トヨタ自動車のリコールでディーラーに行ったら死ぬほどガッカリした件について。 (後藤和也 産業カウンセラー/キャリアコンサルタント)
シェアーズカフェ・オンライン 7月21日(木)5時0分配信
先日「ご愛用車のリコールに関するお詫びとお願い」という封書が届いた。愛車のプリウスに修理が必要な不具合があるという。不具合の内容は以下の2点だ。
■恐怖を覚えるリコールの内容
「1.燃料蒸発ガス排出抑制装置において、蒸発ガス通路(樹脂製)の端部形状が不適切なため、使用過程で当該端部に亀裂が発生することがあります。そのため、長期間使用を続けると亀裂が貫通し、満タン時に燃料が漏れて、燃料臭がするおそれがあります。
2.カーテンシールドエアバッグ用ガス封入式インフレータにおいて、製造工程での異常処置が不適切なため、溶接部に微小亀裂が入ったものが車両に搭載された可能性があります。このため、駐車中の室温上昇に合せて封入ガス圧も上昇し、溶接部が破断して、一部が車室内に飛び出すおそれがあります。
トヨタ自動車ホームページ「リコール情報」2016/07/19確認」
「亀裂が貫通し燃料が漏れる」「ガス圧が上昇し溶接部が切断」など、このまま乗り続けることに不安を感じたため、慌てて最寄りのディーラーに修理の予約を入れた。だが「修理の予約がいっぱい」ということで、修理まで2週間空いてしまうという。我が家は子供の保育園の送迎に使用しているため、不安を感じながらも修理まで乗り続けるほかないのであった。
■ディーラーの残念な対応
来店した際、笑顔の爽やかな男性社員が応対してくれた。終始にこやかな対応をしてくれたものの、「この度はご迷惑をおかけしまして」といった言葉はないのであった。封書の「誠に申し訳なくここに深くお詫び申し上げます」という言葉と現場の感覚にはずれがあるのかな、というのが率直な感想だ。
また、当日は夏日であったのだが、商談中の客には速やかに冷たい飲み物が提供される中、筆者はキッズコーナーで子供を見ながら汗をふきふき待つことになった。「クレーマー」という言葉も盛んに使われる昨今、こちらから飲み物を要求するのもはばかれる、気弱な筆者なのであった。
■顧客の状況に対する想像力が必要では
「リコールで修理が必要」と言われれば、筆者に限らず誰しもが不安や怒りを感じるはずだ。ビジネスマンが平日に来店するには休暇を取らねばならず、それができなければ休日に来店するほかない。
その場合、家事や育児、自分の趣味の時間等を削って来店することとなる。各人の仕事上・私生活上のタスクをやりくりして、わざわざ来店しなければならないのだ。人によっては、来店早々に怒り出す場合もあるかもしれない。
そのような顧客へ求められる初動の対応とは何か。第1には、顧客の心情を推し量り、改めてお詫びの言葉をかけ、概略的でも事のあらましを一から説明することは避けては通れないだろう。
クレーマー対応の基本として、「お客様の話を聴かせていただきます」「お困りなのはお客様です」等の姿勢が大切だ、とはよく言われることだ(念のため言うと、リコールのため来店した顧客がクレーマーであるということではない)。場合によっては、店長など相応のポストの人間が直接応対することも必要だろう。
怒りや混乱している顧客に対して、その場を取り繕ったりごまかしたり、なんとかやり過ごそうという姿勢で臨むことは、その後の2次、3次のクレームを発生させることにもつながりかねない。そのためにも、それ相応の権限と責任のある者が、誠意を見せて対応することは効果的なのだ。
端的に言えば、ディーラーに行かねばならない人の数はリコールの台数分だけいて、それだけ多数の顧客の時間を浪費させてしまっているということだ。顧客の数だけ個別の事情があり、その心情にもう少し敏感であるべきではないだろうか。まさに「想像力」の世界だ。
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