歴史の解釈は時代とともに変わる、とは言うけれど、人気のある偉人も、時代とともに変わります。『世界一受けたい授業』でおなじみの河合敦先生が、歴史ヒーローの古今について、解説します。
女子高生の悲鳴に驚いたら…
数年前、高校で歴史を教えていた時に驚くことがありました。黒板に「長宗我部元親」と書いたら、突然女子生徒が「キャー」と声を上げたのです。なにが起きたのかと思い「どうした!」と尋ねると、「カッコイイ!」と。
私は仰天しました。現存する肖像画を思い浮かべる限り、長宗我部元親はとてもではありませんが女子高生がときめくようなルックスとは思えなかったからです。
後で分かったのですが、彼女の脳裏に浮かんでいたのは、戦国時代を舞台にしたテレビゲームで活躍する「イケメンの元親像」だったのです。そのゲームでは、大変に美化された武将たちが登場するのですが、特に元親の人気が高いと聞き、時代の変化に驚いたものです。
テレビや雑誌などでは、しばしば「好きな歴史上の人物・偉人ランキング特集」が組まれますが、その多くは、決まったメンバーが顔を揃えていますように思えます。
戦国時代だと、確実に上位にあがってくるのが織田信長、真田幸村、伊達政宗などでしょう。幕末では坂本龍馬がダントツで、さらに高杉晋作、土方歳三、沖田総司などが続きます。そのほかの時代では卑弥呼や聖徳太子、夏目漱石なども根強い人気です。それこそ、今の女子高生に聞くと、「長宗我部元親」という声も上がるのかもしれません。
でも、戦前に同じアンケートをとったら、その結果は全く変わったものなったはず。たぶん今では考えられない、楠木正成、中江藤樹、二宮尊徳、和気清麻呂、乃木希典などがランクインしているのではないでしょうか。
時代によって偉人の人気や評価が変わる理由はどこにあるのでしょうか。
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