北朝鮮 ラジオで暗号放送再開か 心理戦の可能性も

北朝鮮 ラジオで暗号放送再開か 心理戦の可能性も
k10010602131_201607201507_201607201508.mp4
北朝鮮が、先月から国営の対外向けラジオで、未明に数字を長々と読み上げる放送を再開したことが分かりました。これは、国外の工作員らに指令などを伝える暗号放送だとみられていますが、韓国に対する心理戦の一環である可能性が高いという見方も出ています。
北朝鮮の国営メディアを分析しているラヂオプレスによりますと、北朝鮮の対外向けラジオのピョンヤン放送で、先月24日と今月15日、未明にアナウンサーが数字を長々と読み上げました。いずれも「探査隊員向けの復習課題をお知らせする」としたうえで、2桁か3桁のページ数と、1桁か2桁の番号を次々と読み上げる放送が、先月24日には3分半にわたって、また、今月15日には12分にわたって、それぞれ続いたということです。
北朝鮮はかつてラジオで、深夜から未明にこうした数字を読み上げる暗号放送を連日行って、国外の工作員らに指令などを伝えていました。ラヂオプレスによりますと、近年は確認されていなかったということで、北朝鮮は今回、暗号放送を再開したとみられています。
これについて、韓国統一省のチョン・ジュンヒ(鄭俊煕)報道官は20日の記者会見で、「北が自制してきた暗号放送を再開したことは非常に遺憾だ。北は旧態依然とした態度を改めるべきだ」と非難しました。
一方、北朝鮮は近年、工作員らへの指令はインターネットなどを利用していると言われており、韓国メディアは、今回の暗号放送について、韓国に対する心理戦の一環である可能性が高いという見方を伝えています。

北朝鮮のラジオ暗号放送とは

国営ラジオで数字の組み合わせを読み上げ、国外の工作員らに指令などを伝える北朝鮮の暗号放送は、「乱数放送」とも呼ばれ、工作員らは放送で伝えられた数字を乱数表を使って足し合わせるなどし、暗号表と照合して内容を解読します。
北朝鮮は過去にこの暗号放送を通じて韓国や日本など国外にいる工作員やその支援者らと連絡を取っていた経緯があり、日本でも暗号を解読する乱数表などが各地で見つかっています。このうち、1977年9月に石川県の海岸で行方不明になった久米裕さんの拉致事件でも、関係者の部屋から乱数表や暗号表が見つかりました。
北朝鮮によるラジオの暗号放送について、韓国メディアは、初めての南北首脳会談が開かれた2000年を最後に行われなくなったと伝えているほか、北朝鮮の国営メディアを分析しているラヂオプレスも、近年は確認されていなかったとしています。