趣味の経済学  FX、お客が損すりゃ業者は儲かる  仕組みの解明と適切な後始末を
▲12 監督官庁はどうだ
▲13 カバー取引の謎
▲14 カバー取引の矛盾
▲15 FXを司法関係から見る
▲16 欲に眼が眩み「視野狭窄」になっている
▲17 仕組みの解明と適切な後始末を
監督官庁はどうだ
12-1 FXは「金融商品取引法」に定められた取引だ。そこで先ず「金融商品取引法」第2 条第22項を引用しよう
22  この法律において「店頭デリバティブ取引」とは、金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う次に掲げる取引(その内容等を勘案し、公益又は投資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定めるものを除く。)をいう。
 一  売買の当事者が将来の一定の時期において金融商品(第二十四項第五号に掲げるものを除く。以下この項において同じ。)及びその対価の授受を約する売買であつて、当該売買の目的となつている金融商品の売戻し又は買戻しその他政令で定める行為をしたときは差金の授受によつて決済することができる取引

12-2 金融庁のホームページには「いわゆる外国為替証拠金取引について」と題していくつかの注意事項が書かれている。そこから参考になりそうなことを引用してみよう。
 いわゆる外国為替証拠金取引は、金融商品取引法に規定されるデリバティブ取引です。(以下では、単に「外国為替証拠金取引」といいます。)
 注意すべきポイント
■外国為替証拠金取引は、金融商品取引法に基づく登録を受けた業者でなければ行うことができません。投資者の皆様におかれては、登録を受けていない者からの勧誘に十分ご注意ください。
■登録を受けた業者と取引を行う場合であっても、その業者の信用力を慎重に判断し、取引内容をよく理解することが重要です。
■外国為替証拠金取引は、少額で取引できる反面、差し入れた保証金以上の多額の損失が生ずるおそれのある非常にリスクの高い取引です。そのため、リスクを認識した上で、自らの責任で適切な投資判断を行うことが必要です。
 「II  取引に対する注意」と題して
2. 取引内容の十分な理解 取引を行う場合は、取引の内容や取引に内在するリスクなどの説明を受け、また、ご自身でもよく確認し、十分理解するようにしてください。
 どのようなリスクがあるのか、
 実際に為替取引がどのように行われるか、
 差し入れた保証金はどのように管理・保全されているのか、
 などは必ず確認してください。
 取引の仕組みが理解できないときは、はっきり断ることが大切です。また、説明内容の信頼性にも十分注意が必要です。
このようなことが書かれている。
3. 信頼できる業者との取引の場合にも、取引には高いリスクがありますのでご注意下さい。
(1)相場変動リスク
(2)金利変動リスク
(3)流動性リスク
(4)システムリスク
(5)信用リスク
取引の内容は、取引が業者との相対取引の形態をとるもの、取引所へ注文を取次ぐ形態をとるものなど 業者によってさまざまであり、提供されるサービスに係る約款などをよく理解して取引することが重要です。 (T注 どこに外国為替(外国通貨)を売買する取引所があると言うのだ。東京金融商品取引所では外国為替の売買は行っていない。!!金融商品取引法第2条第22項には次のような条文がある。「金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う取引」「差金の授受によつて決済することができる取引(原商品=外国為替の受渡・売買を行わない取引)と。)

12-3 <金融庁は資産運用の手段として認めている> 金融庁の姿勢をみると、株取引と同じような「資産運用の手段」として認めているようだ。金融庁のホームページを読む限り、会員の損失分が業者の売り上げになるとは考えつかない。
 東京金融取引所では、金融先物商品を扱っているのであって、ドル/円などの為替・通貨取引は行っていない。東京金融取引所ホームページを参照して頂きましょう。
 金融商品取引法第2条第22項では「金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う取引」「差金の授受によつて決済することができる取引」と表現している。差金決済ということは現物(原商品・外国為替・外国通貨)の受渡しは行わない、つまり実際には売買は行わない、ということだ。つまり「のみ行為」。金融商品取引法第2条第22項ではFXで業者がのみ行為(商品先物取引法第212条により禁止されている)することを合法としている。
12-4 (のみ行為の禁止)第212条 商品先物取引業者は、商品市場における取引等の委託又は外国商品市場取引等(外国商品市場取引若しくはその委託の媒介、取次ぎ若しくは代理又は外国商品市場取引のうち商品清算取引に類似する取引の委託の取次ぎ若しくはその委託の媒介、取次ぎ若しくは代理をいう。以下この章において同じ。)の委託を受けたときは、その委託に係る商品市場における取引等をしないで、自己がその相手方となつて取引を成立させてはならない。
 金融庁の見方は、株取引と同じような資産運用になる取引と見ている。そしてそのホームページを見た人は、金融庁が保証していると思い込む。金融庁もFXバブルを擁護していると判断します。後始末が始まれば話題になることでしょう。
カバー取引の謎
 どこの「契約締結前交付書面」にも「カバー取引」のことが書かれている。
13-1 本取引では、お客様からのご注文は、すべてカバー先金融機関にてカバー取引が行われています。そのため、カバー先金融機関の信用状況により損失を被るリスクや、何らかの事情によりすべてのカバー先にカバー取引が出来ない状況になった場合、当社は通常通りのお取引をご提供できなくなる場合があり、お客様はお取引が困難になるリスクがあります。 (FX24インターネット取引)
13-2 カバー取引相手方 お客様がお取引される外国為替証拠金取引は店頭デリバティブ取引(金融商品取引法第2条第22項)、またスポット貴金属取引は店頭商品デリバティブ取引(商品先物取引法第2条第14項)であり、お取引の相手方は当社となります。当社は、お客様と当社の間での取引を成立させると同時に、当該取引により生じ得る当社の市場リスクの回避を-目的として、金融機関を相手方としてカバー取引を行っております。 当社の「カバー取引」の相手方の名称、監督機関及び業務内容は以下のとおりです。 名称: GAINCapitalGroupLLC(ゲイン・キャピタル社) 監督機関: US CFTC(米商品先物取引委員会) 業務内容: 外国為替証拠金取引、スポット貴金属取引 (フォレックス ドットコム)

<ネットでの説明>  カバー取引とはなにか?ネットを検索していたら適当な説明があったので引用しよう。(赤字・青字はTanaka指定)
13-3 「金融・経済用語辞典」 カバー取引とは、相対取引の金融取引において、取引の引き受け手がリスク回避のために行うヘッジ取引で、引き受けた注文と同じ注文を別の金融機関に対して行うことを指す。カバー取引を行うことで、金融取引業者がリスクヘッジをすることができる。
 例えば、FX(外国為替証拠金取引)のような店頭取引(相対取引)が行われる場合、顧客の利益=業者の損失、顧客の損失=業者の利益となりそれぞれの取引が利益相反関係となる。 こうしたリスクを業者が負ってしまうと、場合によっては大きな損失をこうむることになってしまう。そのため、取引業者がこうしたリスクをヘッジするために、自らも別の金融機関や市場に対して顧客と同じ注文を出すことでそのリスクをカバーする取引を「カバー取引」と呼ぶ。
 以下ではFX取引による、カバー取引について言及する。
 FX(外国為替証拠金取引)の場合、取引業者は顧客から1万ドルの米ドル買い、日本円の売りの注文を受けたとする(1ドル=100円)。この場合、為替レートが変動し、1ドルが110円になったとして、顧客の投資家がこのポジションを解消した場合、相対取引であるため、業者はこの投資家に対して10万円を支払わなければならない。
 こうした場合、FX取引業者は銀行(メガバンク等の大規模銀行)に対して同じ顧客投資家と同じ注文(1ドル=100円で1万米ドル買い)をしておけば、この投資家が110円でポジションを解消した場合は、投資家への支払い10万円、カバー取引で購入していたドルの売却益10万円ということで、リスクが0になる。 逆に為替が円高にふれたとしても顧客投資家の損失分(業者にとっては利益)で銀行から買い付けたカバー取引分の損失をヘッジすることができる。
 このような相対取引では、業者側がどの程度カバー取引をしているかが安心の目安ともいえる。
 上記では、FX取引業者の利益は0になるが、実際には顧客投資家から手数料やスプレッドなどで収益を得ている。 (「金融・経済用語辞典」)
 (T注 この場合、会員の保証金は4万円、業者はその4万円を担保に25倍・100万円の取引をすることになる。あまりにもリスクが大きい。業者はプラスマイナスゼロだが、カバー銀行は10万円の赤字。この説明では「7-1 スプレッドが手数料になる」 と同じ誤りになります。つまり「客の損得は業者に関係ないからカバー取引は必要ない」という説明になる.)
13-4 「Fx取引入門」 前のページ(店頭FXと取引所FX)では、FX取引は相対取引であるということを解説しました。そのため、FX取引は顧客と業者/取引所の1対1の取引となります。しかし、そのままでは顧客の利益は業者/取引所の損失、顧客の損失は業者/取引所の利益となり、利益相反の関係になってしまいます。相場が顧客にとって有利に動けば顧客は儲かりますが、業者/取引所にとっては逆行となり損失を被ります。手数料収益など消し飛んでしまいます
  そこで、業者/取引所はその危険をヘッジするため、自らは銀行等と取引を行います。例えば、顧客からドル/円の買い注文を受けた場合、それと同じ数量、同じレートで銀行と取引を行えば、業者/取引所は相場のリスクから開放されます。これをカバー取引といい、FX取引業者に取引口座を開設する際に交付される書面では、カバー取引の相手方を明示することが法令で定められています。
業者は必ずカバーするの?
FX取引業者が顧客から受けた注文を全てカバーしているかというと、これは業者によって様々です(取引所FXの場合は全てカバーしています)。取引システムのしくみ自体で、顧客注文とカバー注文をセットにしていて、100%自動カバーを行っている業者もあれば、間に人(ディーラー)が入って、注文状況や相場を見ながらカバーを行っている業者もいます。後者は相場のリスクを負うことになりますが、そこに収益機会を求めていこうという考え方なのです
カバー取引の相手方もいろいろです
FX取引業者のカバー取引相手方となるのは、銀行や証券会社です。ただこれも、上はメガバンクから下は中小の証券会社までさまざまです。大手銀行の場合は直接インターバンク市場に参加していますが、中小の金融機関は直接参加できないので、そうした大手銀行につなぐことになります。中間卸問屋のような位置づけですね。業者を選ぶ際、カバー取引の相手方も重要なポイントです。2007年の夏に為替相場が乱高下したとき、カバー取引が思うように消化できなかったため、破綻した業者がありました。もちろん、中小金融機関でも100%上位へつなげられる体制を確保しているなら大丈夫ですが。
業者は登録制
 FX取引は、金融商品取引法の対象商品です。業者は金融庁への登録が義務付けられており、営業活動や内部管理体制を法令で厳しく規制されています。ただ、登録業者だからと言って、安心できるとは限りませんので注意が必要です。 (「Fx取引入門」)
13-5 「FX取引入門サイト」 FX取引では相場の変動に対して保有ポジションにて損益が発生し、それが利益になったり損失になったりします。それの基になる数値が為替レートですが、パチンコなどは顧客と業者間とでは業者側が有利になるように出玉率を設定しています。損をする顧客の方が設定的に多いのです。
 しかしFX取引においてFX会社が為替レートを有利に動かすことは出来ず、インターバンク市場に依存しています。言わばどっちに転ぶか、どっちが得をするかは半々なのです。
 (T注 銀行間取引のレートを参考に各業者は独自に(勝手に)レートを設定しています。

 顧客の損失はFX会社の利益で顧客の利益はFX会社の損失… どっちに転ぶかが半々の状態で取引を行うことはビジネスとしては無謀な取引です。
 FX会社はそのようなリスク回避するために、顧客からの注文と同等の注文を他の外国為替を扱う会社と取引を行います。これをカバー取引とよび相手会社をカバー先(カウンターパーティ)といいます。このカバー先は、銀行や保険会社や同業のFX会社など各FX会社の方で公示されています。
 カバー取引を行うことで、顧客から【UED/JPY 100,000通貨 ロング(買)】の注文を受けた時、仮に100pips(1円)円安に動けばFX会社は顧客に対して10万円を支払うことになり、スプレッドで入っている数ピップスの手数料など何の利益にもなりません。しかし同内容のカバー取引を行うことで、カバー先から10万円の利益が入り顧客へ支払いはゼロになります。FX会社の立場から見れば顧客へはショート(売)、カバー先へはロング(買)となり、このように同数量で持ち高をイーブンにすることをスクエアポジションといいます。
 こうすることで為替変動に対してリスクを回避し、FX会社の利益は、顧客からの注文時のスプレッドとカバー先との取引でのスプレッドの差益分が利益となります。カバー先との取引の方が顧客に提示しているスプレッドより小さいわけです。逆に考えれば、カバー先とのスプレッドを基準に顧客向けスプレッドを決めいていることになります。

 (T注 この説明では、カバー取引とは仲介取引と同じ取引ということになります。また業者とカバー先とは必ずしも同じレートではありません。カバー先は10万円の赤字。)

 カバーの方法はFX会社により異なる
 FX会社がリスクヘッジで行うカバー取引… このカバー取引の方法も、顧客の注文を全て自動的にカバー先へ回すFX会社と、選任ディーラーを置いてディーラの裁量によりカバーするかしないかを決めるFX会社があります。
 前者の場合は、顧客とのすべて取引をカバーするので為替変動リスクは最小限に抑えることができますが手数料以外に収益は発生しません。反対に後者の場合、カバーを行わない取引に関しては為替変動リスクを伴いますが、ディラーの技量でのディーリング収益にもなります。またこのようなFX会社は、それなりの資本的な体力がないとこのような方法は取れないでしょう。リスクもさることながらディーリングを行う設備投資やディーラーを雇う人件費やディーラーを育てる環境も必要になってきます。
 またカバー先会社にもインターバンク市場に直接参加しているようなメガバンクからFX会社とその先にまたカバー先があったり同等規模のカバー先と様々で、もちろんカバー先の大きい方が顧客にとっても有利に働きます。
カバー先がなぜ重要なのか?
それは顧客からの注文要求に対して、カバー先で蹴られたら約定してくれないということです。
 FX会社からすれば、上図の1番の注文より2番の注文が優先で【USD/JPY 100,000 ロング】をカバー先が受けてくれない状態で1番を注文を受ければリスクヘッジにならないからです。システムにて行ってるFX会社なら全てカバー先への応答結果に依存してる形になり、顧客からすればFX会社が優良カバー先と取引してくれてないと指標発表時や荒れ相場の時は全て蹴られる(約定拒否)現象に陥ることもあります。また、複数のカバー先と契約してくれていないとカバー先でのシステム障害などでストップすれば、顧客側も前面ストップになります。複数のカバー先があれば、他のカバー先へと振り分けてくれるでしょう。
 もう一方の選任ディーラーを置いているFX会社なら、仮にカバー先で受けてくれなくてもディーラーの裁量で「受ける」と判断すれば約定してくれるでしょう。
 こう考えると選任ディーラーを置いているFX会社の方が有利にも思えますが、スプレッド幅などは少し大きくなるかもしれません。全てをシステムに任せているFX会社は、その分人件費なども掛かってないでしょうからスプレッドなどの手数料収益を抑えて薄利多売で顧客を獲得しているとも考えれれます。
 どちらがいいかは難しいですが、全てがシステム依存でも多くのカバー先と繋ぎ、安定したシステムを維持しているのなら、顧客としても約定拒否の不利益を抑えれるかもしれません。 (「FX取引入門サイト」の「FX会社のカバー取引」)
13-6 金融庁による一斉点検 金融庁による「外国為替証拠金取引業者に対する一斉点検の結果について」という資料がある。
 「カバー取引の発注のしかた」として、個別取引ごと=78%、一定時間又は一定額ごと=13%、業者の判断=8%、という数字がある。
13-7 具体的な数字で検討してみよう 一般的な説明ではこうなる。Bid 80.00 Ask 80.02 の時、会員から 80.02 での買い注文があった場合、レートが上がりBid 80.10 Ask 80.12 の時に決済注文が出ると、80.02-80.10=-0.08で業者は0.08の損失になる。そこで業者はカバー先の銀行に、会員と同じように80.02での買い注文を出す、決済注文で80.10でカバー先銀行に買い取ってもらう。業者は会員に対して0.08の損失、カバー先銀行に対して0.08の利益、となり会員に対しての損失をカバー先銀行との取引でカバーする。
ただし、この説明ではカバー先銀行の損失は無視されています。)
カバー取引の矛盾
 金融庁の見方は、リスク管理の手段としてカバー取引は必要だ、との認識のようだ。けれどもよく考えるといくつかの矛盾が見えてくる。
14-1 業者とカバー先とレートが違う 上の例として、Bid 80.00 Ask 80.02 の時に買い注文があり、Bid 80.10 Ask 80.12の時に決済処理が行なわれた、として書いた。業者のレートとカバー先銀行のレートが同じとして書いている。実際は違う場合が多いはずだ。カバー先と業者のレートが瞬間的には上下反対の動きをする時もあるに違いない。業者は「契約締結前交付書面」で「カバー先の提示する価格を参考にして業者が独自に価格を提示する」と断っている。
14-2 レバレッジはどうなのか? 会員との取引はレバレッジが利いていて少額の取引になる。カバー取引はどうだ?レバレッジが利いてなければ25倍(規制前には400倍もあった)の金額になる。そんなに多額の資金を用意し、移動させるのか?多額の資金を移動するということはリスクが大きい。
14-3 カバー先とは差金取引なのか? 会員と業者との取引は差金取引だ。現物の受け渡しをしないからこれで良い。カバー取引ではどうか?現物の受け渡しをしないでカバー銀行とは口約束・帳簿上だけの帳合い取引なのか?もしそうならば、初めの取引と決済取引が同じ銀行でなければならない。
 くりっくはこれができない。A銀行のBid 80.00 B銀行のAsk 80.02 の時に注文があり、C銀行のBid 80.10 D銀行のAsk 80.12の時に決済処理があったとしたら、差金取引はできない。多額の資金移動をしなければならない。
 銀行間の取引は、2001年1月4日から即時グロス決済(Real Time Gross Settlement=RTGS)に切り替わった。それまでは、朝金(午前9時)、交換尻(午後1時)、3時(午後3時)、為決(通常午後5時)に差金決済を行っていた。つまり、銀行間では差金決済は行わず、取引の度ごとに全額移動させる。 ▲即時グロス決済  ▲即時グロス決済  時には、客の100万円を担保に2,500万円を移動させることもある。規制前には400倍のレバレッジもあった。あまりにもリスクが大きい。このRTGSは金融機関が破綻した場合にその影響が広まらないように、短期に収縮させるのが目的で、当時の速見日銀総裁は自叙伝で任期中の最大の仕事であったと自慢している。
 株にはSQがあるがFXにはそれがない。客の故意・過失(死亡・行方不明・忘れ、など)によりいつまでも決済取引ができないでいる、という事例が発生する恐れがある。カバー取引をしていると、このトラブルにカバー銀行を巻き込むことになる。
14-4 カバー先は24時間営業なのか カバー取引のレートは当然カバー先金融機関のレートに違いない。FXは24時間取引が行われる。カバー銀行が日本の場合、日本の為替市場が開かれていない深夜にもFX業者にレートを配信しているのだろうか?カバー先銀行に為替の値動きはない深夜、FX業者の為替の値は変化する。カバー取引のレートはどうなるのだろう?
14-5 両建ても行うのか? Bid 80.00 Ask 80.02 の時に買い注文があり、直後に売り注文があれば、カバー先に「両建て」の注文を出すことになる。それほど頻繁に行うのか?
 両建て  同一の通貨ペアの売建玉と買建玉を同時に持つこと(「両建て」といいます。)は、可能ですが、両建ては、お客様にとって、アスク価格とビッド価格の差、証拠金を二重に負担すること、支払いのスワップポイントと受取りのスワップポイントの差を負担することなどのデメリットがあり、経済合理性を欠くおそれがあります。(DMM)
 両建て 同一の通貨ペアの売建玉と買建玉を同時に持つこと(以下「両建て」という。)については、、Bid(お客様の売りレート)とAsk(お客様の買いレート)の価格差、手数料及び証拠金を二重に負担すること、支払いスワップポイントと受取りスワップポイントの差を負担すること等、経済合理性を欠くおそれがあるため、当社は、同一の通貨ペアに関し、両建て取引となるような売買注文は受付しません。(フォーランドフォレックス)
 両建て 両建て(りょうだて) 同一通貨ペアの売建玉と買建玉を同時に持つことをいいます。お客様にとって買付け価格と売付け価格の差、手数料及び証拠金を二重に負担すること、支払いのスワップポイントと受取りのスワップポイントの差を負担することなどのデメリットがあり、経済合理性を欠くおそれがあります。(FXブロードネット)
 両建て FX取引において両建て取引を行うことができる場合、両建て取引は取引手数料が売建、買建の二重にかかること、また別途定めるスワップポイントも売建、買建の双方で異なり払出が生じる恐れがあることや、売値と買値の価格差についてお客様が二重に負担する可能性があることなどから、経済合理性を欠きお客様にとって不利益となりうる取引であること。(マネーパートナーズ)
14-6 業者の利益はどうなる? 業者は会員との取引で損失を発生させてもカバー取引で補填する。そして、会員との取引で利益を出してもカバー取引で損失を発生させる。では、利益はどこで出すのだ。
14-7 カバー先への手数料は? リスクをカバーして貰うのだから、手数料は払うことになるのだろう。最初の疑問点に戻る。「FX業者はどのようにして利益をあげているの?」
 @「カバー取引によって業者の損益はゼロになる。そこでスプレッドの差が業者の利益になる」とかA「カバー取引でレートの差が利益になる」などの答え。@は7−1に戻ってしまう。Aは仲介取引になってしまう。どちらも最初の疑問にもどり堂々巡りになり、せっかくここまで進んできた人が一番初歩の段階に戻ってしまう。
14-8 カバー取引のために用意すべき資金量は? 個人会員が10万円の保証金を入金すると250万円相当の米ドルを買うことができ、好きなときに決済取引ができる。業者はこのカバー取引のために250万円をカバー銀行の日本円の口座に用意しなければならない。初回取引が終わると日本円が残高ゼロになり、米ドル口座に250万円相当の米ドルが入金される。決済取引が終わると、日本円の残高が250万円になる。(会員は初回取引後、円高・ドル安になるとロスカットの恐れがあるので目一杯の米ドルは買わないが、ここでは話をわかりやすくするためこの点は無視して話を進める。)
 個人会員が10万円の保証金を入金すると250万円相当の米ドルを売ることもできる。このカバー取引ために業者は250万円相当の米ドルをカバー銀行の米ドルの口座に用意しなければならない。初回取引後、日本円口座の残高が500万円に、米ドル口座の残高がゼロになる。決済取引後、日本円の口座残高が250万円に、米ドル口座の残高が250万円相当に戻る。
 このように個人会員が10万円の保証金を入金すると業者はこのカバー取引のために、カバー銀行の日本円の口座に250万円、米ドルの口座に250万円相当の米ドルの準備しなければならない。そしてこれはFXが日本円と米ドルだけの場合で、実際は多くの国の通貨を扱っている。業者によって数は違うが、ここでは8通貨として話を進める。そうすると、業者はカバー銀行の8口座に、8カ国の通貨250万円相当、総計2,000万円相当を用意しなければならない。つまり、個人会員が10万円の保証金を入金すると業者は2,000万円の資金を用意しなければならない。
 さて、これはカバー銀行が1行の場合、日本の営業時間内に初回取引が行われ、日本の営業時間内に決済取引が行われれた場合だ。日本の営業時間内に初回取引が行われ、アメリカの営業時間内に決済取引が行われると話が違ってくる。この場合は決済取引のためにアメリカのカバー銀行に日本の銀行と同額の資金を用意しなければならない。さらに決済取引がヨーロッパの営業時間内に行われる場合を想定し、ヨーロッパのカバー銀行に同額=総計2,000万円相当の8カ国の通貨を用意しなければならない。このようにカバー取引のために3カ国の銀行にそれぞれ総計250万円相当の8カ国の通貨、総額6,000万円の資金を用意しなければならない。
 法人会員が250倍のレバレッジで100万円の保証金を入金したら、総額60億円の資金を用意しなければならない。
 個人会員が10万円の保証金を入金すると業者はカバー取引のために総計250万円相当の8カ国の通貨、総額6,000万円の資金を用意しなければならない。10万円入金した個人会員が1,000人いた場合、あるいは100万円入金した個人会員が100人いた場合、つまり保証金が1億円入金されると、業者はカバー取引のために600億円の資金を用意しなければならない。これは25倍規制のきいた個人会員だけの場合で、規制を受けない法人会員がいる場合や、規制前、400倍のレバレッジがあったときの場合ば別で、規制前にはこの16倍、9,600億円の資金が必要であったことになる。さらにカバー銀行が6行ならばこの倍の1兆9,200億円の資金を用意しなければならなし、保証金総額が2億円にでもなったならば・・・。
 会員は1週間、1か月、取引をしないこともあるだろう。そうするとその間資金はブタ積みすることになる。金利負担もバカにならない。
 売り買い相殺したとしても50%の資金は用意すべきでしょう。そう考えると 「100%のカバー取引をせよ」とは酷な要求だと言えるでしょうね。規制前に100%のカバー取引をしていた業者なんて本当にあったのでしょうか?

 個人会員が日本の営業時間内に初回取引(ドル買い)をして、アメリカの営業時間内に決済取引(ドル売り)をすると、業者の日本のカバー銀行の日本円の口座残高はゼロで、米ドルの口座残高が500万円相当の米ドルに、アメリカのカバー銀行の日本円の口座残高が500万円に、米ドルの口座残高がゼロになる。その後、会員が日本の営業時間内に米ドルを買うと、日本のカバー銀行の日本円の口座残高がゼロなのでカバー銀行から日本円で米ドルを買うということができないことになる。
 多くの会員が日本の営業時間内に米ドルを買い、アメリカの営業時間内に決済取引を行い、これを繰り返すと、日本のカバー銀行の日本円の口座残高が少なくなりカバー取り引きとしての「ドル買い」ができなくなる。
 業者と会員との取引は差金決済で業者とカバー銀行との取引は受け渡し決済。業者と会員との取引は24時間取引、業者とカバー銀行との取引は営業時間内。この違いによってカバー取引100%はできないことがハッキリする。これほど多額の資金が用意できるならば、FX商売をやるよりも銀行の定期預金にでも預けた方が良いのではないでしょうか?
 この資金量の計算は、7-4「業者が会員の希望によりインターバンクで取引する」 との誤った思い込み・説明でも適応する。そして、「インターバンクで取引する」と言う仲介取引の説明では、仲介取引とカバー取引との関係が説明できない。つまり、仲介取引とカバー取引と全く同じ取引を2度行うという説明になるからだ。
14-9 カバー先はどこにカバーする? 業者は会員との取引のリスクヘッジとしてカバー先との取引をする。ではカバー銀行はどこにリスクヘッジをするのか?損害保険はロンドンのロイズとの取引にリスクヘッジをする。ロイズのアンダーライター・ネームは無限責任で対応する。日本人では、田中清玄と南方哲也(元長崎県立大教授。南方熊楠の大甥)だけがネーム(会員)であった。
14-10 本当にカバー取引をやっているのか? このように疑問点が出てくると、本当にカバー取引は有効なのか怪しくなる。結局、「カバー取引とは金融庁へのポーズ、一般人へのポーズ」と考えるのが良いのでしょうね。
 あるいは1日に数回カバー取引を行い「100%ではないけれど、随時カバー取引を行っています」と言うのかな?
 FX,お客が儲かりゃカバー先は損する
 FX,お客が損すりゃカバー先は儲かる
14-11 カバー取引は最後の防衛線13-3で取り上げた「金融・経済用語辞典」、実に分かりやすく書いている。それでいながらカバー取引の問題点には触れていない。
 FX(外国為替証拠金取引)のような店頭取引(相対取引)が行われる場合、顧客の利益=業者の損失、顧客の損失=業者の利益となりそれぞれの取引が利益相反関係となる。 こうしたリスクを業者が負ってしまうと、場合によっては大きな損失をこうむることになってしまう。
 OK Wabeではここまで追求できた回答者はいない。「会員が損したということは、何処かで誰かが儲かっているはずだ」というところ で思考停止になっている。そして、カバー取引とは、顧客の注文をカバー銀行に取り次ぐという意味で、結果的には「仲介取引」になっている。
 Fxの取引に疑問を感じて「FX、お客が損すりゃ業者は儲かる」ではないだろうか?と思い始めても、カバー取引をするので「会員が儲かっても、業者はカバー先に振るからレートを操作する必要はない」と仕組みの解明を止めてしまう。
14-12 カバー取引の矛盾「客の利益は業者の損失。そこで、業者は破綻しないためにカバー取引をする」と説明する。この説明では「業者はスプレッドの差で収益をあげるのではない」となる。ところが、カバー取引では損失をカバーするが収益もカバー先銀行にいってしまい、業者は収益をあげることができない。そこで「業者はスプレッドの差で収益をあげる」との説明に戻ってしまう。スプレッドの差で収益をあげる仲介取引ならばカバー取引の必要はない。カバー取引の説明でこの矛盾に気づく人はいない。
14-13 このような説明もあり  日本経済新聞は、きょうのキーワード「カバー取引」で次のように説明している。
 FX業者が顧客から受けた注文のリスクを減らすために金融機関と行う外為取引。例えば、顧客から「円売り・外貨買い」の注文を受けた場合、FX業者は「円買い・外貨売り」の持ち高を持つため、カバー取引先に「円売り・外貨買い」の注文を瞬時に出す。
 カバー取引先の金融機関は比較的体力のある大手銀行が中心だが、昨年9月に経営破綻したリーマン・ブラザーズも参入していた。顧客資金をリーマンに預託していたFX業者は、資金返還が滞るなどの問題が生じている。[2009年2月8日]  ▲「カバー取引」
 では本当はどうなのか?
 お客が10万円儲けると、業者は+−ゼロ。カバー銀行は10万円の赤字。これカバー取引。カバー銀行はどの様にカバーするのでしょうか?
 お客が10万円負けると、業者は+−ゼロ。カバー銀行は10万円の儲け。これもカバー取引。多くのお客が損しているとすれば、カバー銀行は結構ウハウハ。
 「お客が損すりゃ、業者は儲かる」ではなく、「お客が損すりゃ、カバー銀行は儲かる」?
 株は仲介取引だけど、FXは相対取引なので手数料やスプレッドの差が利益になる、ということはない。つまり業者は儲ける手段を持たない。
 Fxは「相対取引」なのでカバー取引をする→カバー取引とは客の注文を(飲み込まないで)カバー銀行に取次ぐ「仲介取引・受渡決済」。「契約締結前交付書面」には「相対取引・差金決済」とあるけれど、業者は嘘をついているの?
 いいえ、FXとは金融商品取引法第2条第22項に規定する合法的な「のみ行為」(相対取引・差金決済)なのです。
 正解は
 カバー取引なんかしていないからこそ、お客の損失が業者の利益になり、商売繁盛。
 その実態を隠すために「カバー取引」を言う。
 得意げにカバー取引の虚構を言いふらし、実態隠しに協力し、投資の対象になるかのように思わせる人がいる。
 ▲日経新聞  ▲馬上行動 山田冬樹の部屋  ▲金融・経済用語辞典  ▲OKWeb
 「外国為替レートとは、インターバンク市場における取引価格を参考として、当社が独自に(勝手に)提示する価格をいいます」。レートが違うからカバー取引は出来ないし、業者は負けない。
 一日一回やって、「100%ではないけれど、随時カバー取引を行っています」と言い訳するのかな?
 欲に目が眩んで視野狭窄になった人びとが、そそのかされて儚い夢を抱きながら、せっせと胴元に大切な資金を貢ぎ込む。
 かくしてFX業界は合法的繁栄。
 唆した人たちの責任はどうなるのでしょうか?
14-14 カバー取引の具体例
 FXは相対取引なので、スプレッドの差が業者の売上・利益になるのではなくて、会員の損した分が業者の売上・利益となり、会員が儲けると業者は赤字になる。多くの会員が儲けると業者は赤字倒産する。それを防ぐために「カバー取引」を行う、と言われている。では実際のカバー取引はどの様に行われるのか?業者は具体的なことについては説明していない。部外者がイロイロ説明しているが中途半端だ。そこで、200倍のレバレッジを使った法人会員の例で考えてみることにしよう。
 (1)1ドル100円の時に会員が初回取引2,000万ドルの買い注文を出す。業者は瞬時にカバー銀行に1ドル100円で2,000万ドルの買い注文を出す(タイミングをずらすとレートが変わり取引不可能になる)。この時会員の保証金の1,000万円が凍結され、業者はカバー銀行に20億円入金し、カバー銀行から2,000万ドルが入金される。
 その後、1ドル101円になって会員は決済取引として2,000万ドルの売り注文を出す。業者は瞬時にカバー銀行に1ドル101円で売り注文を出す(深夜であっても)。会員の保証金は凍結解除され、新たに業者から2,000万円が入金される。業者にはカバー銀行から20億2,000万円が入金され、業者は2,000万ドルをカバー銀行に入金する(この間、会員にはドルの移動はない)。
 (2)1ドル100円の時に会員が初回取引2,000万ドルの売り注文を出す(会員は1ドルも業者に渡さない)。業者は瞬時にカバー銀行に1ドル100円で2,000万ドルの売り注文を出す。業者はカバー銀行に2,000万ドル入金し、カバー銀行から20億円が入金される。その後、1ドル101円になって会員は決済取引として2,000万ドルの買い注文を出す。業者は瞬時にカバー銀行に1ドル101円で買い注文を出す。会員の凍結された保証金は解除されるが、保証金の1,000万円が業者に入金される。業者にカバー銀行から2,000万ドル入金され、業者はカバー銀行に20億2,000万円を入金する。業者はカバー取引のために多額の資金(各国の通貨)を用意しなければならない、金融機関同士では差金決済ではなくRTGS=即時グロス決済)。その度に借り入れていたら金利負担が大きすぎる。スワップポイント狙いで決済取引まで長期になることもある。
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 (1)の結果=法人会員は2,000万円の儲け。業者は法人会員との取引の結果2,000万円の損失だが、カバー取引の結果2,000万円の利益なので、損益+−ゼロ。カバー銀行は2,000万円の損失。カバー銀行はどの様にカバーするのでしょうか?
 (2)の結果=法人会員は2,000万円の損。業者は法人会員との取引の結果2,000万円の儲けだがカバー取引の結果2,000万円の損失なので、損益+−ゼロ。カバー銀行は2,000万円の利益。多くの会員が負けていると言われる状況でカバー銀行は結構儲かって「ウハウハ」。では業者はどの様にして売上・利益を出すのでしょうか?相対取引ではスプレッドの差が売り上げになることはありません。
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 FXは「相対取引」なのでカバー取引をする→カバー取引とは客の注文を(のみ込まないで)カバー銀行に取次ぐ「仲介取引・受渡決済」。「契約締結前交付書面」には「相対取引・差金決済」とあるけれど、業者は嘘をついているの?
 いいえ、FXとは金融商品取引法第2条第22項第1号に規定する合法的な「のみ行為」(相対取引・差金決済)なのです。
 正解は・・・
 カバー取引なんかしていないからこそ、お客の損失が売上・利益になり、業者は商売繁盛。もしも会員が勝ち始めたら、目立たないようにレートを操作する。業者のコンピュータは全会員のポジションを把握しています。レート操作をしていることはどの業者もちゃんと説明しています。レート(価格)が違えば業者間・カバー銀行・インターバンクとの取引はできません。誰もが一度は読んで・理解し・納得したはずの「契約締結前交付書面」から引用します。
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●当社では、複数のカバー先からの配信レートをもとに当社で生成した独自のレートをお客様に提示しています。そのため、当社が提示するレートは、カバー先や同業他社が提示している為替レートと必ずしも一致するものではなく、市場レートや他社の提示するレート等と大きく乖離することがあります。(外為ジャパンFX)
●FX取引は取引所取引とは異なり、相対取引(当社がお客様の注文の受け手となり、それぞれが売り手と買い手となる取引)となります。相対取引ではお客様と当社の利益が相反することになります。 (外為ジャパンFX)
●当社が会員ページにおいて表示している店頭外国為替証拠金取引に係る各通貨の価格は、インターバンク市場に参加している当社のカバー取引先から提供される最新の価格を参照し、当社がお客様向け取引レートとして算出したものです。(GMOクリック証券)
●当社は、SBI リクイディティ・マーケット株式会社がインターバンク市場の実勢外国為替レートに基づいて提示している為替レートに、一定の額を加減した為替レートをお客様に提示しています。(SBI FXトレード)
●株式会社外為オンラインの店頭外国為替証拠金取引は、私と同社との相対取引であり、為替レートが他の情報(テレビやインターネット等)とは必ずしも一致しないことを理解しています。(外為オンライン)
●お客様は当社に対し、外国為替市場の取引レートに基づいて当社が提示する外国為替レート以外の外国為替レートを主張できないことをあらかじめ了承するものとします。(FX24インターネット取引)  
●当社では、複数のカバー先からの配信レートをもとに当社で生成した独自のレートをお客様に提示しております。当社が提示するレートはカバー先や同業他社が提示しているレートと一致するものではなく、当社独自の判断により、他社の提示するレートと大きく乖離することがあります。このため、同業他社のサービスを利用した取引と比較して損失が拡大したり、ロスカットが発生したりすることがあります。(みんなのFX)
●「FXブロードネット」は私と貴社との相対取引であり、為替レートが他の情報(テレビやインターネット等)とは必ずしも一致しないことを理解しています。(FXブロードネット)
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 「契約締結前交付書面」をちゃんと読むと、会員向けのレートとカバー銀行のレートが違うのでカバー取引が出来ないことが分かります。株は仲介取引・受渡決済ですが、FXは相対取引・差金決済です。結局、FXは株とは違い、金を払って遊ばせてもらうゲーム、パチンコや競馬・競輪のような合法的なギャンブル・賭博(胴元が儲かる仕組みになっている博打)と理解すべきなのでしょう。FXは客の注文を呑み込んで、カバー銀行など他に取り次ぐことなく、業者自身が取引相手となって取引を成立させるものなのです。
FXを司法関係から見る
<FX裁判> FX裁判の判決がいくつか出ている。金融商品取引法改正以前のものもあるが参考になるものもあるので取り上げてみた。このサイトにはFX裁判の事例が載っている。
15-1 御器谷法律事務所のホームページ 
に裁判例が出ている。ここから引用しよう。
 1. FXとは、  Foreign eXchangeの略であり、一般的には外国為替(かわせ)証拠金取引のことを指します。証拠金を業者に担保として預託し、差金決済(実際に外貨の授受を行われず、反対売買による差額の授受により決済を行う方式)によって外国為替の売買が行われます。
 (1) FXが公序良俗に反する取引であることを理由に預託金の返還を認めた事例(仙台地裁平成19年9月5日判決) 「本件の外国為替証拠金取引は、為替取引の裏付けがない差金決済取引であり、インターバンクレートを参考にすると言うものの、その基準自体明確ではなく、被告会社が一方的に定め、かつ、予測することのできない為替レートの変動によって、証拠金の約10倍という高額の損益が生じるという著しく射倖性が高い取引である。−−−被告らは、外国為替証拠金取引が一般人の行う利殖行為として、経済的意義を有する経済的取引として捉えられるものであると主張するが−−−本件取引が経済的合理性を有する取引であったことを認めるに足りる証拠はない。  そうすると、本件取引は、顧客である原告と被告会社間の賭博性を有する取引であるといわざるを得ず、公序良俗に違反する取引であるということができる。」
15-2  (2) FX業者の勧誘行為が適合性原則に反することを理由に損害賠償請求を認めた事例(東京地裁平成19年7月30日判決) 「本件外国為替証拠金取引は、被告会社の設定するレートによる相対取引であり、被告会社と顧客とを比べると、顧客に損失の生じる可能性が高いといえるから、顧客には、知識、情報、これらを的確に分析して自己の行動を判断する能力、十分な分析をなしうる時間、経験、財産等が必要であるところ、原告が、上記のような心身及び財産の状況にあったことに照らせば、原告は、本件外国為替証拠金取引当時、その内容を理解することはできなかったというべきであり、また、受給年金のみを糧とする生活では、その収入のほとんどを、生活費として費消することになり、投機行為を行うような十分な財産を有していたということはできないことに照らせば、原告は、上記の能力を備えていなかったというべきであるから、被告会社がそのような状況にある原告を勧誘し、取引を行わせた行為は、適合性原則に反し、不法行為に該当するといわなければならない。」

15-3  「国民生活センター」のホームページ
から引用しよう。
 本件は、外国為替証拠金取引について、仲裁契約の成立を否定したうえで、説明内容の重要部分が虚偽および誇大であるとして不法行為の成立を認め、損害額全額と弁護士費用を認容した事例である。(札幌地方裁判所平成15年5月16日判決)
 まず、Yは、顧客の注文はYからAに取り次がれ、Aがインターバンク市場(主として銀行を取引の参加者とし、通貨の交換取引をする市場をいう)で取引すること、Aはオーストラリア認可商業銀行で顧客の資産は完全分離保管制度が適用されるため安全である、などと説明している。しかし、AはYとの取引をインターバンク市場に取り次いでいないのでこの点の説明は虚偽であり、Yの勧誘している取引は賭博行為に過ぎない。
15-4  「あおい法律事務所」のホームページでは、6名の弁護士が在籍し、証券取引などの金融商品取引被害、詐欺的商法被害の被害回復など、高い専門性を有する事案を取り扱う法律事務所としてFXをも扱っている。
「FX、お客が損すりゃ業者は儲かる」に関係する文章が多くあり、その中からの1部を引用しよう。  
  「外国為替証拠金取引」には、商品取引や金融デリバティブに認められうる経済的存在意義は何ら認められない。外貨預金4の他の外貨建て資産を有する者や輸出入業者等、為替変動リスク皆がを有する者にこれをヘッジする手段を与えることができるということが言われるかも知れない。しかし、こうした為替変動リスクをヘッジする手段は、すでに用意されている。銀行を通じてする先物為替予約等の取引等がそれであるし(古海健一「ビジネスゼミナール外国為替入門」日本経済新聞社215頁)、「外国為替証拠金取引」に近似する通貨先物取引は、これに適合する者であれば、整備された取引所(東京金融先物取引所)において公正に形成された価格で、(クリアリングハウスを通じて)取引の相手方の信用リスクを負担することなく(制度上は)行いうるのである(なお、通貨先物取引との関係については後に詳述する。)。同取引所において通貨先物オプション取引を行えば、よりローコストでリスクヘッジをすることも可能である。価格が公正であることの保障もなく、大きな信用リスクを負担してする「外国為替証拠金取引」には、何らの経済的存在価値もない。   
15-5  4 裁判例  この種取引の損害賠償請求事案としては、私の知る限り(平成16年3月末日現在)、4件の地裁判決、3件の高裁判決があるが、いずれも取扱業者に全額の賠償を命じ、過失相殺規定の適用をしたものはなく、うち2件は、以下のとおり、この種取引を「賭博」であるとしている。なお、上記の裁判例は、国内公設の商品取引所において商品先物取引等の受託を行う主務省の登録免許を有する商品取引員の行ったものについてのものである。

15-6 「外国為替取引の実行がない場合には、外国為替証拠金取引と称する取引が、実際には外国為替相場における通貨の交換価値を指標とする賭博行為に過ぎないものであることになる。(中略)外国為替取引の実行のない外国為替証拠金取引の場合には、顧客が利益を得れば(勝てば)外国為替証拠金取引取扱業者が損失を被り(負け)、顧客が損失を被れば(負ければ)外国為替証拠金取引取扱業者が利益を得る(勝つ)という関係が成立することになる。」(札幌地判平成15年5月16日)。
 「為替相場の変動という偶然の事情を指標として、金銭の授受(差金の決済)を行うことのみを内容とする本件取引は、賭博行為といわざるを得ない。したがって、取扱業者外務員が、原告に対し、そのような内容の本件取引の勧誘をしたことは、不法行為に該当するといえる。」(札幌地判平成15年6月27日)。

15-7 <のみ行為は違法?適法?> 商品先物取引法第212条には次のような条文がある。
(のみ行為の禁止)第二百十二条 商品先物取引業者は、商品市場における取引等の委託又は外国商品市場取引等(外国商品市場取引若しくはその委託の媒介、取次ぎ若しくは代理又は外国商品市場取引のうち商品清算取引に類似する取引の委託の取次ぎ若しくはその委託の媒介、取次ぎ若しくは代理をいう。以下この章において同じ。)の委託を受けたときは、その委託に係る商品市場における取引等をしないで、自己がその相手方となつて取引を成立させてはならない。

15-8 FXが根拠としている金融商品取引法第2条第22項には次のような条文がある。
「金融商品取引法」第二条22  この法律において「店頭デリバティブ取引」とは、金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う次に掲げる取引(その内容等を勘案し、公益又は投資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定めるものを除く。)をいう。
一  売買の当事者が将来の一定の時期において金融商品(第二十四項第三号の二及び第五号に掲げるものを除く。第三号及び第六号において同じ。)及びその対価の授受を約する売買であつて、当該売買の目的となつている金融商品の売戻し又は買戻しその他政令で定める行為をしたときは差金の授受によつて決済することができる取引

 金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う取引とは、会員の注文をのみ込んで、インターバンクなどで取引をしないで、業者自身がその相手方となって取引を成立させる=のみ行為=客の損失が業者の利益になり「お客が損すりゃ業者は儲かる」、会員の儲けが業者の損失となり「皆が儲かりゃ業者は破綻」。

15-9 差金決済とは受渡決済とは違い現物(原商品・為替・外国通貨)の受渡を行わないのだから、業者は為替の売買を行わない。仲介取引ではないのだから業者が客の客様のカウンターパーティ(取引の相手方)として行動する事になり、 客の相手方となつて取引を成立を成立させる、ということだ。つまり「のみ行為」
 商品先物取引法では「のみ行為」を禁じていて、金融商品取引法では「のみ行為」を容認している。 ▲ウィキペディア「ノミ行為」
 どうしてこのような法案が国会で承認されたのでしょうか 後始末が始まれば話題になるかも知れませんね。

15-10 <いろんな賭事が考えられる>  「価格」が「変動」し、差金決済(つまりは賭博)(実際の売り買いは行わない賭事)の対象となりうる商品及びサービス、つまり、「価格」のある「モノ」を対象とする賭博行為が法律で容認されたのだから、原油価格の変動を基に業者が独自に手を加えたレートを対象に差金決済をする賭事や、ライボー(ロンドン銀行間取引金利=London Inter-Bank Offered Rate)を基に東京やニューヨークの値を参考にしたレートを対象とした賭事や、築地市場におけるキャベツの価格を基に他の市場の価格を参考に業者が独自に作成したレートを対象にした賭事ができても不思議はない。日経平均の変動を対象としたものは「くりっく株365」。業者がどれほど手を加えたレートなのかは分かりませーん。
15-11 このような意見もあります。
2 賭博該当性(賭博行為としての反公序良俗性)
2 法令による違法性阻却の欠如   「外国為替証拠金取引」には、その違法性を阻却する法令は存在しない。
 為替変動を指標とする証拠金取引が誕生したのは、平成10年に外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」という。なお、改正前は外国為替及び外国貿易管理法。)が改正され、外国為替業務が自由化されたこと(為銀主義の放棄)を発端としている。しかし、為銀主義の放棄は、為替取引を自由化するものではあるものの、為替変動を指標とする賭博行為を許容するものでは決してない。「為替取引の自由化」が、外為証拠金取引の自由化を意味するという考え方は、私人間での売買が許されるあらゆる商品ないしサービスについて、その価格変動を指標とする差金決済契約の全てが許容されるとすることと同義であって、到底許容しうるものではない。仮にこれを許容するとすれば、「価格」が「変動」し、差金決済(つまりは賭博)の対象となりうる商品及びサービス、つまり、「価格」のある「モノ」全てを対象とする賭博行為を容認することになり、例えば、卸売市場における日々の「高値」を指標とする「タコ証拠金取引」や、「イチゴ証拠金取引」がごとき賭博行為を容認することに他ならない(日刊新聞紙の「卸売市場」欄には、「賭博」の指標となりうる「価格」が列記されている。)。このような結果が常識的でないことは極めて明らかである。「為替」が、「何となくその変動を指標とする差金決済取引がまっとうな金融商品であるかのように錯覚させるモノ」であることは素直に首肯しうるが、このような「錯覚」は「外国為替証拠金取引」の本質を見誤らせる危険が大きい。為替変動を指標とする差金決済取引は、「外国為替証拠金取引」とは異なるものとして、すでに適法に存在する(後述)。このことと、「外国為替証拠金取引」が賭博であることとは、全く矛盾しない。

15-12 <不法行為ではないにしても、投資・資金運用の対象とはならない>   司法の社会では@実際に外貨の授受を行われず、反対売買による差額の授受により決済を行う方式 A会社の設定するレートによる相対取引 B顧客が利益を得れば(勝てば)外国為替証拠金取引取扱業者が損失を被り(負け)、顧客が損失を被れば(負ければ)外国為替証拠金取引取扱業者が利益を得る(勝つ)という判決が出ているが、それが一般社会には知られていなくて、投資・資金運用の対象になるかのように言われている。これは司法関係者の努力不足なのか?経済・金融関係者、マスコミ業界の視野狭窄なのか?皆が狭いムラ社会から出ようとしないので、文化・情報面でのグローバリゼーションが必要なようだ。
 「グローバリゼーションによって社会は進化する」
との視点に立つと、「このように皆が狭い閉鎖社会に閉じこもっているから、地産地消の国アルバニアでのような事が起こるのだ」となる。
 金融商品取引法が改正されたので、このホームページではFXが不法行為であるとは言わないが、次のようには主張する。
 FXとは金を払って楽しむパチンコのようなもので、儲かる時もあるが業者はお客が払ったお金が収益になるので、所詮、投資・資金運用の対象とはならない
 知ってるくせに、何もしなかった。不作為の作為 という言葉が話題になるかも知れませんね。
欲に眼が眩み「視野狭窄」になっている
16-1 <まるでアルバニアのねずみ講のようだ> 普通の人がのせられて業者に貢ぎ、その人たちがのせる立場にもなる。まるでねずみ講のようだ。これだけ大規模なものだと、地産地消の国アルバニアで起きたねずみ講が思い起こされる。
 以前にアルバニアのねずみ講について書いたので、そこから引用しよう。

16-2
<地産地消の国、アルバニア>福者マザー・テレサがアルバニア出身であることはあまり知られていない。 そのバルカンの小国アルバニア、第2次大戦後エンベル・ホジャ指導のもとに独特の社会主義政策=鎖国政策をとってきた。1944年ムッソリーニのイタリアから独立を勝ち取ると、スターリンを崇拝していたホジャはアメリカをはじめ「西側帝国主義」とは外交を断絶、スターリンが指導する東側諸国と友好関係を結ぶ。 1953年にスターリンが死ぬと、その後継者でスターリン批判をしたフルシチョフとは対立し、ソ連と国交を断絶し、コメコンから脱退。1960年代には文革時代の中国と友好関係を結ぶ。1971年10月26日、国連で「中国の国連加盟と台湾の追放」を内容とした「アルバニア案」が大差で可決される。しかし1972年ニクソンの訪中を境として米中が接近すると、1978年には中国とも交流を断絶する。 ここにおいてアルバニアの鎖国は完成する。国内に何千ものトーチかを築き外敵に備える。社会主義経済を徹底し企業は国営、300万人程度の小国で自給自足経済を貫く。個人が自家用車を持つことは認められず、自動車による交通事故・排気ガス公害は皆無、物流システムができていないため「身土不二」「地産地消」は当然、株式市場はおろか銀行さえなかったのでマネーゲームに走る者はいない。 地域通貨信奉者が理想とする金利ゼロの社会。『スモールイズビューティフル』の世界であり、『縄暖簾社会の経済学』の世界であり、カール・ポラニーの『大転換』にしばしば登場するロバート・オーエンの世界、日本では農協関係者や生協関係者が理想とする「ロッジデール」の空想社会主義を目指す社会であった。 コミュニストは言う「宗教は麻薬である」、それを憲法に明文化した「国家は一切の宗教を認めず、人民の間における科学的現実主義世界観を鼓吹するために無神論運動を支持する」(アルバニア人民共和国憲法第37条)。
 アウタルキー(autarky)を貫き通そうとしたアルバニア、その生産設備たるや、1978年以前に中国からもたらされた貧弱なものばかり。先に豊かになれる者が出てこれない、人々皆平等に貧しくなっていく社会。貧富の差が少ない、という点においては「正義論」を貫き通した国家であった。 そしてこれはとてつもない実験でもあった。経済をこんなにめちゃくちゃに運営するとどうなるか?とてもまともな国家指導者にはできない実験だった(と、書きながら大躍進、文革時代の中国やポルポト時代のカンボジアも同じだったことに気づいた)。 この実験でアルバニアはヨーロッパの真ん中にありながら、中央アフリカ共和国の所得水準に、その経済状況が表れている。「自由貿易こそ国民を豊かにする」。アダム・スミスやリカードは正しかった。それでもWTOや貿易自由化を非難するNGOもあるらしい。自由貿易協定(FTA)も日本では強力なレントシーキングのお陰でなかなか進まない。
 そのようなアルバニア、1985年4月11日エンベル・ホジャが死亡し、ラミズ・アリアが大統領に選出されると少しずつ変化の兆しが見え始める。 徐々に鎖国政策を改め、開放経済へと政策転換する。鎖国時代には銀行もなく、国民は貯蓄や投資などの仕組みを知らないで過ごしてきた。開放経済、つまりごく普通の資本主義経済が始まって、1992年には銀行も設立された。そして政府の規制を受けない投資会社も設立された。 それまで国民は「現金はタンスにしまうもの」と考えていた。そのタンスの中にあった現金の多くは投資会社へ向かった。銀行の金利が年利19%程度のとき、投資会社の方は月利8%、高い時には3カ月で100%といった、とほうもない高金利だった。
 資本主義以前の社会、世界経済から切り離された社会、地産地消の国だったアルバニア、そこでねずみ講投資会社が倒産し、暴動がおき、政権が倒れ、無政府状態になり、6000人規模の多国籍軍により治安が維持される、という事態が発生した。
16-3 <「投資会社」という「ねずみ講」>銀行という名前の、お金を預かってくれて利子もつけてくれる会社ができた。そうしたら、その銀行よりもずっと高い利子を付けてくれる投資会社ができた。アルバニアの人々は投資会社にお金を預けた。ヴェファという最大の投資会社は5億ドル以上集めた。1994年のアルバニアのGNPが12億ドルの時代にだ。 銀行の年利が19%のときに、ヴェファは月利6〜10%も払っていた。ヴェファは「鉱山からスーパー・マーケットまで、旅行業から食品産業まで、材木加工から建設素材までの幅広いビジネスを経営し、世界18カ国と取引をすることによって、高い営業利益を得ているため」と説明していたが、ドイツの週刊誌が調査したところ、実際の投資先は、スーパーや小さなソーセージ工場だけに限られていたという。
 当時、年間 100%の金利を払えるほど成長する産業があるはずがない、というのは資本主義社会に住み、マネーゲームに関心があるから言えるのかもしれない。当時のアルバニア人は分からなかった。実際は高い金利で資金を集め、その金利の支払いにはつぎの預金を回し、その金利の支払には次の預金を回し、というねずみ講であった。 そしてこの投資会社=ねずみ講は政府に多額の政治献金をしていたため、破綻した投資会社に対する国民の怒りは、そのまま政府、政治家に向かった。暴動は広まり、1997年4月には政府の治安機能は働かなくなった。アルバニア政府からの要請で8カ国の兵士で構成される6,000人規模の多国籍軍がアルバニアに駐屯する。その主力はイタリア軍であった。 多国籍軍の監視下で、6月に総選挙が行われ、ベリシャ政権は敗北し、ねずみ講による損失の補償を訴えた社会党(旧労働党=エンベル・ホジャの党)が政権に復帰した。
 アルバニアに関しては「地産地消の国アルバニア」でも書いたのでそちらも参照してください。
16-4 <日本は金融先進国かと思うけれど>お金を預けておくと金利を付けて返してくれる銀行という便利なものがあることさえ知らない人が多かったアルバニア。それに比べて日本は金融先進国かと思っていた。
 今まで「大江戸経済学」と題して江戸時代を経済学してきた。江戸時代日本は金融先進国であった。
●荻原重秀の先進性
●明和五匁銀の発行 明和南鐐二朱判の発行
●大坂堂島米会所
●(7) 幕末、金貨の大量流出
●大江戸経済学 江戸時代の歴史観が変わりつつある
(5)荻原秀重の貨幣改鋳という悪政か?
(6)大坂商人が生み出したコメ先物取引
(9)金貨流出という異常事態の責任は?
 その日本で今、FXバブルが起こっている。小金を持っている人、持ちたいと思っている人、OK Wabeで人にものを教える人、出版界、テレビ業界、それに金融庁までFXバブルを推進している。このことから、「何かうまい金融詐欺が起こせそうだ」と目論む輩が出てくる恐れがある。そうならないように適切な後始末が大切だ。
仕組みの解明と適切な後始末を
17-1 <業者を胴元とした賭事> FXは次のようなイメージで考えると分かり易いでしょう。
 FX業者が胴元として次のように呼びかける。「みなさん、会員になりませんか?ドルがどこまで上がるか下がるか、保証金の範囲内で好きなだけ賭けてみませんか?好きなときに売り買いの注文を出して、好きなときに決済処理をして下さい。予想が当たればあなたの儲けです。もしなかなか予想通りにならなければ早めに損切りして下さい。その時は胴元(当社)の利益となります。「契約締結前交付書面」をよく読んで、納得したら是非当社の会員にどうぞ。心配な方はデモ取引で体験して下さい」
 「説明書を熟読し十分ご理解して頂いていても、実際にお取引を行った場合との齟齬(そご)がありますので必ず事前にデモ取引を行ってください。」((初心者にも慣れていただくように、やさしく、勝てるようにしてあります。「自信がついたら是非当社への会員登録をどうぞ」実戦ではしっかり儲けさせていただきます))

17-2  「会員のみなさん、丁か半か、ドルが上がるか下がるか、賭けてみませんか?今、Bid 79.96 Ask 80.00ですよ。上がると思う人は「買い」を、下がると思う人は「売り」を、ロット数を入れてクリックしてください」とログインした会員に画面で呼びかける。そこで花子さんは上がる方に賭ける。「2500万円分のドルを買います」と注文する(FXの世界では上がる方に賭けることを「買い注文を出す」と表現する)。初回注文が成約され、25倍のレバレッジがきいているので100万円の保証金が凍結され引き出すことができなくなる。すぐにドルは上がり、Bid 80.08 Ask 80.12になる。花子さんはすかさず売り注文を出す。決済注文が成約され、100万円の保証金の凍結が解除され、2500万円の0.1%である2万5千円が業者の口座から保証金口座に入金される。これで取引は一件落着。
 一方、太郎さんは、Bid 80.00 Ask 80.04の時に「2500万円分のドルを下がる方に賭けます(FXの世界では「売り注文を出す」と表現する)」と注文する。しかしドルは下がらずBid 80.04 Ask 80.08の時に「早めの損切りを」の教えを守り、決済を申し出る(買い注文を出す。とか決済注文を出す、と表現する)。100万円の保証金の凍結が解除され、2500万円の0.1%である2万5千円が保証金口座から業者の口座に入金される。これで取引は一件落着。

 このように「買い」からでも「売り」からでも取引は始められ、決済注文が成立して取引は完了する。この間、決済注文が成立するまでは資金の移動はない。初回注文で、業者は金融機関とか他の会員などと取引はしない。決済注文でも同じ。取引は業者と会員との「相対取引」であり第3者は関係しない。「差金決済」であり、物件・通貨ドルの移動もない。カバー取引もない。業者を胴元とした会員との賭け事であるからだ。
 そしてこの取引でのレート、「複数のインターバンク市場参加者から配信されるレートを参考に、業者が独自の基準に基づいて提示するレート」なので、胴元である業者が損しないように工夫されている。
 「為替の売買による取引」と言われているが、実際は為替の売買は行っていない。現物(為替・貨幣・札束・手形など)の受け渡しを行う「受渡取引」ではない。「為替・外国通貨の売買に似せた賭事」あるいは「為替の値動きにかこつけた賭博」と考えた方が正しい。ちなみに「馬の走りにかこつけた賭博は競馬」。
 このように、為替の動きを基に、売り買いに似せた注文で賭をする、一種のゲーム・博打・娯楽と考えた方が良いでしょう。従って、為替の動きではなくて、日経平均の動きを基に賭をする取引も考えられる。「くりっく株365」がこれだ。さらに、金相場の動きでも良いし、石油価格の動きでも良いし、小豆相場の動きでもこのような賭事はできる。
 FXはパチンコや競馬・競輪と同じような健全な(?)娯楽として考えれば、それなりの存在意義はあると言えるのでしょう。

17-3 <仕組みの解明と適切な後始末を> Fxの仕組みについては分からない点が多い。このホームページで取り上げたのはほんの一部でしかない。会員の多くはまるで分かっていない。分かっていなくて業者に多額の資金を貢いでいる。FXは法律(「金融商品取引法」)に従って行われている合法的な取引であり、業者は説明責任を果たしているので司法の捜査は行われない。単に、多くの人が「欲に目が眩み、視野狭窄になり、まともな判断力を失っているだけだ。けれどもその仕組みは解明されなければならない。
 これほどまでに多くの人が誤解していた取引は他に例がないと思う。悪いヤツがどこかで計画しているかも知れない。「日本人は甘い。簡単に金融詐欺ができそうだ」と。アルバニアとは違う金融先進国で、小金もちを相手に金融詐欺を計画する悪い輩が出てくるのではないかと心配だ。合法的金融詐欺が起こせそうだ、と計画している連中がいるかも知れない。規制を強化すればいいってものではない。「自己責任」意識が必要だと思う。金融詐欺を起こし難い社会にしなくてはならない、と思う。
 日本消費者連盟の竹内直一氏が生きていたら、鋭い矢文を送りつけて仕組みの解明に尽力したことでしょう。

 Tanakaの大腸ガンの症状は、手術から2年半経過し、小さなポリープ、複数の嚢胞(のうほう)と悪性の腫瘍と思われる小さな影があるのですが、病的な自覚症状はないのでストレスを溜めないよう気を使いながらキーボードを叩いてきました。
 OK Wabeで見かけた問答から興味を引かれ、好奇心と遊び心で書き始めたこの趣味のホームページ「FX、お客が損すりゃ業者は儲かる」、例によってダッチロールを重ねながらここまで発展してしまいました。
 最後まで読んでいただいたことに感謝いたします。ありがとうございました。

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趣味の経済学
FX、お客が損すりゃ業者は儲かる
仕組みの解明と適切な後始末を

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 ( 2011年11月1日 TANAKA1942b )