なぜインスタで検索するのか

「グーグル検索は文字ばかりで疲れる。行きたいお店は「インスタ検索」してスクショをLINEする。女子大生に聞いた、お店探しにグーグルをつかわない理由。」

これ、すごく面白い話題なので周辺研究者として言いたいことはたくさんあるんですけど、一つはっきりさせたいのはグーグル検索とインスタ検索って当然のことながら全然違うもので、それは若者もちゃんと理解しています。

なので、グーグル検索はもう古いとか、今時の若者は画像でしか理解できないとか、そういう言い方はちょっと的外れかなと。なんで私がグーグルの擁護をしてるのか分からないですけど。

たとえば「山本昌がノーヒットノーランをしたのって二十世紀だっけ?」と思ったら、それは若者でも年寄でも、まあグーグル検索だったりヤフー検索を使うだけです。グーグル検索は答のはっきりした問いにすごく強いし、グーグル自身がそこを研ぎ澄ましてきた経緯がある。方程式を入れたらダイレクトで答が出たり、人名を入れたらWikipediaの引用が出てきたり、「天気」とか「映画」とか入れると周辺の今の状況が出てきたり。

グーグルには、検索結果の量と多様性を見せびらかすよりも、一つの答をはっきり提示したいという志向性があって、その究極が例の「I’m Feeling Lucky」なわけです。

でも世の中には「明日ランチになに食べよう」とか「冷蔵庫にレタスが余ってるんだけど」とか「結婚式の二次会ってどういう服着て行ったらいいの」とか、そういう答のない問いもあるわけです。もちろん「担々麺食えよ!」とか「チャーハン作れよ!」とか、答をなんらか提示してやるのは可能なんだけども、人間ってのは欲ばりなので、一つの答えだけじゃなくて、色々な選択肢の中から悩みたい。

そういう時に、インスタの検索ってのは画像でバーッと出てきて便利なわけです。答えを出してもらうための検索ではなくて、答えを考えるための検索。探索といったほうがいいのかも。

インスタってなんであんなに大勢の人が使ってるの、毎日写真アップロードするネタがあるの、みたいなことをよく言われるのだけど、こういう検索・探索にすごく使われているというのは、なかなか実際に試してみないと見えないところなのではないかと。

グーグル検索自体、昔はそういう探索にも使われていた部分があったと思います。とりあえず3ページ目まで結果を見てみよう、みたいな。でもグーグル自体が答を提示するインタフェースにどんどん変化していって、まとめサイトとかが上位に出るようになって、あれこれ見る用途には向かなくなった。グーグルの検索結果がつまらなくなった、みたいな声がベテランから聞こえるわけです。

余談ですが、もちろんツイッター検索もあります。事件とか、地震とか、電車の遅延とか、即時性のある情報を見つける。似たようなツイートばかり見つかるのだけど、むしろその同一性が勢いを測る指標になったりする。あともう一つ隠れた巨大検索エンジンがありますが、これはまたの機会に置いておきます。

つまり検索と一口に言っても、なにをどう調べたいかで、用途も複数あれば、そのためのサービスも複数ある。特にモバイルでは、まず起動するアプリを選ぶところから始まるので、同じ検索と言っても用途によるアプリの使い分けというのが自然と発生する。そういうことではないかと。

余談ですが、むしろ元記事で気になるのは、なんでもスクショで共有するという話で、これはスクショ以外にOS側でユニバーサルな保存・アプリ間共有機能がないということの裏返しです。冷静に考えれば画像のコピペさえできないわけで、そうしたモバイルOSの欠陥をスクショで埋め合わせている。悲しいですね。

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