シューマッハとともに大きな成功を収めた時期には、チーム代表であったジャン・トッド(現FIA会長)も自分も当時の会長であったルカ・ディ・モンテゼモーロから強く守られていたと付け加えている。
■フェラーリには穏やかなアプローチが必要
さらにブラウンは、現在のフェラーリには「穏やかな取り組み方」が必要だと、次のように続けた。
「的確な計画を持ち、的確な組織づくりを行うよりも、すべてのシステムを白紙に戻して別のことをやろうとするのは非常に簡単なことだ」
「フェラーリには自分たちがやるべきことをちゃんと守ることが重要なんだ。だが、彼らはそれを進歩的に行う必要があるし、穏やかに行わなくてはならない」
■ベッテルは正しい取り組み方をしている
ブラウンはさらに、フェラーリの事実上のトップドライバーであるセバスチャン・ベッテルの現在の取り組み方を擁護している。ブラウンは、ベッテルの取り組み方はシューマッハがフェラーリで活躍していたころのことを思い起こさせるものだと語り、次のように続けた。
「もしセブ(ベッテルの愛称)が外部に向けてチーム批判をするようになったら悲惨なことになるだろうね」
「もし彼がミハエルと似たところがあるならば、彼は内部的に非常に強いはずだ。彼はおおやけに批判めいたことを言わないし、投げ出したりもしない。彼はチームを守っているんだ。つまり、彼は正しい取り組み方をしていると私は考えているよ」とブラウンは結んでいる。
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