【米大統領選2016】トランプ氏のメラニア夫人、共和党大会の演説に盗用疑惑

  • 2016年07月19日
メラニア夫人は演説でトランプ氏を心温かく優しい人だと述べた Image copyright Getty Images
Image caption メラニア夫人は演説でトランプ氏を心温かく優しい人だと述べた

米オハイオ州クリーブランドで18日、共和党全国党大会が始まった。党候補に指名される見通しのドナルド・トランプ氏のメラニア夫人が登壇したが、演説の一部がオバマ大統領のミシェル夫人が2008年に行った演説からの盗用ではないかと指摘されている。

演説を聞いたコメンテーターたちは、オバマ氏が初めて党候補に指名された2008年の党大会でのミシェル夫人の演説と、きわめて似ていると指摘。トランプ氏の選挙運動でメラニア夫人が演説するのは初めてで、原稿はスピーチライターの協力を得たものだ。

メラニア夫人は演説の中で、「両親からは、人生で求めるものを手に入れるため一所懸命努力すること、自分の言葉は自分を縛るもので、やると言ったことはやり約束を守ること、周りの人を尊重することが大事だと強く教わった」と述べた。

一方、ミシェル夫人は2008年の演説で、「バラク(・オバマ)と私は、実に同じような価値観のもとで育てられた。人生で求めるものを手に入れるため一所懸命努力すること、自分の言葉は自分を縛るもので、やると言ったことはやること、周りの人を尊重して敬意を払うこと。知らない人だったとしても、そして意見が異なる人だったとしても」と語っていた。

メラニア夫人は続けて、「(両親には)価値観や道徳心を日常生活で示すよう教えられた。私たちの息子にも、その教えを伝えようとしているし、将来の何世代にもわたって受け継がせるべきだ。自分にできることの限界を決めるのは、夢の強さと、夢の実現のためにどれだけ努力しようと思うかだと、この国の私たちの子どもたちに知ってもらいたいので」と述べた。

一方で8年前のミシェル夫人は、「バラク・オバマと私はこうした価値観に沿って人生を築き、次の世代にも伝えることにしました。なぜなら、自分にできることの限界を決めるのは、夢の大きさと、夢の実現のためにどれだけ努力しようと思うかだと、自分たちの子供たち、そしてこの国の全ての子どもたちに知ってもらいたいので」と語っていた。

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Image caption メラニア夫人(写真左)とミシェル夫人

トランプ氏の広報アドバイザーのジェイソン・ミラー氏は文書で、「メラニア夫人の演説を書くにあたって、ライター陣はメラニア夫人が人生から得たインスピレーションを参考に、本人の考えを随所で反映させた」、「メラニア夫人の移民体験やアメリカに対する愛情が、彼女の演説からうかがわれ、大成功につながった」とコメントした。

トランプ氏は妻の演説を「まったく素晴らしかった」と称賛した。

スロベニア出身で元モデルのメラニア夫人は演説で、夫のトランプ氏がタフでありつつも思いやり豊かな、大勢を団結させられる人物だと語った。

メラニア夫人は、「彼は、強くなければいけない時には強くなれますが、同時に優しくて公平で温かな人です」と述べ、「彼の優しさは気づかれないこともありますが、いつでもそこにあります。彼と恋に落ちたのもそもそもそれが理由のひとつですから」と語った。

トランプ氏の選挙運動中、メラニア夫人は、ほかの候補の配偶者と比べて、あまり表舞台に出て来なかった。多くの場合、トランプ氏の成人した子どもたちがその役割を担ってきた。

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Image caption トランプ氏とメラニア夫人

個人的な内容が大半を占めたメラニア夫人の演説は、他の登壇者たちが「アメリカを再び安全にする」ことについて語ったのと対照的だった。メラニア夫人は、「あなたのため、この国のために戦ってくれる人を求めているなら、彼がその人です」と語った。

ほかには郡保安官や叙勲退役軍人、元モデルといった多彩な登壇者が、従軍体験や都会の犯罪、非合法移民の危険性などについて語った。

ニューヨークのルドルフ・ジュリアーニ元市長やトム・コットン上院議員(アーカンソー州選出)は、民主党の対立候補となる見通しのヒラリー・クリントン前国務長官への批判を展開。クリントン氏の外交問題での判断に疑問を呈した。

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Image caption 登壇したジュリアーニ元ニューヨーク市長

ジュリアーニ氏は、「ヒラリー・クリントンが自分たちを守ってくれるなどと誰が信頼するか。私はしない」と語った。クリーブランド市内のクイッケン・ローンズ・アリーナに集まった大会参加者はジュリアーニ氏の演説に盛り上がった。

一方で、クリーブランド市があるオハイオ州のケーシック知事を含め、多くの共和党有力者が今年の共和党大会への欠席を決めている。賛否両論があるトランプ氏の移民政策や外交政策に反発しているためだ。

トランプ氏はこれまでに、イスラム教徒の一時入国禁止や、1100万人近くに上る非合法移民の送還を主張している。

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Image caption 抗議の声を上げる反トランプ派の人々

党大会で登壇した中西部ウィスコンシン州のデイビッド・クラーク保安官は、17日に南部ルイジアナ州バトンルージュで起きた警官射殺事件を受けて、警察を強く擁護。「青い(制服=警官)人の命も大事だ!」と語った際には、観衆から大きな歓声が上がった。

相次ぐ警官射殺を受けて、トランプ氏は国が分裂しつつあると述べたが、オバマ大統領はそれを強く否定している。

演説に先立ち、各州の代議員が予備選結果に縛られない形で投票できるようにする提案がされたものの、投票には持ち込まれなかった。3州が支持しなかったためだとみられている。一部では、共和党幹部たちが故意に邪魔をしたと指摘されている。

このため、トランプ氏の党候補指名を阻止しようとする最後の試みも失敗に終わった。

(英語記事 Melania Trump accused of plagiarising Michelle Obama in convention speech

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