[本文へ] 消費生活・消費者問題に関する事例や対処方法を紹介しています。

現在の位置 : トップページ > 注目情報 > 発表情報 > 発熱反応を伴い水素を発生するというパック型入浴剤−使い方によっては、やけどのおそれも−

[2016年7月21日:公表]

発熱反応を伴い水素を発生するというパック型入浴剤−使い方によっては、やけどのおそれも−

*詳細な内容につきましては、本ページの最後にある「報告書本文(PDF)」をご覧下さい。

 7歳の女児が、水素を発生するという、ケースにセットしたパック型の入浴剤を浴槽内の湯に落としてしまい、慌てて手ですくい上げたところ、第II度の熱傷(浅達性、手掌、手背、手指の1%)を負ったという事故情報が医療機関ネットワークに寄せられました。医療機関からの情報を元に調べたところ、当該入浴剤は、その配合成分から、水と反応して発熱し、水素を発生すると考えられるものでした。

 PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)等を通じて、国民生活センターには、ここ数年、水素を発生するという入浴剤による危害・危険情報が寄せられています。

 そこで、市販の水素を発生するという入浴剤のうち、発熱を伴うためパック型のものをケースにセットして使用するタイプのもの(以下、「パック型水素入浴剤」とします。)6銘柄について、入浴中に使用した場合を想定し、入浴剤本体や周囲の温度等を調べ情報提供することとしました。


相談の概要

  • 2011年度から2016年5月末の5年間あまりに、水素を発生するという入浴剤の危害事例(けがをしたもの)が7件、危険事例(けがをするおそれがあったもの)が1件ありました。
  • 危害事例の危害内容は、皮膚障害が3件、熱傷が2件、擦過傷・挫傷・打撲傷が1件、呼吸器障害が1件となっており、危害程度は、治療1週間未満が2件、医者にかからずが3件、不明が2件でした。
  • 危険事例は、入浴剤を廃棄するときに発熱と発煙があり危険を感じたというものでした。


主な事例

【事例1】
水素が発生する入浴剤をもらい使用したら湯の温度が高く火傷をした。入浴剤を入れる容器を渡されなかった。
【事例2】
テレビショッピングでデトックス効果のある水素の入浴剤が紹介されていたのを見て注文した。届いた入浴剤を湯船に入れたら泡が出て湯温より高温になり驚いた。


主な調査結果

温度の測定

  • 全ての銘柄で、湯につけるとすぐに入浴剤の表面が90℃程度の高温になり、その状態が長いものでは約3分間持続するものもありました
  • ケース表面や周囲の湯の温度は、高温になりませんでした
  • 湯に入れて直ちに取り出すと、入浴剤表面から高温の蒸気が発生し、入浴剤本体に直接触れなくても、やけどを負ってしまう可能性がありました

湯から取り出した直後とそのサーモグラフィー画像
左は湯から取り出した直後の商品の写真で、蒸気が発生している。右はその時のサーモグラフィー画像で、表面温度が80℃程度になっている面積が広いとみられる。

ケース表面の形状

  • 全銘柄のケースで、格子の隙間から子どもの指が入るため、入浴剤本体に接触する可能性があると考えられました

表示、広告等

  • 水との接触により高温になる旨の注意表示は、全銘柄の商品パッケージや取扱説明書でみられましたが、入浴剤本体やケースにはみられませんでした
  • いずれの銘柄でも子どもの使用に注意する旨の記載がみられました
  • インターネットの広告等には、効能効果をうたったものがありました


消費者へのアドバイス

  • 水素を発生するというパック型入浴剤は湯に入れると表面が直ちに高温になり、しばらく持続します。直接、入浴剤に触れないように注意しましょう
  • 水素を発生するというパック型入浴剤は、湯に入れた直後に取り出すと、高温の蒸気を発生します。湯に入れた後は、しばらく取り出さないようにしましょう


事業者への要望

(製造販売事業者)

  • ぬれた手で入浴剤に触れた場合や、使用開始後でもやけどを負うことがないよう、表示を含め商品の改善を要望します

(販売者等該当事業者)

  • 商品の広告等に効能効果をうたった表示がみられました。医薬品医療機器等法上の区分によっては、同法に抵触するおそれがありますので、表示の改善を要望します


行政への要望

  • 商品の広告等に効能効果をうたった表示がみられました。医薬品医療機器等法上の区分によっては、同法に抵触するおそれがあると考えられますので、必要に応じ事業者への指導を要望します


要望先

厚生労働省 医薬・生活衛生局 監視指導・麻薬対策課(法人番号6000012070001)



情報提供先

  • 消費者庁 消費者安全課(法人番号5000012010024)
  • 内閣府 消費者委員会事務局(法人番号2000012010019)
  • 厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課(法人番号6000012070001)
  • 経済産業省 商務情報政策局 製品安全課(法人番号4000012090001)
  • 公益社団法人日本通信販売協会(法人番号9010005018680)
  • 一般社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会(法人番号8010005004343)
  • 日本化粧品工業連合会(法人番号なし)
  • 日本チェーンドラッグストア協会(法人番号なし)
  • 日本浴用剤工業会(法人番号なし)



本件連絡先 商品テスト部
電話 042-758-3165

※[PDF形式]で作成した文書を開くにはAdobe Readerが必要となります。PDF形式の閲覧方法について


発表情報トップページへ

ページトップへ