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世界成長率3.1%に下げ IMF16年予測、英EU離脱が影

2016/7/19 22:00
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 【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)が19日改定した世界経済見通しで、2016年の世界経済成長率は3.1%となった。英国の欧州連合(EU)離脱決定で「不透明感が増した」とし、4月時点の予測を0.1ポイント引き下げた。英離脱の影響次第で2.8%まで減速する可能性があると警告している。

 16年の世界成長率は、6年ぶりの低い伸びとなった15年と同じ水準だ。世界貿易の伸び率を0.4ポイントも下方修正するなど、グローバル経済全体に停滞感がにじんだ。

 19日会見したIMF経済顧問兼調査局長のオブストフェルド氏は、「成長期待の低下が消費・投資の減退につながり、潜在成長率そのものを押し下げている」と説明。経済の長期停滞を回避するため、各国に成長底上げ策を求めた。

 20カ国・地域(G20)が23~24日に中国・成都で開く財務相・中央銀行総裁会議でも英離脱問題の余波を念頭に景気刺激策が議論になりそうだ。

 英国の成長率見通しは16年が0.2ポイント、17年は0.9ポイントそれぞれ下方修正し、いずれも1%台の低い伸びだ。EUとの離脱交渉が順調に進まなければ下押し圧力が強まると指摘。16年の世界成長率は「下方シナリオ」では2.9%に、「深刻シナリオ」では2.8%まで落ちると試算した。

 日本の今年の成長率は0.3%と見込む。17年は消費税増税の延期が上振れ要因になるものの、円高の影響が続けばわずか0.1%にとどまりそうだ。主要国の中でも成長鈍化が際立つが、IMFは「16年度の補正予算が成立すれば、17年の成長率は上振れする」とみている。

 ユーロ圏の16年の成長率見通しは堅調な内需を追い風に0.1ポイントの上振れとなったが、17年は一転、0.2ポイント下方修正した。米国は英離脱問題による直接的な影響は少ないものの、16年は年前半の個人消費低迷で0.2ポイント下振れの見込みだ。

 中国はインフラ投資の拡大などで0.1ポイント上方修正した。資源価格の下げ止まりがプラスに働くロシアとブラジルは成長率を上方修正した。

 JPモルガン証券の菅野雅明氏は英離脱について「欧州や世界経済に与える影響は限定的だろう」としながらも、「今後出てくる7月の指標を見て詳細な影響を判断する必要がある」としている。

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