南シナ海での中国の領有権主張を否定する仲裁判決が発表された後、ケンタッキーフライドチキンなど米国系商品の不買運動が中国各地で起きている。判決を支持し、同海で「航行の自由」作戦を続ける米国に批判の矛先が向いている。一方、中国メディアは、行きすぎた「愛国」行為をいさめる記事を掲載し始めた。
中国紙「新京報」によると、湖南省や江蘇省などの11都市でケンタッキーフライドチキンの不買運動が発生。フィリピンや日本を批判する動きも出ている。河北省唐山では17日、デモ隊が店の前で国歌を歌い、「あなたが食べたのは米国のケンタッキー、捨てたのは祖先のメンツ」と書かれた横断幕を掲げ、食べないよう訴えた。店内で食事中の客をデモ隊が取り囲み、「米国製品をボイコットしろ」と叫ぶ動画などもネット上に掲載されている。
ニュースサイト「浙江在線」によると、杭州の建築用品会社は社員に対し、米アップル社製スマートフォンのiPhoneを回収し、支給した現金で国産スマホに買い替えることを命じる通知を出した。
一方、共産党機関紙・人民日報は「このような『愛国行為』は、逆に社会や国家に害をもたらす」とする評論を掲載した。中国版ツイッター「微博」でも「愛国を掲げ、個人的な不満を発散させているだけ」などと冷静な意見が目立った。(北京=西村大輔)
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朝日新聞国際報道部
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