タレントの大橋巨泉さん 死去

タレントの大橋巨泉さん 死去
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幅広い教養と豪快なキャラクターでテレビ番組の司会者としても親しまれたタレントの大橋巨泉さんが、今月12日、千葉県の入院先の病院で急性呼吸不全のため亡くなりました。82歳でした。
大橋巨泉さんは東京都出身で、早稲田大学に在学中からジャズの評論を始め、大学を中退後、放送作家としてテレビの世界に入りました。
昭和40年から民放で放送された深夜のワイドショー番組「11PM」で初めて司会を務め、番組の顔として20年以上にわたって活躍しました。
また、人気クイズ番組やバラエティー番組などの司会にも抜てきされ、じょう舌で機転の効いたコメントや幅広い知識を基にした評論が人気を集めました。
昭和44年には、万年筆のテレビコマーシャルの出演で「ハッパふみふみ」という流行語を生み出したほか、政治的な発言や著書でも注目されました。
平成2年には56歳ですべてのテレビ番組を降板して「セミ・リタイア」を宣言し、ゴルフやジャズなどで余生を楽しみたいと、1年の大半をオーストラリアやカナダなど海外で過ごしていました。
また平成13年には、参議院選挙に当時の民主党から立候補し当選しましたが、「フリーな立場でものを言いたい」として半年足らずで辞職しました。
所属事務所などによりますと、大橋さんは、平成17年に胃がんの手術を受けたほか、3年前には中咽頭がんと診断され、その後手術と放射線治療を受けていました。さらに去年の秋に腸閉塞の手術を2回受け、ことし4月には体調が悪化して、一時的に意識を失い、緊急入院したということです。
6月には22年にわたって連載してきた雑誌のコラムを終了し、最終回には「これ以上の体力も気力もありません。書きたい事や言いたい事は山ほどあるのだが、許して下さい」と記していました。
大橋さんは千葉県内の入院先の病院で治療を続けてきましたが、今月12日、急性呼吸不全のため亡くなったということです。

妻の寿々子さん「闘病生活にアッパレを」

大橋巨泉さんの妻の寿々子さんは、ファックスでコメントを出しました。
この中で、寿々子さんは「『どうぞ大橋巨泉の闘病生活に“アッパレ”をあげてください』。皆様方もよくご存じのように夫は、自他共に許す“わがまま”と言われ、痛いことやつらいこと、待つこと、自分の意に染まないことは、“避けて通る”というわがままでした。そんな夫が2005年に胃がんを手術、2013年には、第4期の中咽頭がんで3度の手術と、4回の放射線治療、昨秋には2度の腸閉塞と手術を、そして4月の在宅介護の鎮痛剤の誤投与と続いても、12日までの約11年間の闘病生活を勇敢に戦ってきました。
特に4月からの3か月間は、死を覚悟し、すべてを受け入れ、ひと言の文句も言わず、痛みも訴えずに、じっとがまんをしてくれました。病状ですが、5月までは、希望を持っていましたが、6月には体力の衰えが見えて、7月に入ると、眠っている時間が長くなりました。それでも、娘や孫たちの見舞いを受けると、にっこりと笑顔を見せていました。そのころには、会話する気力もなく、うなづいたり、手を強く握ったり、目元や口元の動きなどで、意思を伝えてくれました。
そして、最後は、眠ったまま静かに旅立ちました。すばらしい看護スタッフに恵まれて、本人ともども、心から感謝しています。そして何度も電話や手紙で励ましてくださいました多くのファンの方やご友人と、優しい大橋家の家族たちには、改めてお礼を申し上げます」とつづっています。