キヤノンの本気、見てやろう!
キヤノンのミラーレス一眼「EOS M」シリーズ専用のEF-Mレンズに、初のマクロレンズ「EF-M28mm F3.5 マクロ IS STM」が登場しました。
こちらの記事でもご紹介しましたが、最短撮影距離は0.093m。通常撮影では等倍撮影まで可能ですが、スーパーマクロモードに切り替えると1.2倍のマクロ撮影ができます。
最大の特徴はLEDライトが内蔵されている点です。オートフォーカス交換レンズでは世界初。LEDライトは、明かりで陰影をつけて、被写体に立体感を出したり、接写時にできる影を軽減できます。
そのほか、強力な手ぶれ補正「ハイブリッドIS」の搭載や、約130gと小型軽量なのがポイント。APS-Cサイズのセンサーを搭載したEOS Mシリーズに装着すると44.8mm相当の画角となり、標準レンズ的な使い方もできる、かなり万能なレンズです。
……と、ここまでいろいろ書いてきましたが、文字だけじゃこのレンズがどれだけすごいのか、わかりませんよね。そこで、キヤノンさんからEF-M28mm F3.5 マクロ IS STMをお借りしましたので、上に列挙した特徴を実写レビューしていきたいと思います。ボディは、EOS-Mシリーズのハイエンド機「EOS M3」です。
レンズに触れちゃうくらいのマクロ撮影ができる!
EF-M28mm F3.5 マクロ IS STMは、スーパーマクロモード時に「0.093mmまで寄れる」のが特徴。なんかよくわからないという方。9.3cmです。もう一度言います。9.3cmです!
9.3cmというのは、撮像素子面(ボディ)からの距離。レンズ先端からの距離ではありません。そのため、かなりレンズギリギリまで寄れることになります。
カメラと被写体との距離が近くなると、当然撮影者も被写体の近くに寄れることになります。つまり、背面液晶を見ながら被写体を動かせるようになり、構図を決めるのが楽になるメリットがあります。撮影時のストレスになる部分なので、意外と重要です。
さて、ではその実力を見てみましょう。
今回被写体となるのは、超小型ドローンです。手のひらサイズなんてもんじゃなく、指の先サイズとでもいいましょうか。これをマクロ撮影してみましょう。
こちらが通常マクロ時の撮影画像です。通常でも等倍撮影ですから、かなり大きく写りますね。もうこれで十分って感じもしますが。
ここでスーパーマクロモードにします。スーパーマクロモードにするには、レンズを回転させて「SUPER MACRO」の指標に合わせるだけです。これでギリギリまで寄って撮影してみました。
うおおお! もう何を写しているのかわからないくらいドアップです。ちなみにこちらは、ドローンの充電用の端子。これがスーパーマクロの実力か! 1.2倍という倍率は伊達じゃないですね。
ちなみに、撮影風景はこちら。もう、ドローンのプロペラがレンズにくっつきそうです。これくらい寄れちゃうなんてすごい! あ、でも撮影時は被写体にぶつからないように注意してくださいね。
同じくスーパーマクロモードで、絵や文字が描かれた米粒を撮影してみました。米粒ですからね、小さいですよこれは。
どうです!? 小さな小さな米粒もこんなに大きく写せます。これだけ大きく写っていると、米粒なのかどうかすら怪しく感じます。普段見ているものをスーパーマクロで撮影すると、今までとは違う世界が広がります。マクロ撮影楽しい!
世界初のLEDライトで被写体にシズル感と立体感を与える
通常、LEDライトは別売りとなっており、割と高価なため、使ったことがある人はあまりいないかもしれませんね。
しかし、EF-M28mm F3.5 マクロ IS STMならばLEDライトが搭載されているので、手軽に使えます。いったいどんな効果があるのか、試してみましょう。
被写体は、きらきら光るダイヤモンドカットされたもの。もちろん本物じゃありませんよ。では、実写!
LEDライトは、左右にあり、切り替えて使用できます。まずは、ライトをつけずに撮影。
ダイヤモンドのカットがよく分かる位置まで寄れていますが、立体感はまずまず、といったところでしょうか?
左右両方を付けた状態で撮影してみましょう。
LEDライトの光で陰影が作れたことで、ダイヤモンドの立体感がでました。心なしか高級感が出たような…。
次は左側のライトのみ点灯して撮影。
光の当たり方が変わり、ガラッと雰囲気が変わりました。
最後に右側のライトのみ点灯して撮影します。
どうです? LEDライトを使うと、かなり印象的な写真に仕上がりますね。しかも、左右別々に点灯できるので、光を自在に操ってよりかっこいい写真に仕上げることができます。
なお、ライトの強さは2段階に調整ができるので、状況に応じて変更すると、よりイメージに近い写真が撮れるでしょう。
「ハイブリッドIS」でマクロ撮影時の手ブレを低減
コンパクトなレンズですが、強力な手ブレ補正機能「ハイブリッドIS」が搭載されています。これは、角度ブレとシフトブレの両方を同時に補正する機能。これまでは高級レンズ「Lレンズ」のみに搭載されていたのですが、EF-M28mm F3.5 マクロ IS STMにも搭載されているんです。
「1/焦点距離」というシャッタースピードが手ブレをしない目安とされています。EF-M28mm F3.5 マクロ IS STMの焦点距離は、35mm換算で44.8mm。ということで、おおよそ1/50秒ほどが、手ブレのボーダーラインです。
しかし、マクロ撮影をするときは被写体との距離が近くなるため、どうしても手ブレしやすくなってしまいます。そんなときでも、ハイブリッドISがあれば、かなり手ブレを抑えやすくなります。
熊本名物「きじ馬」を撮影してみました。手ブレしやすい、シャッタースピード1/15秒に設定。さて、手ブレ補正なしだといかに…?
結構ブレてしまいますね。そこで、ハイブリッドISを有効にして撮影してみます。
おお、手ブレがなくなりシャープな写真になりました。ハイブリッドIS、かなり強力ですね。
ハイブリッドISは、マクロ撮影時だけではなく、ちょっと暗い場所での撮影などにも効果絶大。効果のON/OFFは、カメラ本体で行いますので、必要に応じて設定しましょう。
小型軽量で普段使いの標準レンズとしてもバッチリ!
EF-M28mm F3.5 マクロ IS STMは、レンズ全長45.5mm、重量は約130gと小型軽量。スーパーマクロモードやLEDライトの機能が目を引きますが、44.8mm相当の画角の標準レンズとしても使い勝手のよいレンズです。
44.8mmというのは、人間の視界とほぼ同じくらい。目でみた景色をそのまま写せるため、スナップ写真に適しています。EF-M28mm F3.5 マクロ IS STMは描写力が高いレンズなので、マクロ以外の撮影でも、シャープでバランスのよい描写をしてくれます。
EOS M3本体の標準レンズとして付けておけば、街角スナップからテーブルフォト、マクロ撮影まで幅広く対応できます。こういうレンズが1本あると、撮影の幅が広がることは、間違いありません。
EF-M28mm F3.5 マクロ IS STMは買いやすい価格
小型軽量で1.2倍のスーパーマクロモード搭載、そしてLEDライト内蔵と、特徴盛りだくさんのEF-M28mm F3.5 マクロ IS STM。4万5000円(税別)と、かなりコストパフォーマンスが高いレンズとなっています。
コンパクトで手軽に高画質が楽しめるキヤノンのミラーレス一眼EOS M3に、唯一無二のマクロレンズEF-M28mm F3.5 マクロ IS STMの組み合わせで、今までにないスーパーマクロ体験ができます。
日常のスナップ撮影に。非日常のマクロ撮影に。
EOS M3とEF-M28mm F3.5 マクロ IS STMがあれば、まだ知らない世界を見ることができますよ!
source: キヤノンマーケティングジャパン
(執筆:三浦一紀/撮影:小原啓樹)