以前「Huluでゴジラシリーズをやるぞ!」という記事を書きました。
ゴジラシリーズも平成に突入したので、ここで一気に昭和ゴジラシリーズについて解説していきたいと思います。
記念すべき第一作「ゴジラ」
これを上記の記事でも書いたのですがビキニ環礁での核実験と第五福竜丸の被爆実験が社会問題になり「ビキニ環礁海底に眠る恐竜が水爆実験により目を覚ました」という計画から「ゴジラ」が誕生しました。
この作品の印象はミニチュアセットと原爆の恐怖でしょうか。まずミニチュアは当時の実際にあった建物を1/25で作られているのでそのリアリティは本当に凄い。
また原爆によって目覚めたゴジラが吐く白い白熱光で高圧電線が溶けるシーンは今見ても恐怖です。最後にゴジラは死んでしまうのですが明確に「ゴジラの死」について上映されたのは今作と「ゴジラvsデストロイヤ」だけ。ゴジラが死んだ際に「このまま水爆実験が続けて行われるとしたらあのゴジラの同類がまた現れるかも知れない・・・」というセリフを残して映画は終了します。
ゴジラの逆襲
再度水爆実験で蘇ったゴジラと今度は「アンギラス」という怪獣が登場します。このアンギラスは昭和ゴジラシリーズではおなじみの怪獣となるのですが今作が初登場となります。この二匹の共通点は「水爆実験で蘇った」という事。
このゴジラの逆襲の見て欲しいシーンは「大阪城の破壊シーン」。当時の映画予算が2000万円にたいし大阪城は50万円。しかもこの大阪城はゴジラが体当たりで壊しているのですが、最初の大阪城は体当たりしても壊れなかった為、ワイヤーで壊れる仕組みを作ったのですがスタッフがタイミングを間違って壊してしまい作品に出てくる大阪城は2個目という扱いになります。
キングコング対ゴジラ
このキングコング対ゴジラからカラー作品となります。東宝創立30週年記念作品でゴジラシリーズ中で最高動員数である1255万人を記録しました。
キングコングといえば米国の怪獣として有名ですがゴジラが巨大な為、キングコングも巨大となっています。キングコングの著作権はRKOにある為、東宝は5年間分の8000万円を支払ったという記録おあります。当時の映画制作費用の約3倍にもなる額なのですが「ゴジラ作品が作れる」という気持ちの方が強かったみたいです。
見どころはカラーになった事によってゴジラの皮膚の色、吐く白熱光の色などが明確になりより迫力を増した事でしょうか。またゴジラとキングコングによって破壊される熱海城もとてもリアリティがあるので注目して欲しいです。
モスラ対ゴジラ
日本初の東宝スコープ(ワイド・スクリーン)で撮影された「モスラ」の続編でもある「ゴジラ対モスラ」。この作品と同年に「宇宙怪獣ドゴラ」「三大怪獣 地球最大の決戦」と怪獣映画が3本公開されていて、後の第一次怪獣ブームの火付け役となります。
見どころはゴジラはモスラに対する悪役として描かれている事。後々様々な怪獣とゴジラは戦う事になるのですが今作が唯一の黒星となります。また先日事務所がお亡くなりになったと発表されたザ・ピーナッツの伊藤ユミさん。そして伊藤エミさんが小美人として登場しているのでこちらも是非注目して欲しいポイントです。
三大怪獣地球最大の決戦
このタイトルにある三大怪獣というのは空の大怪獣「ラドン」と「モスラ対ゴジラ」の続編にもあたります。モスラ対ゴジラと同年なのですがゴジラシリーズで唯一2本作成された年になります。ゴジラが初めて善玉として描かれた。これは今まで人間の脅威であったゴジラが立場を変える作品となった訳です。以後のゴジラシリーズでは怪獣同士の格闘劇が主になっていきます。また今作で初めてキングギドラが登場します。三大怪獣と書いていますがこれは地球にいる三大怪獣であってキングギドラは宇宙怪獣なので含まれていません。
見どころは三大怪獣の戦うシーンです。まだカメラが現代ほど進化していない中、三大怪獣を1フレームに収める技術というのは凄いですね。また今作は見た人は解るかも知れませんが「ローマの休日」の影響がとても大きい作品です。ローマの休日を見たことがある人は登場人物の心境などを見て「どこかで見たことある・・」と思う人も多いのではないでしょうか。
怪獣大戦争
この怪獣大戦争は前作のゴジラ、ラドン、キングギドラが登場する作品です。日米合作映画です。今回は怪獣大戦争とタイトルにありますが、どちらかというとX星人と地球人の戦いと言った方が正しいですね。またゴジラが地球外へ飛び出すのは今作が最初で最後の作品です。またゴジラがおそ松くんの「シェー」をやっている画像を見たことがある人もいると思いますが、それはこの怪獣大戦争です。当時流行っていた「シェー」をゴジラにやらせようと言ったのは何と円谷英二さんだとか。
見どころはゴジラが宇宙にて活躍する所。これはこの作品でしか見れない貴重なシーンなのでそれは是非見て欲しいです。
ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘
このゴジラというのは他の作品とは少し違う性格のゴジラになっています。なんというのでしょうか陽気な性格と言いますか。この作品のゴジラが陽気な理由は若大将シリーズの加山雄三を真似て鼻をこするシーンなど、そういった経緯があります。
さて今作に登場する「エビラ」という怪獣はこの作品と「ゴジラ FINAL WARS」の2作品だけ登場する怪獣でイセエビのような体にザニガニのようなハサミを持った姿をしています。昭和怪獣の中では私はエビラが好きなんですよね。なんというか可愛いです。
見どころは最初に書いた通り他の作品とは少し違う性格のゴジラに注目してほしいです。ここまでずっと見てきた人なら必ず違和感があると思います。
怪獣島の決戦 ゴジラの息子
さて今作で初めて子供であるミニラが登場します。そこで気になっている人がいるかも知れませんがゴジラは実はメスではなくてオスなのです。では、メスがどこかにいるのか?と言われると謎みたいですね。
今作はそんなミニラも話題となりましたが、当時では珍しいグアム。海外ロケを行い話題となりました。まだ1967年(昭和42年)の時代は海外ロケを行うという考えは少なかったみたいですね。私の周りのゴジラファンはこのミニラが好きな人が多いです。可愛いんだとか・・・。ミニラが可愛いという目線で見たことが無かったです。
(エビラは可愛いですよ!)
怪獣総進撃
この頃になると映画界は現在と似た状況になっています。全盛期の1/4なで入場者数が落ちてきます。しかし東宝は前作の「ゴジラの息子」の観客数が10万人上回った事により怪獣路線は継続される事になりました。この怪獣総進撃は昭和ゴジラシリーズの中では最多となる11体の怪獣が登場します。
ゴジラ、ミニラ、ラドン、モスラ(幼虫)、アンギラス、バラン、バラゴン、ゴロザウルス、マンダ、クモンガ、キングギドラ。ゴジラとアンギラス以外は過去の造形物を補修しているだけなので見た目は当時使用していたものと変わりません。
見どころは過去に登場した怪獣が一気に見れる所。ただモスラは幼虫ではなく成虫の方が良かったと感じました。それでも子供心で見ると怪獣が一気に出るのはワクワクしますよね。そんなワクワクなきもちで見ると楽しいと思います。
ゴジラ・ミニラ・ガバラ・オール怪獣大進撃
この作品は他とは少し違います。登場怪獣はゴジラ・ミニラ・ガバラ・カマキラス。なのですが過去の映像の流用でアンギラス、ゴロザウルス、マンダ、エビラ、大ワシ、クモンガが登場します。しかしこれは一郎少年が夢の中で想像したもので現実世界では怪獣は存在しません。今作は当時話題になっていた「公害問題」「鍵っ子」「児童誘拐」などの問題を取り上げています。そして過去の作品ではプール撮影が定番となっていたのですが今作では撮影が行われていません。それは前作「怪獣総進撃」で書いた「映画不況」の為です。見どころはそういった現実世界の問題が今でも存在しているという事です。公害問題、鍵っ子、児童誘拐などは今でもニュースに取り上げられますよね。この映画は2016年より47年前なのですが、そういった問題に注目して欲しいです。
ゴジラ対ヘドラ
この作品は「ゴジラ・ミニラ・ガバラ・オール怪獣大進撃」でも少し扱った「公害問題」がメインとなっています。特に当時話題となっていた「四日市コンビナートの工場煤煙」「田子の浦港ヘドロ公害」を題材に扱っています。そんな田子の浦港の汚染された海で誕生したのがヘドラ。そのヘドラとゴジラが対戦する作品です。
公害問題を扱っているので子供向けとしてはかなり異色の作品となっています。どちらかと言えば大人向けの作品ですね。見どころは当時の時代背景がよく解ると思います。
前作とは違い「公害問題」をテーマにしているのですが、この公害問題が当時どれだけ話題になっていたのか今作を見れば解る事だと思います。
地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン
さて時代は第二次怪獣ブーム。ゴジラの他に「ガメラシリーズ」が人気の時代でした。そんな今作は「悪の怪獣から地球を守るゴジラ」という正義の怪獣扱いになっています。ガメラシリーズではガメラが登場する際にテーマソングがあるのですが、そんなヒーロー調のテーマソングを今回のゴジラも挿入されています。
そして撮影では全盛期の1/3までに予算をカットされ主要俳優などは新人が多いです。また特撮では過去の映像を流用されているものも数多くあるので、第二次怪獣ブームとなっていますが、その実態は厳しいものがあった事だと思います。
見どころは今作でゴジラを演じ続けていた「中島春雄」による演技が最後となったゴジラです。その最後の演技に注目してほしいです。
ゴジラ対メガロ
ゴジラシリーズ初の観客動員数が100万人を切る98万人になった作品でした。これは前作の「地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン」の続編というべき作品です。また予算が削減されているゴジラシリーズは本作は唯一メインキャストに女性がいない作品となっています。また今作は「怪獣タッグマッチ」がコンセプトにありゴジラがVサインをしたり、お尻を叩いたりかなり人間味をおびた行動をします。
見どころはメガロの破壊シーン。前作同様過去作品からの映像を流用している場合が多いのですがメガロがダムを破壊するシーンは新しくミニチュアを組み、破壊したという事で新しい映像となっています。低予算を余儀なくされたゴジラ作品ですが、あのダムのシーンは名シーンと言えます。
ゴジラ対メカゴジラ
この作品は昭和ゴジラシリーズの中で私が一番好きな作品です。この映画はゴジラ生誕20週年記念作品で沖縄本島を舞台にして作られています。この映画は1974年公開された映画なのですが沖縄が日本へ返還された年は1972年。まだ返還されたばかりの沖縄で撮影が行われた事が話題となりました。
本作は自衛隊などは一切登場しません。それは上記で書いた返還されたばかりの沖縄なので事情を踏まえて自衛隊や在日米軍を出すのは避けた作品となっています。
ただ沖縄に行ったから予算があるという訳ではなく相変わらずの低予算で作られていますがゴジラ対メカゴジラはそういった点は一切感じられませんでした。
昭和ゴジラシリーズの中で怪獣以外ですと私はメカゴジラが一番好きです。カッコイイですよね。見どころは子供向けから少しハズレ大人向けになっているポイントでしょうか。例えばメカゴジラから攻撃を受けてゴジラが流血するシーン。メカゴジラの総攻撃を受けてゴジラが死んでしまったのではないか。というシーンなど現在は当たり前になっているシーンですが、当時の子供向け映画と考えると少し異端な作品なような気がします。
メカゴジラの逆襲
昭和ゴジラシリーズ最後の作品。メカゴジラの文房具や玩具などが多数販売され当時のメカゴジラ人気はすごかったみたいです。シリーズを追うごとに「ゴジラはヒーロー」という路線になってきています。それは今作の「チタノザウルスに踏み潰されそうになる子供をコジラが助ける」というシーンは当時「ゴジラ=ヒーロ」という考え方だったからでしょう。また敵役であるメカゴジラⅡとチタノザウルスが街を破壊するシーンが多数ありゴジラのシーンは少ないです。これは当時の怪獣映画に陰りが出た証拠であり元に洋楽興行収入が邦画興行収入を超えた年でもあります(ジョーズ。エマニエル夫人、ゴットファーザー、007など)。
そういった事から今作はゴジラシリーズで観客動員数ワースト1になってしまいました。その結果東宝はゴジラシリーズを一時休止するように決定しました。
見どころは昭和ゴジラシリーズ最後の作品となってゴジラの出番は少ないですが「昭和ゴジラ」のラストを見れる作品なので是非見て欲しいです。
最後に
昭和ゴジラシリーズは時代背景などを見ていくと、とても奥深いものが多いです。公害問題もそうなのですが邦画映画が不調というのは現代映画でも同じことが言えます。
そういった中でゴジラ映画が最後まで作られていたのは、それだけ愛されていたからだと言えますね。次は「平成ゴジラシリーズ」をまた解説したいと思いますので、後日ブログにて書きたいと思います!
S.H.モンスターアーツ ゴジラ (1954) 約150mm PVC&ABS製 塗装済み可動フィギュア
- 出版社/メーカー: バンダイ
- 発売日: 2016/07/29
- メディア: おもちゃ&ホビー
- この商品を含むブログ (1件) を見る