放送24局 免許取り消し 公務員2.5万人処分
【イスタンブール大治朋子】トルコの一部軍人らによるクーデターが失敗した事件で、半国営アナトリア通信は19日、トルコ政府が、エルドアン大統領と対立し、米国に亡命中のイスラム教指導者、ギュレン師との関連が疑われるテレビとラジオ計24局の免許取り消しを決めたと報じた。事件に関連して計7543人の軍人や司法関係者らを拘束したほか、計約2万5000人の公務員を停職処分とし、私立教育機関の教員約2万1000人の免許を取り消した。敵対勢力弱体化のための粛清が拡大しており、「政治的追放」との批判が広がっている。
停職となった公務員の内訳は、内務省の警官ら8777人▽財務省職員1500人▽国家教育省職員1万500人−−など。このほか全ての大学の幹部教員約1600人に対して、辞任を要求した。
ギュレン師の支持者は、警察や司法、教育関係者に多い。ギュレン師は事件への関与を否定しているが、トルコ政府は事件の「黒幕」とみなしており、近く米国側に身柄の引き渡しを正式に求める方針。
米国側は、亡命者送還には所定の法的要件を満たす必要があり、トルコ側にその立証責任があるとしている。米トルコ両外相は今週中にもワシントンで会談し、対応を協議する。
一方、エルドアン大統領は18日、米CNNのインタビューで、拘束した数千人の軍人らが「死刑」となる可能性もありうるとして、死刑制度復活の可能性を示唆した。
欧州連合(EU)加盟を目指すトルコは2002年、EU側の求めに応じ、死刑制度を廃止。1984年以来、死刑は執行していない。しかしエルドアン大統領は、今回のクーデター問題などを機に、国民から死刑制度復活を求める声が上がっていると指摘。「なぜ彼らを何年も刑務所に住まわせ、食事を与えなければならないのか」と述べ、犠牲となった市民の家族のためにも「迅速な終結が必要だ」と語った。