米国務長官とロシア大統領 シリア情勢で意見交換

米国務長官とロシア大統領 シリア情勢で意見交換
アメリカのケリー国務長官とロシアのプーチン大統領が会談し、内戦が続くシリアで、米ロ両国が過激派組織IS=イスラミックステートなどのテロ組織の壊滅に向けて協力関係を築けるかどうかが焦点です。
アメリカのケリー国務長官は14日、モスクワを訪れ、ロシアのプーチン大統領、ラブロフ外相と会談しました。会談の詳しい内容は分かっていませんが、冒頭、ケリー長官が「シリア情勢を好転できることを期待している」と述べ、内戦が続くシリア情勢について意見を交わしたということです。

シリアでは、ことし2月にアサド政権と反政府勢力が停戦に合意しましたが、その後、再び戦闘が激しくなり、和平交渉の再開の見通しも立っていません。このため、米ロ両国がアサド政権と反政府勢力の戦闘の対象を過激派組織ISや国際テロ組織アルカイダ系のヌスラ戦線などに絞るための枠組みを作り、テロ組織の壊滅に向けて協力関係を築けるかどうかが焦点です。

ケリー長官の訪問を前に、アメリカの有力紙、ワシントン・ポストは政権内部から入手したとする文書をもとに、オバマ政権がロシア側にテロ組織の位置情報の共有や共同の軍事作戦など、米ロが協力する提案を検討していると伝えました。これについて、アメリカ政府はこれまでのところ明言を避けていますが、ケリー長官は15日もラブロフ外相と改めて会談する予定で、具体的な言及があるのか注目されています。

ロシア ISの施設を空爆

ロシア国防省は14日、地元メディアに対し、中距離爆撃機ツポレフ22M3をロシア領内から6機出撃させ、シリア中部のパルミラ東部にある過激派組織IS=イスラミックステートの施設や中部のホムスの石油関連施設を空爆し、ISの司令部や石油精製施設2か所、それに兵器などを破壊したことを明らかにしました。ロシアには、アメリカのケリー国務長官がモスクワを訪れるなか、シリアでテロとの戦いを進める姿勢をアピールするねらいもあるものとみられます。