07月19日 19時59分
8月の終戦の日を前に、今年も戦争の悲劇を伝える企画展が開かれています。今年は戦後71年です。
体験者が少なくなる中、どう戦争の記憶を伝えて行くのか、19日から始まった2つの展示会を取材しました。
名古屋では著名な漫画家などが自らの戦争体験をイラストで紹介する企画展が始まりました。
名古屋市名東区にある戦争と平和の資料館「ピースあいち」の会場には、漫画家や俳優など37人と愛知県内の一般の人から寄せられた終戦の日の記憶について伝えるイラストや文章、約60点が展示されています。
このうち、「ゲゲゲの鬼太郎」で知られ、去年93歳で亡くなった漫画家の水木しげるさんは、兵隊として送られたパプアニューギニアのラバウルの様子を描き、所属部隊が全滅し、死の恐怖に苦しむ姿が紹介されています。
また、7月7日に83歳で亡くなった永六輔さんの作品は、当時の学校の思い出がつづられていて、教師が「日本が戦争に負けないといったのは間違えていた」と子どもたちに土下座する様子が表現されています。
訪れた中学3年の女子生徒は「教科書などとは違って漫画なので戦争の悲惨さをより感じ取れた」と話していました。
ピースあいちの岡村裕成さんは、「戦争体験者が年々減っているが、漫画を通して大人から子どもまで戦争について触れるきっかけにしてほしい」と話していました。
この作品展は、名古屋市名東区の「ピースあいち」で8月31日まで開かれています。
一方、愛知県豊川市では、終戦直前の空襲で動員されていた小中学生を含む2500人以上が亡くなった豊川海軍工廠の歴史を伝える展示会が始まりました。
豊川海軍工廠は当時、東洋一といわれた海軍の兵器工場です。終戦直前にアメリカ軍の大規模な空襲をうけ働いていた小中学生を含む2500人以上が亡くなりました。
会場にはことし新たに寄贈された11点を含む、計79点の遺品や絵などの資料が展示されています。
このうち中学2年生で、海軍工廠に動員されていた豊橋市の竹生節男さん(84)が、記憶をもとに爆撃で燃え上がる工廠の建物を描いていて、炎の赤色が印象的です。
また、アメリカ軍が上空から撮影した空爆を記録した映像もことしはじめて展示されていて、雨のように降り注ぐ爆弾や工廠からあがる爆煙など、激しい空爆の様子が記録されています。
この展示会は愛知県豊川市の桜ヶ丘ミュージアムで8月31日まで開かれています。
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