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パレスチナのラブストーリー『オマールの壁』
トルコのクーデターが気になり、元朝日新聞記者の川上泰徳さんが書いている「ニューズウィーク日本版」を読んでいると、映画に関する記事がありました。
パレスチナのラブストーリー『オマールの壁』に関する解説です。
約10年前に、自爆攻撃に向かう2人のパレスチナ人の若者の48時間を追った『パラダイス・ナウ』を撮ったパレスチナ人監督、ハニ・アブ・アサドの作品である。『パラダイス・ナウ』ではアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたが、『オマールの壁』で2回目のノミネートとなった。
『オマールの壁』はパレスチナの若者たちがイスラエルの秘密警察の策謀によって、友情や愛を引き裂かれる悲惨な物語であり、サスペンスを利かせた巧みなストーリー展開で見せていく。イスラエル軍によって、全裸で吊り下げられて拷問される場面もあり、衝撃的な結末まで、鉛を呑まされるような重苦しさの残る映画である。(「映画『オマールの壁』が映すもの(1)パレスチナのラブストーリーは日本人の物語でもある」より)
この監督の作品は、自爆攻撃をする若者を描いた映画でアカデミー賞外国語映画賞にノミネート。『オマールの壁』で2回目のノミネート。 しかも、この映画はパレスチナが舞台です。言語は興味を持ち始めたアラビア語の映画に違いありません。
これは見たいと思いました。映画で描かれるのは理想の人間像です。前作では、パレスチナの監督は自爆攻撃をする若者をどう描いたのか、パレスチナのラブストーリーなら、「名誉の殺人」まであるイスラム文化圏の女性をどう描いたのか、そんな興味もあります。強姦の被害者まで、殺害したりするんですから。
監督が考える理想はどんなものなのか、現実のギャップを監督はどう考えているのか、それを知りたいと考えたのです。
レビューを見るとなかなか良さそう
『オマールの壁』の公式サイトを見るとなかなか良さそうです。
パレスチナでは政情が不安定ですから、日常生活をするだけでも平和な日本とは比べ物にならないくらい大変なこと。そこで映画が作られるのですから、劇的要素のスケールも大きいに違いありません。
私が映画を見るときは、プロの評論家の評価は頼りにしないで、Yahoo!映画のユーザーレビューを見ます。
うむ、なるほど。期待したとおりのレビューです。
予告編を見て、「あれ?」と思った
公式サイトに貼り付けてある予告編を見てみました。
オマールは秘密警察に囚われて「誰がイスラエル兵を殺したのか」と拷問されます。「ここから出たいのなら仲間を売れ。イスラエルのスパイになるんだ」と。
一生囚われの身になるか、裏切りものとして生きるのか。
あれ? そんなテーマの映画なの?
仲間を売ってまで自分が自由になるべきなのか、仲間が大事なのか、自分が大事なのか、切実なテーマなのは分かりますが、使い古されてカビ生えていない?
そう思ってしまいました。この映画は見るべきと考えたのは間違いだったのでしょうか・・・。
川上泰徳さんの解説を読んで、やっぱり見たくなった
とりあえず、川上泰徳さんの解説を読んでみることにしました。
仲間を売ってまで自分が自由になるべきなのか、仲間が大事なのか自分が大事なのか。
さらに続きがあります。オマールが釈放されると、みんながオマールのことをスパイだと思い始めるのです。ここからがメインですね。
川上泰徳さんの解説は丁寧で、最後の意外な結末をネタバレで考察しています。ネタバレを好まない人のためにひとつだけ興味深いエピソードを紹介します。
それは「サルの捕り方」の話です。
アフリカの猟師は野生のサルに砂糖を与えて、砂糖の味を覚えさせる。その後、地中に砂糖の塊を埋めて、手がちょうど入るくらいの穴をあけておく。サルは砂糖の臭いを嗅ぎつけて穴に手を突っ込む。そこへ猟師が来て、網でサルを捕まえようとするが、サルは猟師が来るのを見ても、砂糖をつかんだまま離そうとしないので、手が抜けずに、猟師に捕まってしまう。(「映画『オマールの壁』が映すもの(2)不毛な政治ではなく人間的な主題としてのパレスチナ問題」より)
この「サルの捕り方」の話はどんな伏線回収が行われるのでしょう?
上映は渋谷の UPLINK。
- 7月21日(木)~7月22日(金)が18:00~19:47
- 7月23日(土)~7月29日(金)【最終日】が13:00~14:42
なんとか行きたいと思います。
きっと面白いですよ。皆さんもぜひ!