「1兆個のチップを地球上にばらまく」孫正義氏が出した“シンギュラリティ”に対する答え
2016年7月21日に行われた「SoftBank World 2016」の孫正義氏基調講演。今回のARM買収やソフトバンクのこれからについて、およそ1時間にわたりプレゼンしました。
2016年7月21日に行われた「SoftBank World 2016」の孫正義氏基調講演。今回のARM買収やソフトバンクのこれからについて、およそ1時間にわたりプレゼンしました。
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SoftBank World 2016 > 孫正義氏基調講演 2016年7月21日のログ
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- ソフトバンクグループ株式会社 代表取締役社長 孫正義 氏
10年前から「いつかARM」と考えていた
孫正義氏(以下、孫) おはようございます。今週の月曜日に、我々の新たな挑戦について発表させていただきました。 実はこのARMについては、10年ぐらい前から「いつかARM」と考えておったわけなんです。ただ、その日が本当に来るのかどうか、いつどのようなかたちで実現可能になるのか、それはまだおぼろげな状態でありました。 2週間前に、トルコの港町のあるレストランで4人のランチをしました。その相手方の2人は、ARMの会長とARMの社長でありました。 トルコの港町、トルコと言えば、みなさんご存知のようにテロがありました。テロの直後でしたから、トルコに行くというだけでも身近な人々に大変心配をされました。 しかし、重要なことだから行こうと。それで、大変盛り上がったランチをしたわけですけれども。その直後に、今度はクーデターがあったと。トルコの大統領が別荘を持っていたその場所が、私が行ったトルコのマーマリスという小さな町だったんですね。 そこに空爆をされたということで、テロとクーデターのちょうど間、ほんの瞬間のところに行ったわけであります。 ARMの会長と会ったのは、その日が最初の日でありました。その日にARMの買収について提案をしたいということで、はじめて相手方にプロポーズし、口にしたわけです。 ですから、ほんの2週間ではじめて会ったARMの会長、それまではARMの社長、CEOには何度も会ってます。その前の世代のCEOでありました、ウォーレン・イーストにも何度か会ってます。 ですから、ある意味ARMとは10年前から親しくしてはいたわけですけれども、買収というかたちで提案したのは、その日、つまり今から2週間前が最初でありました。 今からというか、月曜に発表したそのちょうど2週間前ですね。今週の月曜日からさかのぼって2週間前にはじめて会って。そして2週間で、日本のこれまでの経済史のなかでは最大の買収の発表までいたったということであります。 通常であれば、お互いの交渉だとか、デューディリジェンスだとか、資金調達だとか、まあ、半年ぐらいかかってもおかしくないということなんですけれども。2週間で、本当に2週間で、電撃で今回の発表までこぎつけたということであります。
シンギュラリティに対する答えがARMだった
ところで、去年この場で私はあるキーワードを申し上げました。ちょっとみなさんに聞いてみたいと思いますけれども。手をあげてください。去年この会場にいた人。この僕のスピーチを聞いた人、ちょっと手をあげてください。 (会場挙手) はい。まあ、4割~5割という感じですね。4割~5割の人は、この会場で僕のスピーチを聞いたと。 そういう前提で、じゃあ、今手を上げた人は手をあげないでください、今度ね。はじめてこの場で僕の話を聞くという人にお聞きします。シンギュラリティという言葉の意味、シンギュラリティという言葉の意味を知ってる方、ちょっと手をあげてください。 (会場挙手) おお、すごい。なかなか進んでますね(笑)。同じ質問をすると、だいたい1パーセントから多くて3パーセントの人が手をあげます。そのぐらいまだシンギュラリティという言葉は一般の人々には馴染みのない言葉であります。 去年、この場で「シンギュラリティという言葉の意味を知ってますか」ということで聞いたら、おそらく1パーセント未満の人しか手があがりませんでした。ほとんど知られていないということでありました。 じゃあ、去年すでに聞いたという人、今、そしてすでに聞いてはいなかったけれども手を上げた方含めて、つまりシンギュラリティという言葉の意味は知ってたと。 でも、そのシンギュラリティに対して、この1年間でみずからが、あるいはみずからの会社がどのような手を打ったかと。 重要な局面がこれからやってくると。人類が今まで体験したなかではじめて遭遇する新たな技術的特異点ですね。 つまり人類の知能を遥かに越えていくと。超知性に巡りあうと。この超知性がコンピューターによってつくられた知性であるということですね。 このことに対して、自分はみずからこの1年間でなにをしたかと、なにを考えたかということであります。 私もずっと考え続けました。私なりの答えは、この考え続けたことに対する、私なりのこの1年間の宿題に対する答え、それがARMという答えになったわけです。 今日はそのARMについて、なぜ私がシンギュラリティのなかで重要な一手になるかと。囲碁で言えば、重要な飛び石ですね。 多くのメディアの人あるいはアナリストの人、株式市場でもARMっていって発表してソフトバンクの株価がどんと下がったというぐらいですから、お金をかけて投票する人たちが、ARMを買ったと、「バカじゃないの?」ということで株価がドンと下がったわけですね。 「シナジーって見えないじゃないか」と。「ソフトバンクの今までの事業とのシナジーがまったく見えないじゃないか」ということで、株式という投票、お金を使った投票で、ソフトバンクの株価は下がったわけですけれども。 これがなにを意味するのかと。なぜそこに石を打ったのかと。 囲碁に例えるならば、自分が持っている石の色のすぐ側に石を置くと。わかりやすいですね。自分の陣地を広げるわけですから。今ある持っているもの、今持っているものに足し算をするならば、今ある石のすぐそばに打つというのが一番わかりやすいわけです。 でも、囲碁の勝負を見てください。必ずしもすぐ側に打つ人が勝つかと。10手先、20手先、50手先のところに、「なぜあそこに、今そこに、今そこにその1点に打たなきゃいけなかったのか」というのは、その囲碁の世界に命がけで勝負をしてる人であれば、お互いにわかりあえるというような、そういうことではないかと思います。 まあ、ちょっと言い過ぎですかね(笑)。とにかくじゃあ、前置きはさておき、今日の私のプレゼンをさせていただきます。