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テーマが「就職するのは何のため」ということで、就職活動をされてきた4回生やこれから就職活動を始められる3回生方の参加が目立ちました。
1回生や心理学専攻の方、また先生の著作を読んで聞きにこられた方もありました。講演時間は1時間を予定していましたが、あっという間に時間が経過しました。 |
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香山 リカ(かやま りか) |
1960年7月1日、北海道札幌市生まれ。東京医科大学卒業。精神科医。帝塚山学院大学教授。臨床経験を生かして、新聞、雑誌などの各メディアで、社会批評、文化批評、書評など幅広く活躍している。また、現代人の「心の病」について洞察を続けている。専門は精神科医だが、テレビゲームなどのサブカルチャーにも関心を持つ。 |
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就職においても、友達関係においても、人は自分を認めてもらえる場所を探して生きているのだな、と感じました。何となく始めた就職活動ですが、唯一届いた内定通知。存在価値を与えてもらった気がします。 |
(産業社会学部 4回生) |
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「信念があって一つのことを目指し続けてきてもよし、流れにまかせてたどりついてもよし」と、日常生活の中で一息ついても良いのでは?というような心安らぐお話をいただきました。 |
(政策科学部 1回生) |
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自尊心のない発言をしつつ、一方では「何か自分にしかできないことがある」という考えが、自分にも当てはまっているな、と気づかされました。これからいろんなことに挑戦しようという元気が出ました。 |
(文学部 1回生) |
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友達全員が前向きに自分の道に進んでいた気がして落ち込んでいましたが、「やりたい事がわからなくてもそれはそれで良いのかな」、「前向きな人が目立つ反面、不安を抱える学生も結構多いんだな」と感じることができ、発想の転換ができました。 |
(国学部 3回生) |
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自分の将来したい仕事は?どういうことがしたい?とかを問われる自己分析や仕事研究の就活中において、とても勇気づけられました。あまり思い込まずに気軽な気持ちで自分の天職探しをしていこうと思いました。 |
(産業社会学部 3回生) |
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就活を控えている身としては「天職なんてない」と聞いて肩の荷が下りた感があります。「自分はこれ」という思いこみから開放されて、気楽に就活に臨むことが、就活をうまく乗り切るコツかもしれないなと感じました。 |
(国際関係学部 3回生) |
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香山さんは講演会で「気が付いたらそこにいるという感覚」が重要である、ということを強調したことが非常に印象的でした。なぜか。そこに、就活=天職探しという意識に対する僕の違和感を明快にしてくれたからです。
私にとって去年の一大イベントは就職活動でした。就職活動の中で、一番、最初に苦しむのが、自己分析という代物です。要は、自分は何に向いているかというのを、ノートに書き込んで診断するものです。これは、馬鹿馬鹿しい。僕は、そんなものにまともに付き合ってきませんでした。ところが、周りの人は結構熱心にやっているわけです(社会学者の鈴木謙介さんは「ハイテンションな自己啓発」と呼んでいます)。僕も自分を知りたいという、欲求はある、だけど、自分の内側を見つめていたら、見つかると思うのは相当ヤバイのではないだろうか、と。
講演会で、そのヤバさについて、実に明快な回答を与えてくれました。自分探しをいくらしたところで、そんなものは自分探しになんてならないのだ。では、なぜ私達は働くためにいちいち自己分析なんて始めなければならないのでしょうか。大学事情から補助線を引いてみます。8月16日の朝日新聞朝刊で、見田宗介さんが面白い話をしています。日本では、経済力と比較して、幸せであると答える人が少ない、と。これは学生にも言えることです。偏差値と比較して、満足と答える人が少ない。この議論を就職と結び付けます。僕達は、非常に多くの情報に囲まれて、モノも溢れている、都市化が進んだ今では、共同体から離れて、価値観を選ぶこともできる。ところが、選べないのです。満足である、とか、幸せであるというのは実はモノとは、あまり関係無いのではないか。むしろ、たくさん選択肢があるのに選べない。そうであるがゆえに、自己分析を求めるのではないでしょうか。自己分析の結果明らかになるもの=天職ということになります。ここまでの流れでそんなものをありがたがって天職化する滑稽さがわかると思います。当然の帰結として、分析の結果としての「自己」と、現実の就活とのギャップに苦しんで就活そのものをギブアップするということになりかねません。いや、事態はもっと深刻です。天職探しを続けるために働くこと自体を「怖がる」傾向にある、と香山さんは指摘します。
香山さんの処方箋は「とりあえず」やってみろ、というものです。本当の自分や天職なんてないのだから、とりあえずやってみればいいのではないか、と提案するわけです。とりあえずやってみろというのは、受身的でありネガティブな表現です。だけど、決してそうではない。受身を突き詰めていけば、自分の殻に閉じこもるということになります。香山さんの提案は、自分のやりたいことを「自分」に問うのではなく、いろんな人と自分の「間」にある関係性を踏まえて考えるということの重要さを含んでいます。気が付いたらそこにいる、という感覚は、様々な人との出会いを通じて、自分を捉えることができる人が持つ感覚である、と僕は思う。 |
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就職がこわい |
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香山 リカ (著) |
なぜ若者は就職しようとしないのか!? 職に希望を持たない若者。就職する意志もない若者。働くことをあきらめている若者の「就職不安」の本当の原因とは!? 仕事に揺れる若者の「生き方と心」の悩みを分析する。 |
価 格 |
: |
1,365円(税込) |
単行本 |
: |
218 p |
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出版社 |
: |
講談社 |
ISBN |
: |
4062122693 |
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いまどきの「常識」 |
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香山 リカ (著) |
「反戦・平和は野暮」「お金は万能」「世の中すべて自己責任」…。身も蓋もない「現実主義」が横行し、理想を語ることは忌避される。大きく変わりつつある世間の「常識」を浮き彫りにし、それらを形作る現代社会を考察する。 |
価 格 |
: |
735円(税込) |
新 書 |
: |
203 p ) |
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出版社 |
: |
岩波書店 |
ISBN |
: |
4004309697 |
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