昨日、ソフトバンクがARMホールディングスを買収すると発表したことは、実業界や金融関係者にとって(よっしゃ! Brexitでもアニマル・スピリットは、死んでない!)と心強くさせるニュースでした。

ある意味、先進各国の中央銀行が、超低金利政策を堅持してきたのは、未来にアグレッシブに賭ける、今回のディールのような経済活動を促す意図があったわけです。

Brexitという「政治のクライシス」が、「金融システムのクライシス」に至らなかったのは、だからカーニー総裁やイエレン議長の慎重な手綱さばきの賜物と感謝すべきなのかもしれません。

しかし……

「アニマル・スピリットの炎は消えていない!」ということと、「蛮勇」は、紙一重です。

金利コストが限りなくゼロに近い状況では、経営がかなり杜撰でも、会社は潰れません。それは逆に言えば、そろそろ横着なディールが増え始めるときでもあるということです。

実際、米国の自動車ローンの業界では、貸付競争が始まっており、むこうみずな融資が横行しています

銀行各行の第2四半期決算発表では、消費者向け融資のボリュームが増えているのが目立ちました。その反面、経営陣は口を揃えて「今後、焦げ付きは、増えざるを得ない」と言っています。

株も新値圏を舞っているし、消費もオッケーだし、ソフトバンクのARMホールディングス買収みたいな、良い意味でチャラついた、豪胆なディールも、さらりと発表されている、、、

FRBがパンチボウルをこっそり下げ始めるべき時とは、今のようなタイミングです。

Asian party

そうかと思えば、ウォールストリート・ジャーナルのジョン・ヒルゼンラースが「FRBは利上げに関し自信を深めている。早ければ9月も視野に……」という、まことに藪から棒な、けしからん記事を書いているわけです。

6月のFOMCの記者会見では、ひとりだけ精悍な日焼け姿(savage tan)で:

こいつ、どれだけ遊んでんねん?


と思わせるバケーション・モードを発散させていたヒルゼンラースですが、皆がハンプトンに出払った今、ひょっこり仕事しに戻ってきているというわけ。

やだぁ、このひと、いじわる!


経験則として、8月はFRBが金利政策の方針を大転換することが多いです。

戒めよ! 慢心。