大阪・梅田のクラブ「NOON」営業中に「ダンスを踊らせた疑い」で摘発された元クラブ経営者・金光正年氏。今年6月9日の最高裁決定により無罪が確定したいま、同氏は何を思うのか。4年に渡る裁判、風営法改正運動について話を聞いた。
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「許可を取ってからモノを言え」という批判が多かった
――無罪確定おめでとうございます。前回の取材から4年が経ちましたが、法改正運動を始めた当初はどのような反応が多かったのでしょうか
金光正年氏(以下、金光氏):そりゃもう、BLOGOSのコメント欄が一番キツかったですよ(笑)
ただやっぱり「ルールに従った上で法改正運動を行うべき」という意見は多かったですね。「許可を取ってからモノを言え」というような。でもそれだと、許可を取っている事業者以外は声を上げられなくなってしまうじゃないですか。だから当時も、クラブ事業者は一切声を上げることができなかった。
でも僕らは「クラブが許可を取らないと営業できない」という風営法の制度そのものがおかしいという主張をしていたんですよね。今回新たにできた特定遊興飲食店営業※1(以下、特定遊興)に関しても危惧しているのはそこで、結局警察に許可を取って営業するという形になってしまった。そうするとまた何か問題があったときに「許可を取ってから批判しろ」という圧力が生まれてしまいますよね。ルールそのものがおかしい時に、そういう批判をされるのは筋違いだと思います。
※1:風営法の改正により、一定条件を満たすクラブは特定遊興飲食店営業の届出を行うことで深夜営業が可能になった
――金光さん自身は、今回の風営法改正についてどのようにお考えですか?
金光氏:僕は最終的に、今回の風営法改正には反対しています。結局「ダンス」から「遊興」という曖昧な基準で規制されるだけじゃないかと。だからダンス議連に対しても、議員さんひとりひとりに反対を表明してほしいとお願いしました。だからこの法律を変えたのは僕達ではないんです。
- 深夜0時以降の営業を行う
- 客に「遊興行為」を行わせる
- 客に「酒類」を提供する
今回の法改正で積極的に動いたのはクラブとクラブカルチャーを守る会、日本ナイトクラブ協会、西日本クラブ協会、社交ダンスの方達です。僕が関わっているLet's DANCE署名推進委員会(以下、Let's DANCE)は今回の改正案ではダメだということで、最後の最後に反対しました。ただ、風営法からダンスホール規制がなくなったのは社交ダンスの方達の念願でしたから、それはよかったと思っています。
――なぜ他の団体と協力していくという形にならなかったのでしょうか
金光氏:本当は各団体と手を取りあってやっていければよかったと思います。ただ、Let's DANCEが立ち上がった時にネット上で左翼運動だとレッテルを貼られバッシングを受けたこともあって、少し距離をとって活動されたように思います。もちろん他の団体もLet's DANCEの署名運動がきっかけになったことは理解してくれていると思いますが。
――Let's DANCEの署名運動はネットを非常に上手く活用した運動の例だと思いますが、そこは意識していたのでしょうか
金光氏:もちろん、インターネットを最大限使っていこうという方針はありましたが、東日本大震災以降、TwitterやFacebookで情報を発信するための下地ができていたというのも大きいと思います。それがあったからこそ、Let's DANCE署名運動に坂本龍一さんや大友良英さんなどのミュージシャンや著名人が参加してくれて、大きなうねりを生むことができたと思います。
――Let's DANCEでは署名をインターネットで集めるという点も注目されました
金光氏:ネットで集めた署名ももちろん効果はあるんです。でも僕らは法改正を目的としていたので、やはり直筆の請願署名を集めたいと思っていました。署名を集める際に、フジロックやサマソニなどの音楽フェスで活動させてもらったのはありがたかったですね。サマソニで署名活動をする際にはLet's DANCEの方でも「ボランティアを100人集めるぞ」と言ったんですが、スタッフに「金光さん、それ無理です」って怒られまして(笑)それでも78名のボランティアが協力してくれたんです。
結局、地道な署名活動を続けることで10万署名※2を達成することができたんですが、その原動力はやっぱり、音楽を仕事にしている人、音楽が好きな人達が垣根なく協力してくれたことだったと思います。
※2:Let's DANCEの最終署名数は16万署名(社交ダンス団体とその他ダンス団体6万署名を含む)
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