妄想で興奮状態になってしまいます
認知症の症状に妄想があります。妄想は今起きていないこと、現実には無いことを思い込んで真実だと思ってしまっている状態です。そして周囲の言葉には耳を傾けず、「そんに出来事はないよ」と言っても、一切信じてもらえません。
また妄想は、認知症がそれほど進んでいる段階ではないときに起こりやすいです。
認知症の初期症状です。
物忘れや正確な判断力を失ってしまい、思い違いをしてしまう。しかし自分本位でしか物事を考えたり判断することしかできないため、自分ではなく、周囲に対して攻撃的な態度に出てしまいます。
たとえば、自分の持ち物を何処へ片付けたのかを忘れてしまい、見つけられなくなると「おまえが隠したんだろう!」と自分の物忘れのせいではなく、身近にいる人を出来事の原因としてしまいます。
「私はちゃんとここに置いておいた。でもなくなった。だからあんたがどこかに持っていったんだ!」と。これは頻繁にあることで、「物盗られ妄想」という言い方まであるほどです。
どんなに論理的に説明してもわかってもらえません。ご本人にとっては妄想が真実であり、「間違ってますよ」と伝えても聞き入れてもらえません。頑なに態度を強めてしまう結果になるだけです。
「猜疑心」が大きくなるのです。
その原因は、物忘れから「自分はどうなるのだろう・・・」と不安を感じたり、周りにいる人たちの態度が否定的で孤立感を感じたり、ひとりでいることが多くなって寂しいと感じたりなど、心理的な要素が混乱を招いて猜疑心、他人に対して疑いの気持ちが芽生えます。
そしてさらに自分の世界の中に閉じ篭ってしまい、妄想が真実味を増す原因になっていきます。こうした心理的な問題を解決するにはコミュニケーションの仕方に気を配るしかありません。
認知症の方の不安を煽らないこと、ご本人の言葉を否定しないこと、接し方の対応法が症状悪化につながるか、妄想を鎮めるかの分かれ道になります。
もしも物盗られ妄想が起きたら「一緒に探してあげる」といった対処が大事です。そして盗られた(と思っている)ものを見つけたら、ご本人を上手く誘導してご自身で発見できるようにしてあげます。
理由もなく「おまえが盗った」と言われて犯人扱いされるのは心が痛みますが、ご本人の症状を理解してあげ、冷静な対応で振舞うことに気をつけてください。
妄想を否定しても、余計に症状を悪くしてしまい、興奮状態に追い込むことになってしまいます。けして認知症の方が信じ込んでいる妄想を真っ向から否定しないこと。まずはどんな妄想を見ているのか話を聞き、状況を理解した上で最適だと思う対処をしてあげてください。
・認知症になると妄想の症状が出てしまう
・認知症の初期症状に起こりやすい
・妄想を否定しない
是非気に留めておいてください。
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