あなたは"AR"という言葉をご存じでしょうか?ちなみに、最近エンタテインメントや医療などさまざまな分野で開発が進んでいる"VR"とは別物です。
ところで、ここ最近メディアで「ポケモンGO」の話題が取り沙汰されていますが、この「ポケモンGO」の開発元であるNianticという会社は、実は人気ARゲームを手掛けた会社として知られています。さて、「ポケモンGO」とも大きく関わっている"AR"という技術。これについて、今だからこそ押さえておきたいポイントを整理していきたいと思います。
"AR"とは?
拡張現実。コンピューターを利用して、現実の風景に情報を重ね合わせて表示する技術。たとえば、ヘッドマウントディスプレーを通して現実の風景を見る際に、建物の名称を表示したり、過去に存在した建物を再現表示するといった利用方法が検討されている。最近では、スマートフォン向けのサービスが登場しており、iPhoneでは「セカイカメラ」「Layar」といったアプリケーションが利用できる。これと対になる技術として仮想現実(Virtual Reality)がある。
出典:コトバンク
辞書的な意味で言うとこんな感じ。最近で言うと、主にスマホアプリを使って特定のものに向けると何かが見える、みたいな仕掛けが多いですね。要するに、ARの大まかな理解としては「本当はそこにないものを、まるでそこにあるかのように錯覚(視覚)させること」という程度で十分でしょう。
"VR"(仮想現実)との違い
さて、先ほど辞書からARの意味を引用しましたが、その中でARとVRが対となるものとして紹介されていました。
もし私なりの理解で"AR"(拡張現実)を定義するならば、「現実を限りなく仮想世界(ネットワーク)に近づけるもの」という感じでしょうか。
対して"VR"(仮想現実)を私なりに定義すると、「仮想世界(ネットワーク)を限りなく現実に近づけるもの」といったところでしょう。
要するに、"AR"と"VR"は根本的に「軸足」が異なります。あくまで現実に軸足を置いているのが"AR"。そして軸足を仮想世界(ネットワーク)に置いているのが"VR"ということです。
「ポケモンGO」は"AR"ゲームではない?
この理解で言えば、今話題の「ポケモンGO」は文句なしの"AR"ゲームなわけですが、より細かい分類で言うと「ARゲームではない」という意見も一方ではあるようです。その参考記事がこちら。
中でも非常に興味深かった部分を一部引用させていただきます。
ポケモンGoは、Googleマップの固定された緯度と経度に結びついている。拡張現実が関わるのであれば、独自のリアルタイム深度マッピングや物体認識を使うため、(中略)野球場の中心に巨大なトサキントを見つけたり、ペットの猫の上にコラッタを見つけることはないだろう。
ポケモンGoをARと呼ぶのは、まるで360度ビデオをVRと呼ぶようなものだ。
なるほど、私自身も少し引っかかってはいたのですが、「ポケモンGO」は技術的に非常にARに近いものの、厳密にはARゲームではなく「位置情報ゲーム」の系譜に位置するものだということがわかりました。
まとめ
とはいえ、本質的にそのゲームのジャンルが「何ゲーム」なのかという点はさほど重要ではないでしょう。それよりもまず、今回「ポケモンGO」に使われている技術が、いわゆる"AR"と呼ばれるものであることは疑いようもありません。
そして、さらにそれが「位置情報」という指針を得て画期的なゲームへと進化したこと。この文脈を理解しておくことで、いざ「ポケモンGO」が日本でリリースされた際の心構えも幾分か変わってくるのではないでしょうか。
「ポケモンGO」関連本