イランと交渉 森本社長、大量受注に期待
【ファンボロー(英南部)坂井隆之】国産初のジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」を開発する三菱航空機(愛知県豊山町)の森本浩通社長は13日、英国南部のファンボロー国際航空ショー会場で毎日新聞のインタビューに応じ、イランの航空会社と受注交渉していることを明らかにした。1月に経済制裁を解除されたばかりのイランは航空機の大規模更新を予定しており、大量受注に成功すれば事業に弾みが付きそうだ。
森本社長は「イランは古い機体の代替需要が大きい。近距離の航空機も必要ということで興味を持ってもらっている」と交渉状況を説明。「金融面などで制約も残っており、政府の意向も見ながら進めたい」との考えを示した。
イラン政府は、欧米の経済制裁で航空機が更新できず多くの機体が老朽化していることから、「400機規模以上の更新が必要」として各国の航空機メーカーと商談を進めている。既に欧州大手エアバスが1月に118機の受注に成功し、米ボーイングも6月下旬、イラン航空と受注の覚書を交わしている。
MRJが提供する座席数100席前後の小型機の分野では、エンブラエル(ブラジル)やボンバルディア(カナダ)もイランで営業活動している。三菱航空機は制裁解除前から市場調査を開始し、イラン航空やイランの航空当局とも接触し、受注を目指してきた。
日本政府も「販路拡大につながる」(政府関係者)としてイランでの受注に期待をかけており、政府系金融機関による融資などを通じて支援する方針だ。米国製部品を多数含むMRJをイランに輸出するには米国当局の許可が必要で、受注に成功した場合は米ボーイングなどの動向を踏まえて手続きを進めるとみられる。