有田芳生の『酔醒漫録』

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

「晩節を汚す」鳥越俊太郎

2007-10-14 09:28:18 | 人物

 10月13日(土)先日からホームページに「敗戦記」を掲載している。共同通信で全国配信された記事の元原稿だ。何だか遠い昔の出来事のように時間が過ぎている。今日は竹内まりやのアルバム「デニム」のなかの「人生の扉」を何度も流しながら実務。デニムの褪せゆく青の味わいを人生になぞらえる歌詞だ。「長い旅路の果てに/輝く何かが/誰にでもあるさ」と歌っている。テレビを見ると鳥越俊太郎さんが保険のCMに出ていた。これまで何度か目に入り、強い違和感を感じていた。手術室に入る映像まで使いながら問題ある外資系保険会社の宣伝をしているからだ。情報までが商品になる「最果ての資本主義社会」にあって、生命までがその対象となることは、いまさら驚くこともない。しかし批判的精神を魂とするはずのジャーナリストが、そこにかかわるとしたら、どうしてもおかしい。詐欺的商法に加担することになるからだ。そういう気持ちでいたところ、藤原新也さんが「晩節を汚す」という文章を書いていた。私もこれまでに何度かテレビCMの依頼があったが、すべてお断りしてきた。それは「ガラにもない」という判断であり、自分の「立ち位置」への自覚でもあった。経済的なことを考えればふと心が動かないでもなかった。友人の編集者たちも「いいじゃない」とアドバイスしてくれたけれど、どうしても踏ん切りはつかなかった。いまではそれでよかったと思っている。鳥越さんにも事情があったのかもしれないが、せめて相手企業の実情を調べて判断すべきだった。もし保険会社の不払い問題を知ったうえでの判断なら、ジャーナリストとして「晩節を汚す」という藤原さんの指摘はまったくその通りである。夕方の「おもろ」で常連と雑談。「それは鳥越さんがおかしいよ」との意見。電車のなかで読んでいた城山三郎さんの言葉を反芻する。「人生にあぐらをかき、安定した話などは、どうでもよい。出世した話や金もうけの話は、ときに卑しくひびく。結果はともかく、在るべき姿を求めて、いかに悩み、いかに深く生きたか。いかにさわやかに、いかに優しく生きたか」。泡盛に酔いつつそうだと思う。そうありたい。

ジャンル:
ウェブログ
コメント (11)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 黒川紀章さんの後ろ姿 | トップ | 取材源を守れなかったノンフィク... »
最近の画像もっと見る

11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
「晩節を汚す」鳥越俊太郎 (桜の花)
2007-10-14 09:51:29
「晩節を汚す」鳥越俊太郎

私はジャーナリストでも汚してるとも思わない。そしてご自身の事、有田さんとエージェントはどんな企画のCMになってたのでしょうか? そのCMに興味を引きかれます。大勢がそう思っていますよ、きっと。夫々にチャンスを良い意味で生かすのも可能性の選択の一つでよいと思いますよ。業種や企業自体は公序良俗に違反していないのですから。
1. 長い前振り(無私の大切さ) (田中憲二郎)
2007-10-14 19:18:46
1. 長い前振り(無私の大切さ)

小林秀雄は「批評とは無私を得んとする試みなり」といった。思うに,政治であろうとジャーナリズムであろうと「相手の心に本当に届かせたいのなら,無私でなければ届かない」ということであって,批評だけに該てはまるものではないと解しています。

無私というものは得んと欲しなければ得られないものでもあります。しかし,難しいのは,そうでありながら自分を(餓鬼のように)主張すればするほど,無私は遠ざかっていくのです。

「自己を主張しているやつは、みんな狂的です。そういう人は、自己の主張するものがなんか傷つけられると人を傷つけます。僕をほんとにわかってくれる時は、僕は無私になる時です」「僕を人に聞かそうと思ったって僕はあらわれるものじゃないんだ。君の言うことが聞きたいと言った時に、僕は無私になる。その時に、僕はきっとあらわれるんです」 (文学の雑感より)

2. (画面を通して拝見してきた者として) 有田さんへの感想  

The ワイドで有田さんの選挙を取材した回があった。ご子息がインタヴュアーに自然な感じで応えておられた。「(父は)これまでやるべきことはやってきた人ですから」 
こういうのを無私というのでしょうか。自然な話し振りとともにその言葉が我々の心にすぅっと入ってきて不思議な感動を覚えた。

「経済的なことを考えればふと心が動かないでもなかった」;
一局の人生,有田さんが一手一手悩みながらも指し続けてきた手は正解手であった。そのことは,お子さんの親父への評価で証明されているのではないでしょうか。

「在るべき姿を求めて、いかに悩み、いかに深く生きたか。いかにさわやかに、いかに優しく生きたか」。実践するのは難しいが,実にいい言葉ですね(※)。

3. テレビ・メディアについて

鳥越俊太郎氏に関する藤原新也さんのShinya talk 10月11日の記事。共感を覚えます。

電波という限られた資源が少数のものの手に独占されています。民放といえども公共物の一種です。本来なら,その媒体にレギュラー出演しているコメンテーターには正当性が要求されるはずなのです。正当性の根拠の一例としては,医師,法曹,Fプランナー,情報処理等の公的あるいは準公的有資格者もその一でしょう。必ずしも資格に限らず,媒体がその時々に扱う事柄についての日本での第一人者であること等もその一つ(e.g.有田さん,江川紹子さんは様々な社会問題に於いて衆目の一致する第一人者,佐々氏ならテロ対策警護のプロ等々)。

そうでは無いコメンテーターの場合であっても,真の意味で競争が働いた上で,視聴者からの淘汰を経たなら,正当性を有しているといえる。しかし,現状は実質的な競争など働いていない。ここが問題なのです。資格も他の社会生活上の一人者で無い人(偏頗なこりかたまった傾向雑誌の編集長くらいでは資格無し)でレギュラー状態の立場にいる人は余程自戒の念をもっていないといけない(業界内で競争が働いているとおもっている点等は,大方 Looksやその場の空気が瞬間に読める勘とでのくだらない流行のギャグを飛ばす運動神経くらいのものでしょう)。

(1)番組一般のレベルの低下について

第一に,意図的なスポンサーの無関心がある。その背景は既に資本論に関連して述べた。会社のオーナーにとっては浅薄で,思いつきだけの,捨て台詞コメントが風靡することは大いに結構。阿呆な番組の方によって大衆(≒各社の社員)も阿呆になってくれればくれるほど都合が良いのかもしれない。帰宅してテレビを見て正論に耽ってもらうだけのエネルギーなど残してもらっては困る。消費者である主婦も阿呆なままでいてくれた方が良い。選挙の時だけ,何も考えずに企業ぐるみ候補に投票してくれれば良い。本音はなまじ真面目に考えてくれるなであろう。

(2)度を越えた恥知らずな番組の存在に関して;

それにしても,いくらなんでも度を越えた恥知らずといいたい番組もある。かかる異常値ですら淘汰されない現状のメカニズムや如何。答えは「顔のない街」ならぬ,「顔のない資本主義社会の構造にある」

古典的資本主義は所有と経営は一体だった。旦那が会社の経営者でありオーナーだった。顔の見える経営者であった。そういう社会に於いては,番組のイメージ=企業のイメージ=旦那の顔となったであろう。さすがに度を越えた低俗な番組なら旦那の顔に泥を塗られては困るという浄化作用が働いたことと思う。しかし,広告会社などに丸投げに近い形でサラリーマン経営者が広告を任せている。会社の機関の役割としての言い訳さえ立っていたなら,中身などどうでも良いというスタンスで巨額の広告費が投入されているのが現実。このような社会の仕組みの間隙を縫って,鳥越俊太郎氏,筑紫哲也氏,フルタチ君タチが跳梁跋扈できているのだと思います。

4.鳥越氏へ(ガンからの生還者でもある,一未熟者より)

鳥越氏に接するまた機会がある人がいらっしゃれば,お伝え戴きたい。

鳥越さん,貴方にはこの言葉を送りたい。
「知る人は語らず,語る人は知らず」(老子)

何がいいたいか。語る商売なら語るしかなかろう。世界観や人生観も思想良心の自由故、いろいろあって良かろう。しかし,真摯に悩んだ上での考えたコメントか否かは聴いている方には歴然と伝わってくる。城山三郎さんのことばを銘記し,さらに次のことを肝にすえてほしい。

団塊の世代の退職に伴って,その道での経験を経た一角の社会人が大量に会社人生を離れて流出してくる。怒り心頭に発する思いで,貴方が思いつきで発する浅薄なコメントをきいている。正当性を持たぬものが公共部物を独占している状態は不正に他ならない。
野望も結構だが,恥じを知ることも大切である。

「野望はあるか 義はあるか 情はあるか 恥はあるか, わたくし 本日 未熟者」 
(中島みゆき)
ーーーーーーーーーーーーーー
(※) Jレノン風に表現すれば
“Life is what happens to you while you're busy making other plans”
人生においては,在るべき姿に達したか否かが問題ではない。求めることが大切であり,その過程で起こる事柄とそれらに応接してきたことの積み重ねが人生
 鳥越氏のことを有田さんほど評価してないから、... (ガブリ)
2007-10-15 08:38:02
 鳥越氏のことを有田さんほど評価してないから、CMもタレントの金儲けくらいにしか思ってない。

 あの人を良識派として扱い、ガス抜きにしている番組があるくらいに思っている。ワイドショーにはいくつかの役がありそれで構成していると思っている。
 孤高を感じる人が、TVに出られるようになるといいですね。
『なにも願わない手を合わせる』に書いてありますが、 (tora)
2007-10-15 15:40:10
『なにも願わない手を合わせる』に書いてありますが、
やはり身内が癌で亡くなられているだけに思うところもあるんでしょうね。
鳥越さんには“支払われた”からCMに出たということはないですかね^^;

実は僕の母さんがこの保険会社のガン保険をかけてくれていて、
いま自分で支払っているんですが、ちょっと考えてしまいますね。
不払いなんて『レインメーカー』のような映画の中だけの出来事と思ってましたけど。

生命保険は別の会社にも加入しているので、特約をつければ
別に止めてもいいといえば止めてもいいんですけど…って、
個人的なことはどうでもいいですねw

ンー、批判するほどではないけど、このCMには確かに違和感を覚えましたね。
でもこの人の場合、テレビで“やらせ”っぽい取材を何度か見たこともあるので、
やっぱカネなんだろうなと自然に受け流すこともできました。
節操という言葉が私語になりつつあるのでしょうか。 (福田 博治)
2007-10-15 18:39:28
節操という言葉が私語になりつつあるのでしょうか。
鳥越氏のこれまでのさまざまなシーンでの発言を振り返れば、
いかに癌からの生還に何らかの事情があったとしてもあの会社のCMに出演という彼の節操の無さを感じています。
あの外資系保険会社には私のような高齢者仲間の間でCMの文言と実際の対応にいろいろと問題のあることが取りざたされていますが、果たして彼はそういったことにも配慮があってのことなんでしようかね。
鳥越氏も、娘さんがいるわ、いろいろあるわで、大... ( )
2007-10-15 21:05:50
鳥越氏も、娘さんがいるわ、いろいろあるわで、大変なんでしょう。死ぬ覚悟ができなかったのは、守るものが多かったからでは?

鳥越氏の以前のCMで、「火災保険じゃ地震の時の火事は補償されませんよ。地震保険に入りましょう」といったときから、この人のことは信じられないと思いましたよ。
でも、それを言ったら、 (yomo)
2007-10-29 09:54:20
でも、それを言ったら、
有田さんだって、サラ金やらNOVAやらのCMで稼いでいたテレビ局に出演する
事自体が問われるんじゃないですか。

そこに出演することが、そのテレビ局をバックアップし、
CMスポンサーをバックアップすることになるんですよ。

人間にはいろんなしがらみがあるんですよ。
誰も実はそれを責められない。
NOVAだって、ずっと前から評判が悪かったんですよ。いろんな問題があったんですよ。
ネットではそれがいろいろなところで書かれていた。
でも、CMは流し続けられ、多くの大衆は
テレビでコマーシャルしているから、
ここの英会話学校なら安心、と錯覚していたんですよ。
いま、テレビはNOVAを批判しているけど、
その片棒を担いだのはテレビだし、
高給取りのテレビ局の社員はがっぽり稼がせてもらったんだし、
そこに出演するコメンテータだって
その分け前の一部をもらっているんですよ。

鳥越さんを批判するなら、以前、たばこのCMに出ていた猪瀬さんはどうなの、と。
猪瀬さんのことを有田さんは「いい人」
とここで書かれていたじゃないですか。

ご自分にとって「いい人」だったから
それだけで評価するんですか。
鳥越さんは個人的に「いい人」じゃなかったから…。

人間、いろいろですよ。
ガンはすでに国民病となっているのではないでしょ... (シナチク)
2007-10-29 17:26:04
ガンはすでに国民病となっているのではないでしょうか?私の周りでも若くしてガンで亡くなる方が後を断ちません。
 生命保険会社を儲けさせるだけだという人もいますが、現実的にガン保険を最初に発売したアフラックのガン保険で助かったという人の声も、良く聞きます。
 私もガン保険には50歳で入りました。闘病を金銭面で支え続けるためには必要だと思ったからです。医療費が無料であっても、家族の交通費や、雑費で出費が嵩むのは父の看病をして思い知らされました。
記事及びyomoさんのコメントを拝見しての感想なの... (psw_yokohama)
2007-10-30 18:13:59
記事及びyomoさんのコメントを拝見しての感想なのですが…

私は、日本テレビを含むマスメディアには、何度も腹立たしい思いをしてきました。

しかし、どのような組織にも問題はあります。

また、マスメディアで働くことを否定するのなら、ジャーナリストという職業自体を否定することになりかねないと思うのです。

マスメディアで意見表明又は情報発信することには、一定の社会的意義があるはずです。


あの保険会社のコマーシャルへの出演、鳥越氏がジャーナリストであることを考えると、やはり違和感があります。

「何のために?」と。

「他の闘病者へのエール」又は「保険の必要性を訴えること」だったとしても、特定企業のコマーシャルである必要は無いはずですから。
「ぶれない、崩れない」 (ぶれない、崩れない)
2008-04-24 01:53:34
「ぶれない、崩れない」
人生の中で考えや行動が
右往左往する事は
起こりうる事なんどと思います。

「晩節を汚す」
以前、保険の調査関連会社に勤務して
いた方のつぶやきが耳から
離れません。
「(保険に)入れますとは言ったけど、
払いますとは言ってません」
ジャーナリストを職業にしているつもりなら
事前に調べられる事は少なくなかったはず。

「貯蓄は三角、保険は四角」とは将来への
蓄えの積み立て方法を比喩した言葉ですが
だからこそ保険は善意の加入者への
支払いを確実に行うべき商品なのです。

鳥越さんが出演の保険会社にもし、
評判の悪い噂があるならば、
出演は軽率と言わざるを得ないですね。

都知事選に出るんですよ (未来人)
2016-07-21 00:01:50
鳥越氏、2016年に都知事選に出ます。
批判してる鳥越氏をあなた、支持してるんですよ。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。